PANが巻き起こしたお祭り騒ぎ 『ミナホ』BIGCATでライブバンドの真髄を見せた!

レポート
音楽
2015.10.12
PAN

PAN

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満員の場内がPANのロックに跳び、パンも飛んだ。

このレポを読んでいる読者の方の中には、もしかしたらPANというバンドのことをよく知らない方もいるかもしれない。その場合「結成20周年のバンドだよ」と聞かされて「円熟の渋いパフォーマンスをするんだろうな」とか、「マニアックで尖ったサウンドなのかな」と想像してしまうケースもあるだろう。だが、この4人組・PANが奏でる音とパフォーマンスは、圧倒的にエネルギッシュで痛快なくらい楽しい。

もっとも、結成したのが15、6才のときだというから、年齢的に脂が乗った世代ではある。だがそれ以上に、これまでライブハウス・シーンを中心に積み重ねてきた様々な経験が一つの大きな道筋となり、そこへ全力疾走していくような勢いが、今の彼らのステージからひしひしと伝わって来る。

この「MINAMI WHEEL」においても、まるで結成直後のバンドのようなアツさと瑞々しさを以ってBIGCATを熱狂の渦に巻き込んでいった。

1曲目「今日だけ祭り」で、文字通り早くもお祭り騒ぎの場内。お囃子のフレーズとリズムは、ほぼ強制的に日本人を踊らせる。続く「Z好調」では彼らと同世代の筆者には懐かしくてたまらない、そして若い世代にも問答無用に刺さるキャッチーなメロディック・パンクでフロアを躍らせる。ふと見ると客席はみな笑顔で拳を掲げている。

<今夜バーベキュー>という、無性にワクワクするフレーズを繰り返していく「今夜はバーベキュー」ではコール&レスポンスで盛り上がったのだが、そのネタがPANのステージが持つエンタメ性を象徴している。関西圏ではおなじみ(関東圏でも深夜に流れたりする)「カーポートマルゼン」CM曲の名フレーズ(タイ~ヤマルゼン タイヤマルゼン♪というアレ)の「ホイールマルゼンの方」を川さん(Vo.)とオーディエンスで交互に叫ぶ。そう、今日は『MINAMI「ホイール」』なのである。この反則ともいえる盛り上げ方はさすがの一言。

最高にくだらなくて最高に盛り上がるコール&レスポンスで爆笑したあとは、『ミナホ』の主催者でもあるFM802の名パーソナリティ・DJマーキーが登場。昨年の『MINAMI WHEEL EXTRA -MIDNIGHT EDITION-』で登場し、このBIGCATでの年末ワンマンを姿を消したヒーロー・バンドがこの日限り(?)再結成を果した。事前にアナウンスされていたとはいえ、これには場内も大盛り上がりで「谷口パン~合言葉はFUNKY 802!!!~」を披露。「(DJマーキーは)リハだとめっちゃええのに本番は緊張するから(笑)」とPANの面々に懸念を示されていたDJマーキーだったが、川さんに「100点やった!」と言わしめるほど、曲中の早口パートも決め台詞もバッチリ決めてみせた。

これほど楽しく、楽しむことに全力で、お祭り騒ぎをするバンド・PANを観ていると、最初に述べた20周年のバンドであることを完全に忘れそうになるのだが、「色んなことがあったけど、ここまで来ました」と力強く語った後に披露された新曲「想像だけで素晴らしいんだ」の、PANらしさ凝縮のアッパーなサウンドと、かつての自分とここまでの道程を肯定するような歌詞には思わずグッとくる。弾けっぷりの裏には、やはりしっかりと20年の歩みが詰まっているのだ。

そして最後は必殺の「天国ミュージック」をブッ放し、フロアに嵐を巻き起こした4人。その充実ぶりと勢い、ライブバンドの真髄を存分に見せつけた、あっという間のステージであった。
 

年末12月20日(日)にはバンド史上最大のキャパシティ・なんばHatchで行うワンマン(PANマン)『PAN結成20周年記念イベント【20祭やDAY!ファイナル!PANマン!~イチかバチかハッチか!~】』が控えているPANだが、この日のステージを観る限り、面白くならないはずがない。20年目にして絶頂期といっても良い彼らの一大舞台、絶対に観ておくべきだろう。

撮影・文=風間大洋

ライブ情報
PAN結成20周年記念イベント
【20祭やDAY!ファイナル!PANマン!~イチかバチかハッチか!~】


日時:2015年12月20日(日)
会場:なんばHatch

 

 

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