KEIJU、超豪華ゲスト陣と見せつけたTOUR FINALはパーフェクトな構成のヒップホップショー
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KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL
KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL 2026.01.25(sun)ぴあアリーナMM
1月26日、横浜のぴあアリーナMMでKEIJUを観た。ツアーファイナル、こんなデカい会場を2日間売り切るパワーは凄いとしか言いようがない。一目見てヘッズとわかるファンも多いが、まだラップを知りそめし年頃のティーンズも多い。ヒップホップの原体験がKEIJUのアリーナだなんて、素敵じゃないか。
車で会場に乗り付けてマイクを握り、仲間と共にステージへ向かう。挨拶代わりの「The Way」の映像から会場は熱狂のるつぼ、そこへ火に油を注ぐKANDYTOWNの登場。KEIJUを中心にNeetz、IO、Gottz、MUD、DONY JOINTらがマイクを握るたび、怒号のような歓声が湧き上がる。曲は「Angel Dust」「Local Area」「PROGRESS」。KANDYTOWNが来たぜ!とKEIJUが煽る。クルー活動は終演したが絆は永遠。暗い照明の中で燃える炎、放つオーラがまぶしい。
「ぴあアリーナのみなさん、今日も楽しめますか?」
KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL
トラックのテンポが急激に上がり、ド派手なレーザービームが飛び交い、ここからはKEIJUの独壇場。すべての事は、Depends on me。完璧な大合唱の「Let Me Know」から「Pilot」「Not 4 Me」へ、全部のリリックを暗記してるんじゃないか?というぐらい、みんな歌える。一体感が凄い。
呼び込まれたMELRAWが「Tears」で情緒あふれるサックスを聴かせ、歌詞に合わせてスクリーンに浮かぶ月。「too real」ではYDIZZYがダークで攻撃的なラップ、「alone」ではJin Doggがずしりと腹に響く気迫満点のラップで盛り上げる。青い海のようなレーザービームが美しい。「二人がいなかったらこの曲はできなかった。本当にありがとう」と、『heartbreak.e.p』(2019年)の当時を思い出してYDIZZYとJin Doggに感謝を告げる言葉がすがすがしい。さらにもう1曲、マイメン、JJJ!と紹介して、スクリーンの中のJJJと共演した「Wind Rose」の深いメッセージ。もう言葉はいらない。
KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL
暗転を経て次のセクションは、ホーンやコーラスを含む大人数ががっちり後ろを固めるDJ+バンドスタイルだ。「Illicit Intro」から「Checkers Skit」、そして花道中央からリフターで登場するやいなや、「NEVEREST」「K2」「same side」とアッパーチューンを連続投下。ホーン隊が吠え、エレクトリックギターが火を噴き、ファンクとロックとヒップホップを混ぜたような分厚いサウンドに、文字通りのけぞる。凄い音圧だ。
アレンジの効いたベースラインがかっこいい「Blonde」、詩的でメランコリックな「Shirase」と、抒情味を増したところへ突如響き渡る、キュートなフィメールボイス。7の登場に続き、Gotzを迎え入れて「Day Dreamin‘」を、そしてもう1曲、KEIJUと7の二人で「Mama’s Boy」を。華のある同士のコラボ、目にも耳にも爽やかだ。
KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL
「若い子が多いと思うけど、ちゃんと学校行ってる? 行ったほうがいいよ。毎日何もないと思ってるかもしれないけど、誰かに会ったりしゃべったり、思い出が絶対にあるはずだから。毎日大事に進んで行ってください。自分も頑張ります」
