古川雄大“想像以上の世界”を携えて出航!『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』ゲネプロレポート
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
2017年12月31日(日)、TBS赤坂ACTシアターにて『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』が開幕。今作品で描かれるのは、原作コミック11~14巻に掲載され、今年1月には劇場版アニメ「黒執事 Book of the Atlantic」として映画公開された人気のエピソードだ。ミュージカル化に伴ってよりスケールアップした“豪華客船編”が、いよいよ出航の時を迎えた。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
19世紀の英国。セバスチャン・ミカエリスは、名門貴族ファントムハイヴ家に仕える万能の執事。しかし、その正体は、13歳の当主シエル・ファントムハイヴと契約した“悪魔”だった。女王の密命を受け暗躍する“悪の貴族”シエルと共に、裏社会の事件を闇で片付けている。契約が完了する最期の日まで――。
ある日、「死者蘇生」の噂を耳にしたシエルとセバスチャンは、その真相を探るうちに「医学による人類の完全救済」を掲げる秘密結社・暁(アウローラ)学会の存在にたどり着く。2人は調査のため、暁(アウローラ)学会の集会が開かれるという豪華客船『カンパニア号』に乗り込むが……!?
まず、原作を知るファンにとって、豪華客船の世界観がどのように表現されるか?という点が気がかりだろう。しかし心配ご無用、幕が開けてものの数分でゴージャスな舞台セットがお目見えし、優雅な空気感に一気に惹き込まれる。
セバスチャン・ミカエリス役は、2015年『地に燃えるリコリス2015』、2016年『NOAH'S ARK CIRCUS』に続いて古川雄大が続投。気品あふれる佇まいで一つひとつの所作が美しく、抜群のスタイルを活かしてのアクションシーンにも目を奪われる。やわらかな声を美しい揺らぎで操る圧倒的な歌声も健在で、伸びやかな高音とファルセットが存分に堪能できる楽曲が盛りだくさん。また、ふと気が付くと他のキャラクターに隠れたところでも意味深な表情を浮かべているので、どんな場面でも思わずセバスチャンの姿を確認したくなってしまう。そんな細やかな仕草に見惚れるうちに“生執事”の世界へどんどん惹き込まれていく。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
セバスチャンが仕えるファントムハイヴ家の当主・シエル役も、前作に続いて内川蓮生が続投。13歳の少年でありながら艶のあるシエルを等身大のままに熱演した。『NOAH'S ARK CIRCUS』では、ときにセバスチャンの手を借りる姿も見られたが、本作ではフィアンセのエリザベスを懸命に守り抜く姿に心打たれる。その表情はどこか大人びて見え、歌声もより安定して力強くなった印象。シエルの成長と内川自身の成長がぴたりと重なる瞬間だった。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
今作品では、シエルとセバスチャンの関係性がより深く描かれている。悪魔と契約者という立場でありながら、お互いに信頼し合っていなければ成り立たない関係。そんな独特の空気感を再現できるのは、前作より共に駆け抜けてきた内川と古川だからこそ。本作から新たに迎えた演出家・児玉明子によるあっと驚く仕掛けで、2人の絆がますます印象的なものになっている。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
シエルのフィアンセであるエリザベス・ミッドフォード役には、アイドルグループ「さくら学院」で活躍中の岡崎百々子。ストーリーが展開するうえで欠かせない存在であり、シエルとの掛け合いも微笑ましい。ミュージカル初出演とは思えないほどに堂々とした振る舞いで、ふわふわでかわいい、けれどしっかりと芯が通った女の子を好演。内海啓貴演じる妹思いの兄・エドワード、秋園美緒演じる母・フランシス、那須幸蔵演じる父・アレクシスも登場して、ミッドフォード家一同は大活躍を見せた。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
グレル・サトクリフ役の植原卓也、葬儀屋役の和泉宗兵、ドルイット子爵役の佐々木喜英ら、生執事においてお馴染みのキャストも見せ場たっぷり。おちゃめで憎めないグレルと、“美形の変態”というキャラクターに振り切ったドルイットがお目見えするシーンでは、2年ぶりの登場を待ちわびていたかのように全力でパフォーマンス。生執事の初演から毎回出演している葬儀屋はさすがの存在感で、会場の空気をも操っているかのよう。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
グレルの相棒となり活躍するロナルド・ノックス役の味方良介、ファントムハイヴ家に身を置くスネーク役の原嶋元久、暁学会の会長リアン・ストーカー役の河合龍之介は、生執事シリーズに初参加。個性豊かなキャラクターたちが新鮮な風を送り込んだ。
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
フレッド・アバーライン役の高木俊※と、シャープ・ハンクス役の寺山武志による“アバハン”の存在も欠かせず、絶妙な間で笑いのエッセンスを加えてくれる。そして何より、アンサンブルキャスト無しには成り立たない。豪華客船の優雅な雰囲気を演出したり、人々をパニックに陥れたりと、その両極端な役割を20人のキャストが担う。本当に20人だけ?と思いたくなるほどに大迫力の演出を、ぜひ劇場で体感してほしい。
(※高木俊の「高」はハシゴダカが正式)
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
