Shiggy Jr. 結成5周年に向けて再び走り出した4人の現在地
Shiggy Jr. 2017.9.16 赤坂BLITZ 撮影=田中聖太郎写真事務所
Shiggy Jr. LIVE TOUR 2017 -Ready Set 5!!-
2017.9.16(SAT)赤坂BLITZ
Shiggy Jr.による2年ぶりのワンマンツアー『Shiggy Jr. LIVE TOUR 2017 -Ready Set 5!!- 』。結成5周年目前、そして11月22日に控えた『SHUFFLE!! E.P.』のリリースを機にビクターエンタテインメントへ移籍、というバンドにとって重要な時期。そんなタイミングで行われた本ツアーでは“リリースに先立って『SHUFFLE!! E.P.』収録曲を全曲披露”という、Shiggy Jr.初の試みが敢行されたのだった。
開演と同時にスタートしたSEが鳴り止むと、紗幕の向こう側で既にスタンバイ済みだった諸石和馬(Dr)がビートを鳴らし始める。大きく映る彼のシルエットに、森 夏彦(Ba)や原田茂幸(Gt&Cho)、池田智子(Vo)のシルエットも重なり、セッションの音数もどんどん増えてきた。そして「サンシャインモーニング」の唄い出しとともに幕落ち。サポートメンバーに花井諒(Gt,Key&Manipulator)、植木晴彦(Key)を迎えた華やかなサウンドが溢れ出すと、池田が「会いに来たよ、東京ー!」と元気に挨拶した。原田がステージ中央でソロを披露した「oh yeah!!」のアウトロから転調させつつ「GHOST PARTY」のイントロへつなげると、トリプルシンセのダンサブルなサウンドでフロアを席巻。さらに『SHUFFLE!! E.P.』収録の新曲「Juuuump!!」ではトリプルギター編成に変わり、池田、原田、花井がユニゾンでエレキを掻き鳴らすと大きな歓声が上がった。最初のMCで池田が「ワンマンライブということでみんなを信用して、新曲も今までやってきた曲もガッツリやっていきます!」と言っていた通り、MC明けの5曲目「二人のストーリー」はまたしても新曲。池田と原田のデュエットソングとなっており、途中、原田によるラップパートが入っていたのも新鮮だった。
Shiggy Jr. 2017.9.16 赤坂BLITZ 撮影=田中聖太郎写真事務所
中盤の「サンキュー」~「keep on raining」は原田がアコースティックギター、森がアコースティックベースいに持ち替えて演奏。「サンキュー」は、ライブ前半に池田がフロアへ投げ入れたサイン入りボールをキャッチしたファンによってくじ引きで選曲されたもので、この曲のみサポートメンバーを入れず4人で演奏。結成当初から大切にされてきた曲だという「約束」は植木の感出るアコーディオンの音色や、ハイトーンなのに柔らかな池田の絶妙なボーカルも相まって、5年越しに新たな表情を見せるようになっていた。そんな自らのアレンジについてメンバーみんなで「5年目にしてShiggy Jr.大人計画」だと笑いあったり、バンド加入前から「約束」が好きだったという諸石がその熱い想いを語ったりと、リラックスしたMCのあと、キーボードの旋律に合わせてフロアから自然と手拍子が起き、そこにメンバーが音を重ねて「keep on raining」へ。会話の延長線上に音楽があるような、そのくらい温かなテンション。手を叩き、思い思いに歌うオーディエンスの姿を見て、池田が笑顔でOKサインを出した。
Shiggy Jr. 2017.9.16 赤坂BLITZ 撮影=田中聖太郎写真事務所
ここまで一気に書いてしまったが、ポップに弾けたかと思いきや、時には大人の表情でしっとりと魅せ、かと思いきやダンスポップ的アプローチでフロアを揺らし、新たな挑戦をぬかりなく仕込ませ――と、とにかくやっていることの幅が広い。そしてそんな多彩なサウンドに一本筋を通しているのがボーカリスト・池田である。それぞれの曲ごとに異なる声色を出すというよりかは、あえて何にも染まらないようにし、いつ如何なる時もその歌声をまっすぐに貫かせている印象。歌声ひとつでバンドを引っ張るその頼もしさは、この日のステージでも大いに発揮されていた。“彼女が唄えばShiggy Jr.になる”という大きな武器を持てていることは、“いつどこで聴いても飽きない”ポップスを目指しているこのバンドにとってとても幸福なこと。リスタートにあたるタイミングとはいえこのバンドらしく、この日のステージにはシリアスな空気は一切なかったが、ふとした場面からその幸福な事実を改めて確認することができたのが、何だか嬉しかった。
メンバーによる振り付けのレクチャーを経て披露した新曲「誘惑のパーティー」は原点回帰を思わせるシンプルなポップソング。この曲を機に「ホットチリソース」以降はダンスポップゾーンに突入。ラストの「恋したらベイベー」「LISTEN TO THE MUSIC」「サマータイムラブ」は曲間でもビートを途切れさせることなくノンストップで畳みかけ、場内のテンションが最高潮に達したところで本編の幕を閉じた。
Shiggy Jr. 2017.9.16 赤坂BLITZ 撮影=田中聖太郎写真事務所
雨音のSEとともにメンバーが再登場し、アンコールで披露したのは新曲「僕は雨のなか」。一糸乱れぬ鋭いキメによる冒頭から空気が引き締まるような緊張感があり、この曲もまた、バンドの新たな一面を開花させてくれるようなものだった。そんな中、「いろいろなシギーをみんなが温かく迎えてくれて、すごく幸せな気持ちでステージに立つことができました」と池田。そうして改めてオーディエンスへの感謝を言葉にすると、「一つ強く思ったのは、何かを好きになるってことは何かを信じるってことなんじゃないかなって。みんなが信じてくれる気持ちを1ミリも無駄にしないように、これから5年、10年走っていきたいと思います。これからもShiggy Jr.をよろしくお願いします!」と、深くお辞儀をしたのだった。
信じて待つ人がいる家のようなこの場所を糧に、Shiggy Jr.の冒険はまだまだ続いていく。来たる結成5周年に向けて、4人は再び走り出した。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=田中聖太郎写真事務所
Shiggy Jr. 2017.9.16 赤坂BLITZ 撮影=田中聖太郎写真事務所
1.サンシャインモーニング
2.oh yeah!!
3.GHOST PARTY
4.Juuuump!!
5.二人のストーリー
6.dance floor
7.I like it
8.サンキュー
9.約束
10.keep on raining
11.誘惑のパーティー
12.ホットチリソース
13.oyasumi
14.恋したらベイベー
15.LISTEN TO THE MUSIC
16.サマータイムラブ
[ENCORE]
17.僕は雨のなか
18.Beautiful Life
19.Saturday night to Sunday morning