こんなことを押しつけがましくなく、さらりと言ってのけるのがKEIJUという男。歌の力を存分に見せつける「Falling」は、ラップの枠を超えている。さらにtofubeatsを迎え入れ、「俺の人生を変えてくれた」曲と紹介して、KEIJUの名を世に知らしめた初期曲「LONELY NIGHTS」へ。歌い終えて「いろんなことを教えてくれた人。この場を借りてありがとうございます」とペコリ。頭を下げる生徒と照れる先生のような、微笑ましい画。
ここからいよいよサードセクション、フィナーレへ向けての加速が始まる。花道下から現れたKvi Babaがジョインして、3人で歌う「backseat」のすさまじい盛り上がりに驚いたのも束の間、その上があった。AKLOが登場してKEIJU、Kvi Babaと共に花道を練り歩きながら「Luv Myself」を歌う、360度を取り巻く熱狂がとんでもない。笑顔で後輩のパワーを受け止め倍にして返す、AKLOの底力に恐れ入る。からの、居残りKvi BabaにG-K.i.dを加えた「Friends,Family&God」は、昨日はやらなかった今日だけの1曲。次はG-K.i.dが居残り、guca owlが入って「Day N Night」へ。息をもつかせぬ連続フィーチャリング攻撃に、会場内のボルテージは上がる一方だ。
イントロで歓声、そしてKID FRESINOの登場でさらに大歓声。超絶トリッキーな早口ラップチューン「SAYSUM」で、甲乙つけがたいスキルを見せ合う二人。タイプは全く違うがどっちも凄いラッパーだと、凄いという言葉しか出てこない。再びGotts&Neetzを招いて「Local Area pt.2」を、さらにSALU&WILYWNKAを呼び込んで「YOUNG LOVE」を。オタク全開のWILYWNKA、パンクロッカーと見まがうSALU、クールでスマートなKEIJU。三者三様の掛け合いが面白い。たった1曲のために何人もゲストを呼ぶ、あまりにも贅沢なシーンの連続に驚きを通り越して笑えて来る。その重力の中心にいるというだけで、KEIJUというラッパーの大きさがわかる。
ステージでは炎がバンバン噴き上がる、アリーナとスタンドからは全員の手が上がる。フードを目深にかぶったMUDが現れ、「Hold You Down」を二人で歌うと、残すは1曲。ラストチューンは、金がほしいと歌いながら、愛は金では買えないことを知っている男の歌だ。等身大のメッセージ「Money Baby」のリリックを、一言一句完璧に歌うオーディエンス。KEIJUのメッセージは確実に刺さっている。時代に。世代に。
KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL
そしてアンコール。この日のために駆け付けたOKAMOTO’Sと共に歌った「Seasons」はライブ初披露、2月11日に配信される新曲だ。OKAMOTO’Sのメンバーは同じ小学校中学校、2学年上。あっちはロック勢、こっちはヒップホップ勢だったそうだが、音楽を志したスタート地点は同じ場所。「憧れの先輩と同じステージに立てるのは光栄です」とペコリ。頭を下げる後輩と照れる先輩のような、微笑ましい図。「Seasons」は、ミドルテンポのロックなリズムに哀愁のメロディを乗せた新境地。絆はまだ続く。
「長いツアーだったけど、来てくれてありがとうございます。普段あんまり言えないですけど、本当に思っています」
ここで最後のゲストアーティスト。「どこにいるの?」「裏にいますよ」と、登場する前から始まるトークに大盛り上がり。満を持して登場したYZERRと共に歌う「Right Now」の切ないリリック、しっとりとメロウなサウンドが、広いアリーナいっぱいに響き渡る。そして最後はやはりKEIJUのソロ、まっすぐなラブソング「412」が今日のライブの、そして6月のアリーナツアー、10月のZeppツアーを含む長いツアーの終わりを告げる。およそ2時間10分、パーフェクトな構成のヒップホップショー。
NEVER IGNORE TRUST OURSELVES。最新アルバム『N.I.T.O』に込めたメッセージをもう一度スクリーンに掲げ、会場内が明るくなる。終わったばかりのライブについて、興奮気味に話す声が周りで聴こえてくる。KEIJUが彼らを引っ張り、彼らがKEIJUをここまで押し上げた。アーティストパワーとパワーが同等に感じられる、素晴らしい一夜だった。
取材・文=宮本英夫 撮影=Genki Mizoguchi
KEIJU N.I.T.O. TOUR FINAL
リリース情報
OKAMOTO’S, KEIJU「Seasons」