GRANRODEO武道館2daysライブをメタラーが参戦レポート! 目撃した衝撃の内容とは?
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2017.9.23(Sat)GRANRODEO LIVE 2017 G12 ROCK☆SHOW 道化達ノ宴 日本武道館
9月22・23日の2日間に渡って日本武道館で開催された、GRANRODEOのライブ『GRANRODEO LIVE 2017 G12 ROCK☆SHOW 道化達ノ宴』。2日で17000人のファンを集めたこのライブは、結成年から数えた“G”ナンバーを掲げて行われており、「G12」は結成12年目を示すナンバリングだ。声優としても人気のKISHOWこと谷山紀章と、ギタリストで楽曲を手がけるe-ZUKA(飯塚昌明)のユニットに、ライブサポート・レコーディングではスゴ腕のミュージシャンが参加している。
そのサポートメンバー、リズム隊はなんとBABYMETALの神バンド経験者だというではないか。そしてKISHOWのボーカルやステージング、e-ZUKAのギターにも注目が集まり、メタル界隈でも話題を時折見かけるようになってきた。
一体、GRANRODEOのライブはどうなっているのか? 『GRANRODEO LIVE 2017 G12ROCK☆SHOW 道化達ノ宴』にメタラー歴30年超のライターが参戦、バンドのメタル度をレポートする。
日本は世界でも有数のメタルマーケットだ。とはいえ、最近は国内外どちらのバンドも日本武道館2daysなどそうそう実現できない。若者に人気のロックバンドはけっこう早い段階で実現してしまうのだが、メタルとなるとベテラン超人気バンドはともかく、現在はホールより大きめのライブハウス規模が中心だ。
そこには、メタルの中でジャンルが細分化されてしまい、デスボイスは当たり前、チューニングも半音どころか2音下げも当たり前の極悪重低音となり、スラッシュメタル、メタルコア、デスメタル、グラインド・コアとパンク系統とも差別がつかない有様でファンが散ってしまったせいもあるかもしれない。
そういう状況下で、GRANRODEOは武道館2daysをやってのけてしまうわけだ。声優の谷山紀章がロックバンドを始めるというのは聞いていたが、正直、一過性のユニットだと思っていた。というのも、人気声優が音楽、そしてライブに割く時間がそんなにあるわけがないだろうし、ロックのボーカルでは喉も心配だ。
しかし、彼らはガチでマジだった。アニメを見ていると時折、とんでもないギターのフレーズやバッキング、そしてシャウトが聴こえてきたりして「誰!?」と思うとGRANRODEOだったりするようなこともあった。とはいえ、パンテラで激重怒声に目覚め、ハイトーンからデスボイス方面に傾倒している筆者は深追いはしなかった。
そして、今回ライブを見るに当たり、最小限、最近のアルバムとライブ映像を観る程度の予習にとどめた。というのも、あまり情報を知っていると、生で対面した時のストレートな感想が薄まってしまうからだ。なので、今回は年季の入ったメタラーが、GRANRODEOに熱中しているファンに無理やり武道館ライブに誘われたという設定のレポートである。
筆者が参戦したのは2days2日目の23日。武道館の周りは「ロデオガール」(女性ファンのこと)だらけだ! メタルライブと違ってみんな黒Tじゃない。華やかだし、みんな明るい。若い。中に入ると、やはり女性客の多さが目立つが、男性客の「ロデオボーイ」もいる。ロックバンドはやはり男にも支持されなくては。
武道館のアリーナは今まで見たことのない構成になっていて、前方はオールスタンディングエリア、その後ろが椅子席となっていた。面白い試みだ。メタルコアバンドならたちまちモッシュピットがいくつも出来あがり、頭の上を人が吹っ飛んでいくはずだ。この日はライブを生中継ということで、カメラがいくつも入っている。ステージ横にはクレーン、アリーナ後方にはレールに載ったカメラが見える。
