石丸幹二、笹本玲奈、宮澤エマ、田代万里生らが魅せる! 新たな、ミュージカル『ジキル&ハイド』稽古場レポート

レポート
舞台
2018.2.14
『ジキル&ハイド』の稽古の様子

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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R・L・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』が原作の人気ミュージカル『ジキル&ハイド』が、2018年3月3日から東京などで上演される。医師として理想を追求するも、分裂する人格を制御しきれず、愛と欲望の狭間で深く苛まれるというジキルとハイド役を石丸幹二が3度目の主演で挑む。複雑な思いを胸にハイド氏の凶暴な人格に心惹かれる娼婦ルーシー役を笹本玲奈、ジキル氏の婚約者であり一途に彼を愛する可憐な姿が切ないエマ役を宮澤エマがそれぞれ初めて演じる。稽古中盤の2月中旬、都内の稽古場を見学した。

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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午後3時過ぎ。稽古場では第一幕第三場、セント・ジュード病院での理事会の場面の稽古が始まっていた。石丸が演じるジキルが、病院の最高理事会で長年研究を続けてきた「人間の善と悪を分離する薬」の人体実験の許可を得ようとする。精神のコントロールを失った父を救うため、そして人類の幸せと科学の発展にも寄与できるとジキルは確信するものの、上流階級の面々が集う理事会で、ジキルの要求は採決により一方的に却下されてしまうという緊張感のあるシーンだ。

ジキルの婚約者のエマの父であるダンヴァース・カルー卿役の福井貴一が、芝居の「間」について言及し、演出と俳優陣が議論を交わす場面も。感情をどのように表現すればいいのか、どのような動きが一番伝わるのか。丁寧に作り上げている印象があった。

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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続いて、ジキルの弁護士で友人でもあるガブリエル・ジョン・アターソン役の田代万里生と石丸が歌う楽曲「真実を追えば」など。二人の役柄の親しい関係性がよく滲み出ている芝居で、好感が持てた。過去のアターソンを演じた俳優と比べると、16年の時の石川禅や、12年の時の吉野圭吾よりも相当若々しく見える田代。それがどんな効果を発揮し、どんな新生アターソンを見せてくれるのか。製作発表時に語っていた「今までの『ジキル&ハイド』の伝統を引き継ぎつつ、新しいアターソンを生み出せたら」と語っていた田代に期待したい。

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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第四場では婚約パーティーのシーンをやり込んだ。ジキルとエマのデュエット曲「ありのまま」。石丸と宮澤の高い歌唱力で魅せてくれた。なんとも美しい場面なのだが、二人が「気持ちよく」「歌いながら」抱き合うためにはどうしたらいいのかという研究が始まる。肩に手を回すタイミングや寄り添う角度などを20分ほどあれこれ試していた。ここでも丁寧に計算しながら作品を作る様子が垣間見えた。

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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午後6時半過ぎ。第五場のパブ「どん底」の場面。ジキルとルーシーの出会いを描いている重要な場面だ。2012年、2016年の再演ではエマ役で出演し、今作から娼婦ルーシー役を演じる笹本。製作発表では「エマをやっていた頃の自分をすっかり忘れてしまいました」などと語っていたが、今回は確かにすでにエマのような雰囲気は良い意味で感じなかった。今作が妊娠、出産後の復帰作となるが、堂々の貫禄と妖艶さを放っていた。役にのめり込んでいる証拠だろう。

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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およそ4時間の稽古場見学。小休憩を2回挟んだだけで、あとは濃密な稽古が展開されていた。石丸はSPICEのインタビューで「きっと僕もこれまでとは違ったアプローチになるだろうし、どの再演とも違った作品になるだろうね。筆や絵の具が変わるように、人が変わると舞台の仕上がりも変わるから」と語っていた。そんな今回の新しい『ジキル&ハイド』の全体像を早く劇場で確かめたいと思う。

『ジキル&ハイド』の稽古の様子

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取材・文・撮影=五月女菜穂

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公演情報
ミュージカル『ジキル&ハイド』

■日程:2018年3月3日(土)~18日(日)
■会場:東京国際フォーラム ホールC
■音楽:フランク・ワイルドホーン 
■脚本・詞:レスリー・ブリカッス 
■演出:山田和也 
■上演台本・詞:高平哲郎
■出演:石丸幹二、 笹本玲奈、 宮澤エマ、 田代万里生、 畠中洋、 花王おさむ、 福井貴一 ほか
■料金(全席指定・税込):S席13,000円、 A席9,000円、 B席4,500円
■公式サイト:http://www.tohostage.com/j-h/

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