中村獅童インタビュー~三谷幸喜新作『江戸は燃えているか』に勝海舟役で出演、「芝居は一期一会。その日限りの笑いを劇場で楽しんでほしい」
中村獅童(撮影:中田智章)
時は慶応四年。江戸を戦火から守るべく、一世一代の大芝居の幕が上がる。三谷幸喜が書き下ろす、歴史に名を残す偉人と名を残さなかった庶民たちのおかしく愛おしい群像喜劇『江戸は燃えているか TOUCH AND GO』。“新橋演舞場史上、もっとも笑えるコメディ”として2018年3月に幕が上がる本作は、“大河ドラマには決して出てこない勝海舟”を中心に物語が繰り広げられる。舞台の三谷作品には初出演となる勝海舟役・中村獅童に話を聞いた。
――今回の出演が決まった時のお気持ちをお聞かせいただけますか?
とにかく、三谷さんとまたやらせていただけるというのは嬉しいですよね。大河ドラマ『新撰組』以来です。僕、舞台で三谷さんとご一緒させていただくのは初めてなんですよ。だから詳しい話を聞く前に、作・演出が三谷さんと聞いた時から、舞台という形でご一緒できるということが嬉しかったんです。
――演出や稽古場のムードなど、三谷さんの現場ならではの魅力とはどういうものなのでしょうか?
三谷さんに丸裸にされちゃうというか、そういう感覚があります。自分すら気づかなかったような未知の部分、新たな一面を引き出して下さるんですよ。だから、この作品の勝海舟という役では、どういう僕を引き出してくださるのだろうかと、すごく楽しみにしています。基本、三谷さんの脚本って当て書きですから、出来上がった台本を読むのも今から楽しみです。
――「喜劇」への強い想いをお持ちだそうですね。喜劇に出演する際に、中村さんが大切にされていることは何ですか?
喜劇をやる時は、一緒になってひょうきんにはならないこと。自分はいつもシリアスでいるということですね。観ていてどれだけ笑えても、やる方は真剣に、シリアスに向き合っていくということです。
――今回の役柄についてはいかがでしょうか? “大河ドラマには決して出てこない勝海舟”と三谷さんは仰っていましたが……。
勝海舟という人物は、歴史が好きだったり、少しでも興味がある方であれば、“なんとなくこういう人”っていうイメージを持っていると思うんですよね。でも、今回この『江戸は燃えているか』に出てくる勝海舟は、いわゆる皆さんが思い描く勝海舟ではないと思うんです。でも、観てくださった方が「もしかしたら、勝海舟ってこんな人だったのかもしれない」「こんな一面を持ってた人なのかも」って思ってもらえるような、新たな勝海舟像を作っていきたいです。
――松岡昌宏さんをはじめ、共演者の方々の印象はどうでしょうか?
松岡くんとは、一緒のドラマに出た事はあったけど、絡みは全然なかったんです。だからこそ、こうして舞台で初めてガッツリやるのは、楽しみですね。田中圭くんとはTV番組で何回かご一緒したことはありますが、舞台ではやはり初めてですし、他の方々も、ほとんどの方が初めてなので、どんな座組みになるかとても楽しみですね。
――多くの方が舞台の幕開けを楽しみにしていることと思います!最後に公演への意気込みをお願いいたします。
今は笑いが少ない世の中というか、大笑いすることがそんなに多くない世の中だと思うんです。だからこそ、ぜひ劇場に来て、大いに笑って三谷ワールドを堪能していただきたいですね。舞台は映像作品とは違って、一期一会で残らないものです。その日のその瞬間、その日限り。すべてが一度きりですから、とにかく、劇場に足を運んでいただくことが生の演劇の醍醐味です。ぜひ多くの人に生の芝居を感じてもらえたらと思います。
取材・文=杉田美粋
写真撮影=中田智章
ヘアメイク:masato(marr)
スタイリスト:長瀬哲朗(UM)
■日時:2018年3月3日(土)~3月26日(月)
■会場:新橋演舞場
■脚本・演出:三谷幸喜
■出演:中村獅童、松岡昌宏、松岡茉優、高田聖子、八木亜希子、飯尾和樹、磯山さやか、妃海風、中村蝶紫、吉田ボイス、藤本隆宏、田中圭