渋谷のど真ん中に誕生した、新たなカルチャー/音楽の発信地「hotel koe tokyo」って何だ!?
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hotel koe外観
渋谷公園通りは勤労福祉会館前交差点に出現したガラス張りの建物。入り口上の看板を見上げると「hotel koe」という文字。中を覗くと、食事やお茶を楽しむ人もいれば、DJが流す音楽に合わせて踊っている人もいる。誰もが想像する”ホテルのロビー”とはまた異なるオープンな空気を目にして、「一度行ってみたい」と思っている人も多いのではないだろうか。
hotel koe 1F
hotel koe 2F
hotel koe 客室
街行く人々の目を引くこの建物の正体は、ライフスタイルブランド「koe」が、そのブランドコンセプト“new basic for new culture”を空間化した新感覚のホテルだ。1階はベーカリレストランとイベントスペース、2階はアパレルショップ、3階が宿泊施設となっており、“ステイ”と“ファッション”、“ミュージック&フード”という3つの角度から、新たなカルチャーを発信するべく、さまざまな仕掛けがちりばめられている。
写真は、2月9日と10日の2日間に渡って開催されたオープニングイベントの様子。初日は新進気鋭のシンガーソングライター・iriのライブからスタート。スムースでグルーヴィーなR&Bサウンドに、オルタナティブな力強さも感じる、次世代ポップミュージックの夜明けを感じるステージに続いては、広くクラブシーンを創成期から支えてきた須永辰緒(Sunaga t experience)やFPMこと田中知之の登場。ジャズをベースにした、アナログレコードをディグし続けてきたからこその味わい深さを持つ、須永のプレイにリスペクトを表す意味もあってのことだろう。田中はしっかり生音で受けてエレクトロニックなサウンドに持っていくという、まさにDJだからこその、柔軟な表現が見事だった。
2月10日、Awesome City Clubのライブは、開始前から行列ができるほどの人気振り。koeのイメージにもぴったりはまる、爽やかでファッショナブル且つ、ドキドキするような艶っぽさや、胸を熱く焦がす情熱が凝縮されたパフォーマンスに場内が湧いた。続いては若手注目のDJ・ChiMyのジャズから煌びやかな80年代ポップスにまで持っていく流れから、DJ Shinyaが新旧ヒップホップやディスコを織りませながら空気を作って、tofubeatsにパス。目下人気上昇中のDJ/トラックメイカーだけに、フロアには多くの人が集まってくる。自身の曲も織り交ぜて大いに盛り上げる場面もありつつ、その時々でジャストなグルーヴを醸し出し、フロアのいい波をキープするプレイはさすがだった。
「イベントという視点から言えば、さまざざまなジャンルの音楽やアートだけでなく、そこにファッションや食もクロスオーバーさせて、間口を広く持つことを意識しています。そうすることで、音楽好きの方々に楽しんでいただくことはもちろん、初心者、じゃないですけど、そういったカルチャーを、特に日常では意識していない方々も気軽に入れる場所にして、新たなコミュニティを作りたいですね」
加藤将
そう話してくれたのは、基本は毎週金曜日と土曜日に開催されるイベントをプロデュースするチームの一人である加藤将氏。同氏は他にも、何人かのクリエイターと共に集まって仕掛ける飲食店「propeller」を3月末、恵比寿にオープンするとのことで、そちらにも注目だ。
hotel koe event
DJブース前ではしっかり音を感じて踊れる。飲食スペースでは、いつもよりちょっと贅沢な音とともに会話を楽しむことができるのだが、ただ音が“近い”か“遠い”かということだけでなく、内部構造やスピーカーの配置が実によく考えられていると感じた。それによって、それぞれのアクトを目当てに訪れた人たちと食事をしに来た人たち、2階のショップや3階に宿泊中のお客さんらが混ざり合って、思い思いに楽しんでいる光景が実に印象的で、加藤氏の“新たなコミュニティ”という言葉も納得の空間だった。場所は渋谷のど真ん中、イベント開催時も基本的に入場は無料。ホームページからスケジュールを見てみると、そうそうたるたる顔ぶれの出演者たちが並ぶ。これほどお得で上質な音の鳴る場所は、なかなかない。
普段街を歩いていて、気になったカフェに入る。そんな感覚で扉を開けた瞬間、音楽と生活の距離が近付く、“スペシャルな日常”を、ぜひ味わってみては。
hotel koe event