ステージは幕がなく、剥き出し。マーシャルアンプの壁が懐かしい。中央上にあるドラム・セットは2バス。爆音で行きますよ?とセットが語っているようなものだ。ちなみに開演前のBGMは演者の趣味が伺えたりして面白いのだが、この日は、クイーン、キッス、AC/DCだった。この3バンドは往年のロック少年が必ずといっていいほど通過したルーツ的存在で、事前に聞いたアルバムでも、この日のライブでも影響が楽曲やステージングに現れていた。GRANRODEOファンにはぜひベスト盤やライブ映像を観てほしい。プラスして、”メタルゴッド”ことジューダス・プリーストもベスト盤で聞いてほしい。以外にメロディアスで聞きやすく、KISHOWのハイトーンが特に好きというなら、なおさらオススメだ。このバンドも往年のメタルファンなら絶対に聞いていたはず。
マーシャルの壁に思わず感涙! メタラー思わずヘドバン態勢
スタート前のSEが大ボリュームで流れ、ライブスタート。いきなり曲かと思いきや、登場したのはピエロダンサーズ。ダンスの高まりにつれてライトセットも上昇、レーザーが放射状にアリーナを覆い隠し、消えるとメンバーがステージに。見事なライティングのマジックだ。
1曲目は太いグルーブのミドル曲「Pierrot Dancin'」。同名の最新アルバムの冒頭を飾るタイトルチューンであり、ライブタイトルとも連携したテーマといえる。生のKISHOWの声は、驚くほどクリアに響きわたる。一聴するとさほど高音に聞こえず、中音域の成分が多めに感じるのだが、実は高いキーで、シャウト部分ではハイトーンを苦もなく聴かせてくれる。声優ならではのボーカリングといってもいいかもしれない。
会場はアニメ系のライブで見かけるサイリウムが赤一色で揺れている。これはメタルのライブではありえない光景だが、武道館の2階まで埋め尽くしたライトが揺れる光景は幻想的ですらある。
ギターのe-ZUKAは軽やかなステップを踏み、自在に動き回りながら細かいフレーズもしっかりとしたピッキングで響かせる。そしてソロ前の変態ブレイク! ここはブレイクに合わせて手を上げるべきところ。そして続くソロではメロイックサインがメタルのお約束。ソロあとには賞賛の雄叫びだ。
2曲目はSHiNのドラムから始まるR&Rチューン「恋は mirage」。全員が音を鳴らすタイミングで、ものすごい音圧が伝わってくる。リフはギターとベースでユニゾンだ。ベーシストは神バンド経験者の瀧田イサム。6弦ベースを操る強者だ。知らない人のために説明しておくと、通常のベースは4弦だ。重低音系では低い弦を1本加えてチューニングをダルダルになるまで下げる5弦ベースを使用することが多い。6弦ベースとなると、弦の数はギターと同じで、ノーマルチューニングのままギターと同じ感覚で高い音までカバー可能だ。
GRANRODEOは、恐るべきことにライブでサポートギターを入れていない。しかし、ライブで音の薄さを感じることはなかった。それは、6弦ベースがサポートギターに代わってギターの隙間を絶妙に動き回って埋めているためでもある。そう思いながらアルバムでベースラインを追いながら聴くと、分かってもらえると思う。アルバムではダビングでギターの音も増やせるが、それでもベースの音数、音階などがギター、そしてドラムと組み合わさって薄さを消しているのだ。なおかつ、e-ZUKAのギターの音がデカイ。さすがに日本が誇るメタルバンド、LOUDNESSの高崎晃のギターよりは控えめだったが。
3曲目はファンキーな「Punky Funky Love」。ホーンも登場してファンクなムードを盛り上げる。ここまでの流れでは、GRANRODEOはR&Rをベースにしたミクスチャーロックバンドというイメージだ。ミクスチャーの代表格というと、アメリカ西海岸初のトップバンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズを思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、今やミクスチャーは珍しくもなんともなくなり、なんでもアリのバンドが増え、リスナーもさほどこだわらなくなったとも言えるだろう。こだわってるのはコアなメタルマニアだけかもしれない。
3曲目が終わると、はじめてMCが入る。そういえば、曲名も特に言わないまま進行していた。メタルにありがちな「おまえらかかってこいや!」「暴れろ!」といった煽りもないのにこの会場の盛り上がり。そして、声優さんはもれなくトークが面白いのだが、KISHOWも例に漏れずMCでしっかり笑いを取っていく。イケメンなんだから笑わせなくてもいいのに! が、e-ZUKAも負けずに笑いを取りに行く。さすがだ。
90分間MCナシでお祭り騒ぎ!この盛り上がりはなんだ!?