『ミュージカル「黒執事」-Tango on the Campania-』
◆児玉明子(演出家)
回を重ねるごとにスケールアップし続けている舞台を演出させていただけることは、大きな喜びであると共にプレッシャーでもあります。ですが『ミュージカル黒執事』の先輩である、心強いキャストやスタッフの方々、そして私と同じように初参戦のフレッシュなメンバーと共に、一生懸命作品創りに取り組んで参りました。今回の豪華客船編。セバスやシエルはもちろん、ドルイット子爵、葬儀屋、グレルやロナルドをはじめとするオールスターの人気キャラクターに加え、ミッドフォード家も舞台初出演になります。そしてダンス、殺陣、歌に大活躍の総勢20名におよぶアンサンブルキャスト。まるで“豪華客船”に乗り込んだように、全員一丸となって取り組むこの舞台が、ご観劇いただくお客様に、素敵な年納めと年初めのご観劇としてお届けできますことを心より願って―。
◆古川雄大(セバスチャン・ミカエリス役)
『ミュージカル黒執事 豪華客船編』、このお話はアニメ映画にもなり大人気のストーリー、今回は舞台化ということで、キャスト、スタッフかなり気合を入れて稽古してきました。その過程はとても過酷なものとなりましたが、出来あがったものは想像以上のものになりました。信頼できるスタッフ、豪華なキャスト、実力派揃いのアンサンブルと共に、黒執事の世界を皆さまにお届けできたらと思います。ご期待ください。
◆内川蓮生(シエル・ファントムファイヴ役)
シエルと同世代で2度演じることができて、とても嬉しいです。それができるのは、応援してくださる皆さん、キャストの皆さん、スタッフさんが支えて下さっているからだと思っています。自分がシエルとして生きた2年間が、僕自身にすごく大きな影響を与えてくれました。本当にシエルも黒執事も大好きです! これからの公演、カンパニーみんなで頑張ります。応援、宜しくお願いいたします。
◆植原卓也(グレル・サトクリフ役)
いよいよキャスト、スタッフ一同が心待ちにしていた日を迎えます。そして長い間楽しみに待ち望んでくださっていた観客の皆さまの前で、初の豪華客船編を披露することになります。その名の通り、これまでとは一味違う豪華なセット、豪華なキャスト陣の集結で、とても力強い作品をお届けできる予感がしています。また、2009年から演じさせていただいているグレル・サトクリフを、今回2年ぶりに披露させて頂くことにも色々な想いが溢れます。楽しみなのはもちろん、他のステージで得てきたものを自分なりにしっかりと役に反映させた今だからこそ出来る『ミュージカル黒執事』を、お届けしたいと思います。
◆和泉宗兵(葬儀屋役)
長く黒執事という作品に携わらせてもらってきたので、豪華客船編の葬儀屋を舞台で成立させるのは簡単ではないと自覚していました。今回お話をいただいた時のことを今でも鮮明に覚えています。まさかという気持ち、嬉しい気持ち、ありがたい気持ち、自分に出来るのか?という気持ち。そして同時に覚悟の気持ちも芽生えました。2017年はこの生執事のために過ごしてきたと言っても過言ではないと思っています。作品内容はまさに豪華で、演出・舞台美術・音楽・照明・音響・衣装・メイクなどのスタッフワークもそうですが、黒執事の人気キャラクターたちも宝石箱のように現れます! 古川雄大、内川蓮生が牽引する座組は、お馴染みの手練れキャストと新しい力強いキャストで盛り上がり、生執事史上最大人数のアンサンブルキャストが作品を更に昇華させてくれています! をお持ちの皆さん、どうぞ極上の現実逃避の時間をお楽しみください!
◆佐々木喜英(ドルイット子爵役)
前々作の『地に燃えるリコリス』再演ぶりに、この黒執事の世界に戻って来られた事をとても嬉しく思っています。前作『NOAH'S ARK CIRCUS』の公演を拝見しましたが、あらためて黒執事という作品の素晴らしさを体験し、次回作を楽しみにしていました。今回は、原作でとても人気のある豪華客船編ということで皆さまの期待値も高いと思いますが、その期待を上回る作品になるよう、カンパニーの一員として美しく、華やかにドルイット子爵を演じたいと思っています。観に来てくださるお客さまを、波乱万丈の航海の旅にお連れしますので、ぜひご期待ください!
取材・文・撮影=堀江有希
★関連記事:古川雄大、植原卓也、佐々木喜英インタビュー
脚本:Two hats Ltd.
演出:児玉明子
内海啓貴 秋園美緒 那須幸蔵 河合龍之介/和泉宗兵/佐々木喜英 ほか
(※高木俊の「高」はハシゴダカが正式)
■東京公演
2017年12月31日(日)~2018年1月14日(日)
TBS赤坂ACTシアター
*全公演とも開演1時間前より当日券を販売。また、イープラスにて公演前日18時まで当日引換受付あり。
2018年1月19日(金)~22日(月)
神戸国際会館こくさいホール
2018年1月26日(金)~28日(日)
江南市民文化会館
2018年2月3日(土)・4日(日)
本多の森ホール(北陸電力会館)
2018年2月10日(土)~12日(月・休)
久留米シティプラザ ザ・グランドホール
http://www.namashitsuji.jp
■会場:全国各地の映画館
実施映画館はこちら>>http://liveviewing.jp/namashitsuji2017/
※開場時間は映画館によって異なります。
■:3,600円(全席指定/税込)
■スケジュール
【最速先行(抽選)】
2017年12月18日(月)12:00~2018年1月10日(水)12:00
【プレオーダー(抽選)】
2018年1月17日(水)15:00~2018年1月21日(日)23:59
【一般発売(先着順)】
2018年2月1日(木)18:00~2018年2月9日(金)12:00
※一般発売は先着順での受付となりますので、予定枚数に達し次第受付終了となります。
プレイガイドに関するお問い合わせ
▶イープラス:0570-07-5050 (全日10:00~18:00 オペレーター対応)
※2017年12月31日(日)~2018年1月2日(火)は年末年始の為、休業となります。