上白石萌歌主演、上田誠演出の舞台『続・時をかける少女』が開幕! 戸塚純貴がバブル男、新内眞衣がシノラーに?!
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『続・時をかける少女』
オールナイトニッポン50周年記念公演 舞台『続・時をかける少女』が2月7日から14日まで東京グローブ座にて上演される。主演は上白石萌歌、脚本・演出はヨーロッパ企画の上田誠。開幕初日の7日には、マスコミ向けの公開稽古(ゲネプロ)と会見が行われ、上田の他、主演の上白石萌歌、共演の戸塚純貴、健太郎、新内眞衣(乃木坂 46)、そしてMEGUMIが意気込みを語った。
「時をかける少女」は、筒井康隆の大ヒットSF青春小説だ。1967年に発表された後も、大林宣彦監督×原田知世の映画版、細田守監督によるアニメ版など多くの作品が生んだ。しかし、今回の舞台は、筒井康隆公認の続編として創られた小説「続・時をかける少女」(作・石山透)をベースとしたもの。さらに上田が、"エッセンスは残しつつ”大胆なアレンジを加えている。
オールナイトニッポン50周年記念の舞台作品ということもあり、開演前に流れる「上演中のお願い」は同番組のBGMでスタートする。さらに乃木坂46のメンバーであり『オールナイトニッポン0』のパーソナリティも務める新内が、注意事項をアナウンスしてくれる。ラジオリスナーの方は時間に余裕をもって来場を!
『続・時をかける少女』左から、上田誠、新内眞衣、戸塚純貴、上白石萌歌、健太郎、MEGUMI
ここから、作品の演出やあらすじに関するネタバレを含みますのでご注意ください。
あの『時かけ』がドタバタコメディに
ステージ下手には、学校の校舎。青空には入道雲。上手には、人体模型や実験用具が並ぶ「理科準備室」も見える。
主人公の和子は、2018年を生きる女子高生。1年前に、同級生の“深町くん”(実は未来人だったケン・ソゴル(戸塚純貴))と恋に落ちるも、別れを余儀なくされた。別れの時、ケンと過ごした時間の記憶をすべて消されたため、和子は何事もなかったかのように学校生活を送っている。
原作の小説や映画、アニメ、ドラマでは、理科準備室は別れの場。そしてラベンダーの香りを思い出す方もいるかもしれない。しかし舞台『続・時をかける少女』は“青春SFドタバタコメディ”だ。残念ながら(良い意味で)、感傷的な気分に浸る暇はない。
舞台『続・時をかける少女』新内眞衣
「もともとの小説はコメディではありませんでした」と、脚本・演出の上田は語る。
「オリジナルの『時をかける少女』で、和子とケン・ソゴルは、切なくも美しい別れをしました。そのケン・ソゴルが戻ってくるという時点で、これはもうコメディだなと」「戻ってくるケンも、ケンの頼みごとを引き受けてしまう和子も馬鹿馬鹿しい。可愛らしく馬鹿馬鹿しくみせられたらいいなと思いながら、この作品を創りました」
20世紀をかける、2018年の女子高生
和子の前に戻ってきたケンは、「タイムトラベル中に行方不明になった3人の科学者を探すのを手伝ってほしい」と言う。しかし和子には、ケンとの記憶がないため、和子は戸惑い逃げ回る。さらに未来からケンの仲間3人が加わって、ドタバタコメディへと発展していく。
行方不明になった科学者を探し、コギャルが闊歩する1996年の渋谷や、バブル崩壊直前の1990年六本木、70年代の原宿や60年代の新宿をタイムトラベルする中で、主人公の和子は、時代を象徴するような人たちに出会っていく。上白石は、自然体だがぶれない演技で和子役を好演。会見では、上田の作品づくりのプロセスに刺激を受けたことを明かした。
「エチュードから創っていく作業をしました。すごく新鮮でした。台詞通りにやる前に、1回自分の言葉にすることで、すごく自然に演技が出るようになりました」
舞台『続・時をかける少女』上白石萌歌
ケン役の戸塚純貴は、バブリーなスーツに身を包んだり、渾身の壁ドンを披露したりと笑いどころはたくさんあるが、和子への対応に戸惑う、腰の引けた姿勢ひとつをとってみても可笑しみを感じさせる。物語の序盤では、強引に和子をタイムトラベルに巻き込んでおきながら、次第に和子に振り回されていく様も面白い。会見では「懐かしさと新鮮さを感じてほしい」とコメントした。
舞台『続・時をかける少女』戸塚純貴
和子の幼なじみで同級生の吾朗役を演じるのは、健太郎。本作が初めての舞台作品だという。会見では「稽古中、上田さんの使う演劇用語が分からなくて“何言ってんだろう』”と思う時もありました(笑)」「皆さんに助けていただきました」と振り返るが、舞台では堂々とした演技。ステージ上の限られた空間で、実際にバスケットボールのドリブルをしてみせるシーンも見事に決めていた。
『続・時をかける少女』健太郎
MEGUMIは、ニットワンピに身を包む教師役や、コギャル役等、印象の異なるキャラクターを、存在感ある台詞まわしと佇まいで演じて場をさらう。会見では「甘酸っぱさと、青春と、お笑いと、カルチャー。様々な要素がひとつになった作品」と見どころを紹介した。
舞台『続・時をかける少女』MEGUMI
新内眞衣は「皆さんが本当に優しい。乃木坂のメンバーの中って温かいなと思っていたのですが、外に出ても温かいので、これから冷たい環境に行った時のことを考えると不安で!」とカンパニーの仲の良さを感じさせるコメント。劇中では、奇抜な衣装の“シノラー”、“オヤジギャル”から母親役まで、思い切った演技で楽しませてくれる。
舞台『続・時をかける少女』新内眞衣
阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一朗がスパイスを効かせれば、バッファロー吾郎Aも登場、ヨーロッパ企画の石田剛太、諏訪雅、土佐和成、永野宗典、そして青年団の島田桃依が息の合ったドタバタで盛り上げる。
会見の最後、コメントを求められた上白石は「お客様ひとりひとりがタイムトラベラーとなれる作品です。皆さんと一緒に時をかけられたらいいなと思います」と意気込みを語った。
その言葉のとおり、アナログとデジタルを駆使した舞台美術や、時代ごとの個性を滲ませたBGM、時間軸が行き来するストーリー展開、そして劇場を駆け巡る俳優陣のパワー。上演時間の2時間5分には、観る者をタイムトラベルに誘い出すギミックが詰め込まれている。
舞台『続・時をかける少女』は、2月7日より14日まで東京グローブ座、その後は大阪、高知を巡演する予定。
取材・文・撮影=塚田史香
■日程:2018年2月7日(水)~14日(水)※13日(火)14:00追加公演決定!
■会場:東京グローブ座
■日程:2018年2月17日(土) ※夜公演追加決定!
■会場:森ノ宮ピロティホール
【高知公演】
■日程:2018年2月20日(火)
■会場:高知県立県民文化ホール オレンジホール
■脚本・演出:上田誠(ヨーロッパ企画)
■出演:上白石萌歌、戸塚純貴、健太郎、新内眞衣(乃木坂46)、石田剛太(ヨーロッパ企画)、諏訪雅(ヨーロッパ企画)、土佐和成(ヨーロッパ企画)、永野宗典(ヨーロッパ企画)、島田桃依(青年団)、中山祐一朗(阿佐ヶ谷スパイダース)、バッファロー吾郎A、MEGUMI
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(東京・大阪共通)
【東京】S席7,800円、A席(3F)6,800円、学生シート3,000円
【大阪】7,800円