楽しいMCタイムのあとはギターとベースの掛け合いからはじまる「Glorious days」。ここからの流れは圧巻だった。ハードロックからファンク、メタル、メロディアスなシンガロング曲とハードさを増していく。かと思うと泣きの曲「少年の果て」を挟んで再びファストな曲を連発したりと自在に会場を支配していく。
途中、ダンスパート、楽器隊によるインストタイムを挟んで90分間MCなしのハード進行。寡黙にライブを進行するメタルのライブだと思えば特に違和感は感じなかったが、演者は大変だ。これを乱れなくこなすバンド、そしてKISHOWの喉の強さには驚嘆せざるを得ない。さらに、KISHOWのジャンプは感涙モノのかっこよさ。今のロックバンドでここまでカッチョ良く、そしてジャストなタイミングで飛べるボーカリストはそうそういないように思える。視覚に訴えるかっこよさもロックの魅力のひとつだから、これもポイントが高い。
また、ギターソロも乱れることなくライトハンド、タッピングも華麗に決め、ピッキングの実音は粒が揃い全くぶれない。途中、これは事前にCDを聞いた時に思ったのだが、イングヴェイ・マルムスティーンぽいギターソロもあったりして、ギターの上手さに勝手に納得したものだ。これに関してはファンの人にぜひ聞いてみてもらいたい。ソロベストでもいいが、世界中のメタラーが驚愕した、”アルカトラス”というバンドのギタリストとしてデビューしたアルバムも聴くとよりわかりやすいかもしれない。
さらに最近のトレンドとして、BABYMETALにも曲を提供したDragonForceという超絶テクニカルメタルバンドもチェックしておきたい。ライトハンドやタッピングしまくりのリフとソロ、しかし、歌メロは彼らが大好きな日本のアニメソングを彷彿とさせる構成なのだ。GRANRODEOの曲の中でもファストなメタル曲が好きなら、オススメしたい。
GRANRODEOに話を戻すと、もうひとつ、「Y・W・F」のギターソロはものすごい速さだ。フレーズ的にはオジー・オズボーンの「Bark at the Moon」でのエンディングソロを1.5倍の速度で弾き倒しているイメージだ。この速さはまさに拍手モノ。オーディエンスのメロイックサインなり、歓声で讃えたいソロだった。
メタルにおいて、ギタリストは曲を作る人であり、超絶技巧こそオーディエンスの大好物なのだ。ボーカリストはもちろんステージ上では主役なのだが、ギタリストの存在が大きいのがメタルなのだ。
MCあとはピアノからしっとり入るR&Rナンバー「We wanna R&R SHOW」。この曲のブリッジ部分は、KISSの「Rock And Roll All Night」へのオマージュで、さらにバッキングは日本では子供バンド、RCサクセションがカバーしたエディ・コクランの名曲「サマータイムブルース」が匂う。
なんともハッピーな感じで、本編が終了。と同時に「GRAN」「RODEO」と男女パートを分けてのコールが始まる。電光掲示板が文字を表示してそれに合わせてのコールだ。こ、声が若い……!
そしてアンコールは爽快感たっぷりの「Infinite Love」からスタート、続いてはGRANRODEOライブのお約束、デビュー曲の「Go For It!」。この曲では「IGPX」と指定された人が叫ぶのだが、男女、席別はもちろんのこと、メンバーが適当な条件を指定してオーディエンスと遊ぶコーナーと化している。この日は「水着の人」でも声が返ってきて、見ると本当にたくさんいた! すごいぞ、ロデオガール。
最初にKISHOWが冗談で「IGPX」で30分やりますと言っていたが、実際、けっこうな時間をMC混じりでやっていた。会場でこのやり取りを見ていると、不思議と飽きない。なにか、どえらく楽しい気分になれるのだ。
そして最後は「IGPX」5連発でシメ。今度のコールは「もう一回、もう一回」のおねだりだ。ロデオガールの声の方が大きいのがたまらない感じだ。本当のラストはしっとり、会場の空気を静めるように「UNDER THE SKY」。最後はダンサーとホーンズも呼んで全員で挨拶。タオルをまとめて投げたり、ピックを投げたりのサービスもたっぷりやって、全22曲のライブは無事終了した。
連れてきてくれたファンによれば、今回はまんべんなく楽しめるお祭り色の強いライブとのこと。時にはマニアックなライブもやったりと色々なトライを行っているらしい。また、最近はKISHOWが声優と知らず、ロックユニットという認識で来ているファンもいるのだとか。実際、この日のライブ中でも、声優アピールは一切なかった。また、この曲はバツバツのOPです、などのアナウンスもなく、サイリウムがなければふつうのロックバンドの武道館公演に思えただろう。
メタルとしてより、ハードロックバンドとして捉えてライブに行ってみると親しみやすいはずだ。初めてでも間違いなく楽しめる。そして、ぜひ、ファンの皆さんはe-ZUKAのギターソロに拍手もしくはメロイックサインを!
取材・文=梅田勝司
01.Pierrot Dancin’
02.恋は mirage
03.Punky Funky Love
04.Glorious days
05.Fake lover's true heart
06.ナミダバナ
07.FAT SHAPER
08.チキン・ヒーロー
09.君に one way love
10.Can Do
11.move on! イバラミチ
12.Y・W・F
13.エンドレスサマー
14.少年の果て
15.CRACK STAR FLASH
16.silence
17.カナリヤ
18.modern strange cowboy
19.We wanna R&R SHOW
<Encore>
20.Infinite Love
21.Go For It!
<W Encore>
22.UNDER THE SKY
会場:赤坂BLITZ
出演:GRANRODEO/金子ノブアキ
料金:1Fスタンディング:\5,600
2Fスタンディング:\5,600
2F指定:\6,000
※ドリンク代別
GRANRODEO LIVE 2017 G7 ROCK☆SHOW 忘れ歌を、届けにきました。
会場:沖縄県・ミュージックタウン音市場(3Fホール)
出演:GRANRODEO
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オフィシャルHP先行発売・9月26日(火)~10月1日(日)23:59
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