それぞれの“愛”を探して——鈴木拡樹、村井良大ら出演の舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ゲネプロレポート
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』囲み会見より
2026年1月9日(金)東京・サンシャイン劇場にて、舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の幕が開いた。漫画家・水木しげる生誕100周年記念作品として2023年に劇場公開され人気を博した映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を原案に、“盟友” 鈴木拡樹と村井良大が再び同じ舞台に立つことでも注目されていた本作。そのゲネプロの様子をレポートする。
ゲネプロレポート
物語は帝国血液銀行に勤める水木(村井)が人里離れた「哭倉村」を訪れるところから始まる。村を支配する龍賀一族の当主・時貞死去の報を受け、次期当主と目される龍賀克典(三上市朗)へいち早く取り入るためだ。龍賀の家は日本の政財界を裏で牛耳る存在。できれば彼らが秘密裏に取引している「とある薬」の秘密も握りたいという野心によっての行動である。一方、長い間行方知らずとなっている最愛の妻の“気配”を感じた鬼太郎の父(鈴木)も、彼女を取り戻したい一心で「哭倉村」へとやってくる。このふたりの出会いが、脈々と続いていた龍賀家の忌まわしい因習を暴くことになるのだが——
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
村井の水木はビジネスマンらしくスーツに身を包み、何をするにもしっかりと自身の心に問いかける“勇気の人”。地獄絵図の戦地から命からがら生き延びたからこそ、「この拾った命を科学の進歩と共に良き社会、良き日本のために活用したい」と考えている。正義感あふれる青年らしい青年像だ。綺麗なブルーの素朴な着物を纏った鈴木の鬼太郎の父は、“愛の人”。幽霊族という人外の存在だが、欲と争いから一番遠いところに生き、大切なものを大切にしたいとシンプルに願っている。自身の哀しみは深くしまい込み、周囲への優しい眼差しを忘れない。軽妙洒脱な振る舞いも魅力的である。
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
当主継承にまつわる一族の連続惨殺事件の発生、社会から切り離されたような煤けた村の異様な有り様と、そこに巣食う妖怪の影、そして、人間たちの底知れない欲望。水木と鬼太郎の父が飛び込んだのはまさにとんでもない場所であった。事前インタビューでも「言葉のやりとりの芝居を楽しみたい」と語ってくれたように、互い以外はほぼ敵という状況の中、共に濁らぬ信念を貫く者としてふたりがバディとして手を組む過程は小気味よく、“因習村”の恐怖に巻き込まれていく観客も「彼らがいればここから抜け出せる」という希望を感じることができる。
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
現実世界と妖怪たちのいる世界とを舞台ならではのアイデアで伝えてくれる場面転換の数々もいい。アンサンブルを含めた役者たちの身体能力を大いに活用しつつ、シンプルだが効果的な装置の移動、世界観にさらに没入させてくれる映像などを駆使してスムーズに変容していく、舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』だけの「哭倉村」だ。
「情報収集を始めるぞ」と水木が言う。大きく頷き鬼太郎の父も走り出す。彼らの行く先にあるものを、私たちも一緒に見届けていこう。
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』舞台写真
本公演は、1月25日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演、その後、1月29日(木)~2月2日(月)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2月7日(土)・2月8日(日)佐賀・鳥栖市民文化会館大ホールにて上演。
また大千穐楽公演を含む3公演のライブ配信、本公演のBlu-rayが9月9日(水)に発売されることも決定した。
囲み取材キャストコメント
■鈴木拡樹(鬼太郎の父)
鈴木拡樹
2026年が明けめでたい中、この舞台が一発目で本当に良かったという思いを噛み締めております。このお話は人間関係が結構複雑なのですが、妖怪サイドとしてはどういうふうにそこに関わっていくのかの試みは演じていてすごく面白いですし、ヒューマンドラマを楽しんでいるところにいきなり出てくる異物感、というところが僕の役の面白さかなと思います。また、妖怪たちとの激しいアクションも見どころです。人物同士はもちろん、大きな妖怪や、それらを表現した映像と闘うシーンもあり、いろんな見せ方で迫力ある表現をしていますので、そこもぜひ楽しんでください。
