May J.が「Let It Go」を、中井智彦が「美女と野獣」を東京交響楽団の生演奏で熱唱～『オーケストラで楽しむ映画音楽IX』レポート

2018年4月7日（土）神奈川県・ミューザ川崎シンフォニーホールにて、『オーケストラで楽しむ映画音楽IX』が開催された。このイベントはホールアドバイザーの秋山和慶（東京交響楽団桂冠指揮者）とジャズピアニストの佐山雅弘が企画してスタートした。司会は中井美穂がつとめる。

会場に入るとステージには指揮台、そしてグランドピアノが指揮台の正面に、斜め前にコントラバス、さらにその右にドラムセットに置かれ、そこから放射線状に弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器と配置。外周を囲むような打楽器エリアの広さが、これから演奏される楽曲のジャンルが多種多彩であることを予感させていた。

9回目となる今回は、『酒とバラの日々』『ラブ・レター』などジャズの映画音楽メドレー、『アラビアのロレンス』など民族色が印象に残る映画音楽、そしてディズニーのアニメ＆実写映画を彩った名曲の数々を次々に演奏した。途中ではこのクラシックとこの映画音楽は似ているか？というコーナーもあり、『ジョーズ』のメインテーマとドヴォルザークの交響曲第9番『新世界』、『スターウォーズ』のメインテーマとホルストの『惑星』から「火星」をいずれも生演奏で観客が聴き比べる企画もあり、随所にオーディエンスを楽しませる趣向が施されていた。

この日、歌手のMay J.と歌手・俳優の中井智彦がスペシャルゲストとして登場。May J.は『モダン・タイムス』から「スマイル」、『バクダッド・カフェ』から「コーリング・ユー」、そしてもちろん『アナと雪の女王』から「レット・イット・ゴー」（ありのままで）を、中井は自身が劇団四季時代にビースト役で出演した『美女と野獣』から「ビー・アワ・ゲスト」「ひそかな夢」を、そして二人のデュエットで「美女と野獣」を熱唱。May J.の透明で伸びのある声と、中井の深みと艶のある歌声がホールいっぱいに響き渡り、客席から大きな拍手が何度もおくられていた。

コンサートの最後はこれまでのシリーズを鑑賞したオーディエンスからの人気が非常に高かった『パイレーツ・オブ・カリビアン』のメドレーを演奏、さらにアンコールでは『アラジン』から「ホール・ニュー・ワールド」をMay J.と中井のデュエットで披露し、さらに大きな拍手が沸き起こっていた。

ときに堅苦しさを感じがちなクラシックコンサートだが、この企画であれば多くの人がリラックスして楽しむことができる。これを機会により多くの観衆がクラシックに興味を持ち、会場に足を運んでくれることを願いつつ、次回の企画を楽しみに待ちたい。

※コンサート後、中井智彦にインタビューをおこないました。後日お伝えいたします。

取材・文＝こむらさき