現代アートの学校「MAD」が2018年度受講生募集 現代社会とアートの関わりを問う、ワークショップや交流会を実施
NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ(AIT/エイト)が2001年に開講した現代アートの教育プログラム「MAD」が、新年度の受講生を募集中だ。
MADでは、現代アートを中心に様々な分野で活躍する講師が登壇するレクチャーのほか、展覧会の鑑賞ツアーやワークショップ、交流会など多様なプログラムを実施。これまでに2,300人以上の受講生を排出し、多くの修了生がアート界で活躍している。
現代社会とアートの関わりを問う
2018年度は、「ホリスティック(全体性=健やかに生きること・ものごとを癒すこと)」をテーマに、社会におけるアートの様々な実践の歴史と向き合うことで、現代における私たちの生き方そのものを考えるプログラムとなっている。レクチャーの内容は現代アートの入門的な講座から、児童福祉とアートを繋ぐワークショップに実際に参加するものまで幅広い。
それぞれのコースは「What is Art Today ?」「What can Art Do ?」「What is Art in Practice」「Visit & See」という4種類の切り口から、計70以上ものレクチャーで構成されている。
レクチャールームの様子
1.What is Art Today ? − 現代アート入門講座 −
現代アートの見方から、アート界の仕組み、未来のアートまで包括的に理解を深めていくのが次の3つのコースだ。
《現代アートを知る6つの扉》
過去100年のアートの歴史を振返り、現代アートまでの道筋を辿るコース。はじめて現代アート学ぶ人にオススメなだけでなく、他の講座と併せて受講することでより深く現代アートを考えられるそうだ。
《アートを支える制度と仕事》
アートを支援する企業の様々な取り組みや、社会とアートの繋がりを考察する。美術作品そのものだけでなく、アートという制度の仕組みを知りたい方にオススメのコースだ。
《新しい価値をつくるキュレーションの実践》
キュレーションの源泉と革新に迫り、展覧会の先にある新たな思考や表現を考える。
2.What can Art Do ? – 個人とアートと社会の講座 –
現代社会におけるアートの可能性を探る次の3つのコースでは、MADならではのユニークな視点が楽しめそうだ。
《「生きる」を考えるアートの有用性》
実験的なコミューンの歴史やアール・ブリュットの受容、マイクロ・ミュージアムの考察を通して現代社会においてアートが持ち得る可能性を批評的に探っていく。
《アートとアクセシビリティの新しい視点》
「よりよく生きること」について、アートを軸に様々な角度から思考するコース。建築家ユニットのアトリエ・ワン共同代表の塚本由晴や、NPO法人エイブル・アート・ジャパン代表の柴崎由美子など、多彩な講師の登壇が魅力的だ。
《子どもとフクシとアートのラボ》
児童福祉とアートをつなぐアート・エデュケーションを考察するコース。NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]が2016年に立ち上げたアーティストと子どもが協働するプロジェクト「dear Me」とも連携しており、実際のワークショップへの参加も予定されている。
無料体験レクチャーの様子
3.What is Art in Practice – 話す・書く・繋がる通年講座 –
講師だけでなく受講生同士のコミュニケーションも活発に行われる通年のレクチャーも開講。
《ディスコースのラボ》
対話を通じて自分の「言葉」でアートを語る講座。最後には受講生によるオリジナルの冊子も制作する。
《アート・パートナーズ》
アート界を牽引するコレクターや美術館館長、ギャラリストとの社交を通して、アートの価値やパトロナージュの可能性を探る。
4.Visit & See – みんなでアートを発見しに行こう! –
美術館やギャラリーへ訪問したり、普段は見落としがちな街の歴史を講師の解説を聞きながら歩くツアー型のレクチャーも充実している。
《フェンバーガーハウス「宇宙意識美術館」展》(長野県/日帰り)
MADのプログラム・ディレクターであるロジャー・マクドナルドが館長を務める、長野県にある実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」への日帰りツアー。
《月をおもい、月をまつる》(長野県/1泊2日)
「フェンバーガーハウス」を舞台に、焚き火を囲みながら月光浴を行う「月をまつる」ワークショップを行う宿泊型のレクチャー。ナビゲーターには農と執筆を中心に表現活動を行う「星の坊主さま」が参加する。
《Be Here Now》(長野県/1泊2日)
同じく「フェンバーガーハウス」を舞台にしたこちらのレクチャーでは、館長であるロジャー・マクドナルドが選ぶ珠玉のレコードを持ちいた瞑想鑑賞セッションなど、ここでしか体験できない濃厚なプログラムが用意されいる。
《UNKNOWN TOKYO》
新宿二丁目、多摩ニュータウン、渋谷をそれぞれの地に造詣の深い講師をナビゲーターに迎え実際の街を散策するほか、通常は一般公開されていないアポイントメント制のプライベート・ミュージアムや企業などのアート作品の展示を巡るツアーも予定。今までとは異なる東京の姿が垣間見れそうだ。
講師や受講生との交流会イベントも開催
まもなく開講!
過去の歴史を振返るだけでなく、その歴史から現代を見つめ、さらに未来の私たちについて思考を拡げるこれらのレクチャーは、MADならではのプログラムだろう。こうした批評的な視座やアートを通じて得られる直感は、アート界で仕事をする人のみならず、様々な分野に活かす事ができそうだ。まもなく開講する2018年度のMAD、あなたも是非受講してみてはいかがだろうか?
MAD公式サイト:http://mad.a-i-t.net/