ガウディの恋 〜水彩で彩るアーティストの恋〜/コラム『とあるアーティストの恋』
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コラム企画『とあるアーティストの恋』。アーティストの恋のエピソードと、それをもとにした水彩画をあわせてお届けします。第1回目は、誰もが一度は見たいと願うサグラダ・ファミリアを遺した建築家、ウディの恋について触れたいと思います。
多大なる功績を遺したガウディ。実は恋愛下手だったことはご存知でしょうか。ガウディは生涯独身でしたが、3度の恋に落ちました。
初めての恋は、彼が31歳のとき。建築家となってから最初の大作「カサ・ビセンス」の依頼を受けた頃でした。ジョセフィーナという離婚歴のある、小学校の教師に恋をしたのです。
口下手なガウディはひとりでは彼女と話すことができず、姪を連れて彼女の元に毎週通いました。アプローチをするも、ジョセフィーナは別の男性と婚約してしまい振られてしまいました。
2度目の恋は30歳半ばの頃と言われています。ガウディは、教会で祈りを捧げるクリスチャンの女性に一目惚れをしたのです。祈る彼女の姿は、ガウディの目に神々しく映ったのでしょうか。
恋に落ちたガウディは思いきって声をかけたのですが、彼女は修道女になり、2度目の恋も片思いに終わってしまいました。
3度目の恋に落ちたのは、ガウディが地中海に面する地へバカンスに出かけたときのことです。偶然その地に、芸術に造詣の深い知的なフランス人の女性がいました。
2人は意気投合し、時間が経つのも忘れ芸術について語り合いました。しかし、その女性には婚約者がいて、出会ってすぐ婚約者とともにフランスへ旅立ってしまいます。
その後、ガウディはしばらくして彼女の住む南フランスに出かけます。彼女の幸せを確認して諦めるためだったのでしょうか。残念ながら彼女には会うことができず帰路につこうとしたとき、彼女の白いドレス姿を認め、列車の中で泣き続けたそうです。
この恋は、ガウディの心の中に残り続けます。2人が語り合ったとき、地中海の美しさに感動する彼女に、ガウディは「いつか、この美を建築で表現したい」と言いました。ガウディが晩年を迎えた時、その思いは「カサ・バトリョ」「カサ・ミラ」に再現されることとなります。それらの建築には、ガウディと彼女が見た、地中海のきらめきと波が表現されています。
純粋で、ほろ苦いガウディの恋はいかがでしたか。今後もこの企画では、アーティストの恋のエピソードと水彩画をお届けしていきます。
水彩画・撮影・文=堀 有希子
〈参考文献〉『GAUDI ガウディが知りたい!』2004年,エクスナレッジ.