みんなも言うように、「愛」とかいろんな裏テーマが散りばめられている本作。みなさんにはぜひ鬼太郎作品の原点であるこのエピソードを観て、その後に深く考察をしてみるといろんなことが見えてきたりするのでは…と。「もっと深く知りたい!」と、何度も考えて楽しんで、ぜひSNSなどでも盛り上がっていただければいいんじゃないかな。
本当にたくさんの人に見ていただきたい作品となっております。我々一同全力で千穐楽まで駆け抜けたいと思います。どうぞこの物語を見届けてください。
■村井良大(水木)
村井良大
ようやく初日の幕が開き、とても嬉しく思っております。しかも初日からライブ配信! 今は初日の高揚感とミスできないといういろんな思いが混ざり合って、不思議な状態になっているような気がします。ただ、舞台は日々進化するものなので、初日の舞台を観ていただいた方も「もう一度観たい」とライブ配信やライブビューイングも視聴してもらえますと嬉しいです。
みどころはもう沢山あるのですが、やはり映像とのアクションや、「狂骨ってこんなにでっかいんだ!」というのも目の当たりにできる滅多にないチャンスですので、ぜひ劇場で体感してもらいたいと同時に、これは出演者としての感想なのですが、水木がずっと喋って一番出ているかなと思いきや、アンサンブルの方たちが本当に一瞬ではけて一瞬で出てくる。その早着替えの凄さは本当に「謎」で、僕はまだ解けていません。人力の凄さも感じてください。
この物語は怖いお話に見えて実は「愛」というテーマが根底に流れているのがすごく面白くて、舞台上では本当に血まみれ、血だらけになっている作品ですが、見終わった後に、「あれ? これって“○○の愛”の話だったんじゃない?」ってすごく感じられると思います。ぜひ家族とか大切な人と一緒に見てもらえたら嬉しいです。
■岡本姫奈(龍賀沙代)
岡本姫奈
初日を迎え、これまでで一番、緊張しています。グループを離れて初めて挑戦する舞台で、素晴らしいキャストのみなさまと、素晴らしいスタッフのみなさんと一緒に参加できるなんて、本当に恵まれているなぁと思っています。わからないこともたくさん教えていただき、成長できたなと感じる稽古期間でした。今まで積み重ねてきたものを信じて千秋楽まで一生懸命演じたいと思います。
私の演じる沙代は静かなシーンでも心の中では大きな感情が動いていますし、沙代目線でこの物語を見ていただけたりすると、また楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。物語にある「重み」もぜひ感じ取ってください。心に残るような作品にできたらなと思っています
■中屋敷法仁(演出)
中屋敷法仁
原案となる映画もとても魅力的な作品で、人間の憎しみや悲しみがすごく伝わってくると思うんです。舞台は、脚本の毛利さんが非常に演劇愛、人間愛に溢れる方で、その毛利さんの手によって、憎しみや悲しみにまみれていたこの作品が劇場空間では喜び、慈しみ、愛おしみといった、とても幸せなメッセージまでを内包しているようになったと思います。意外と怖い作品というよりは、とても愛おしい作品となっていると感じております。
昨日まで劇場でリハーサルをしていたのですが、現場は最後まで笑いと悲鳴と涙が止まらないという状況でした。キャストのみなさま、クリエイターのみなさまのチームワークとエネルギーによって作り上げた舞台、健やかに花開くことが嬉しいです。早く観てほしいという気持ち以上に、自分も早く客席で観たいという気持ちでいっぱいです。ぜひ劇場やライブ配信、ライブビューイング、様々な方法でご覧いただけますと嬉しい限りです。
公演(配信・上映)
(C)映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会 主催 舞台「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会
■原案 映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
■脚本 毛利亘宏(少年社中)
■演出 中屋敷法仁(柿喰う客)
■音楽 川井憲次
■出演
岡本姫奈(乃木坂46) 沢海陽子 しゅはまはるみ 岡内美喜子
コッセこういち 加藤啓 中田翔真 橋本偉成
三上市朗 良知真次
■日程・会場
大阪:2026年1月29日(木)~2月2日(月)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
佐賀:2026年2月7日(土)・2月8日(日)鳥栖市民文化会館 大ホール
■ライブ配信
1月9日(金)19:00 東京初日公演(特典映像:メイキング映像)
1月25日(日)17:00 東京千穐楽(特典映像:キャストインタビュー映像)
2月8日(日)13:00 佐賀大千穐楽
詳細は公演特設HP https://www.kitaro-tanjo-stage.com/ まで
■ライブビューイング 全国映画館にて開催
2026年2月8日(日)13:00 佐賀 大千穐楽公演
※受付は1月11日(日)23:59 まで
2026年9月9日(水)にBlu-rayの発売が決定。限定予約版はスペシャルディスク付き
https://www.toei-video.co.jp/special/kitaro-tanjo-stage/