都響 × スウェーデン放送合唱団 至高の合唱と雄弁な管弦楽の至福の融合
-
ポスト -
シェア - 送る
至高の合唱と雄弁な管弦楽の至福の融合
1996年、皆が驚いた。それはアバド指揮ベルリン・フィル来日公演の「復活」と「第九」におけるスウェーデン放送合唱団の歌声。無類の透明感、人数に比例しない信じ難い大迫力、そして精緻にして広大な表現力は、本物の合唱が何たるかを強烈に実感させた。以来約20年、彼らは再三来日し、世界最高峰の名唱を聴かせてきた。そしてこの10月、都響の定期演奏会に登場する。しかも一部参加ではなく、全曲でフィーチャーされる。柔軟な発想が際立つ都響ならではの、大英断プログラムといえるだろう。
1925年に創設された同合唱団は、“合唱の神様”エリクソンによって世界一の技量を、名匠カリユステによって幅広い名声を獲得した。今回の指揮者は、両者の薫陶を受けたペーター・ダイクストラ。2007年から首席指揮者を務める彼は、バイエルン放送響やベルリン・ドイツ響などへの客演でも評価が高く、“都響の定期”を振るにこの上ないマエストロだ。
演目がまた凄い。何と1曲目は“無伴奏合唱曲”のリゲティ「ルクス・エテルナ(永遠の光)」。16部(!)混声合唱という驚異の傑作で、まずは繊細極まりない声のポリフォニーを味わえる。次のシェーンベルク初期の「地には平和を」は、すこぶる美しく感動必至の名品。合唱の公演では無伴奏で歌われる同曲を、管弦楽付きの版で聴く貴重な機会でもある。後半のモーツァルト「レクイエム」は、もう説明不要。立体的なサウンドや劇的な表現力で唸らせる今の都響と、あの雄弁な合唱が合体した歴史的「モツレク」に浸れば、それで充分だ。
オーケストラ・ファンも合唱ファンも、文句なしに必聴!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)
10/15(木)19:00 東京文化会館
10/16(金)19:00 サントリーホール(完売)
■出演:
指揮/ペーター・ダイクストラ(スウェーデン放送合唱団首席指揮者)
ソプラノ/クリスティーナ・ハンソン
アルト/クリスティーナ・ハマーストレム
テノール/コニー・ティマンダー
バス/ヨアン・シンクラー
合唱/スウェーデン放送合唱団
■曲目:
リゲティ:ルクス・エテルナ (1966)(無伴奏混声合唱)
シェーンベルク:地には平和を op.13 (混声合唱と管弦楽)
モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 (ジュスマイヤー版)
■問合せ:都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp