2018年冬アニメ振り返り&春アニメオススメを語る! SPICE編集部アニメライター対談
© 大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード
前期は謎にお休みを頂いた座談会ですが、今期からはやっていきますよ! と力強く宣言していきたいレビュアー陣です。今回からは1名増えて5名でのアニメトークを展開。アニメ・ゲーム編集長加東、ガールズ系好きな岡本嬢、敏感アンテナなtaichi改めなかの氏、遂にリアルタイム視聴ができない身体になってきた鶴岡の4名+1でお送りする。今年の冬と春のアニメはどうなのか、そしてアニメ部ならではの考察が炸裂する!
お久しぶりです、座談会始まります
鶴岡:さて、久しぶりの集いなんですけれども、編集長からなにかありますか(笑)
加東:えー(笑)
鶴岡:枕に欲しいので(笑)
加東:いろいろあって2017年秋アニメ纏めが出来ませんでしたが、かなりご要望をいただきましたので今回から再開です。それと、「毎回やれ」と総編集長命令ですね(笑)
鶴岡:『Songful days』の運営など御多忙でしたもんね。それではゴキゲンなニューフェイスの紹介宜しく!
加東:今回からアート担当の「まにょ」も入ってくれます!
まにょ:初めまして、ガンアクションアニメが好きです! 現在少佐Tきてますね。アニソン系ライターとかもやってます!
鶴岡:おお、ナイスですねー。では毎度ですけれども、3本くらい冬アニメで良かったものを各自発表してください。
なかの:『刻刻』、『ゆるキャン△』、『CCさくら』ですね。
鶴岡:なかのさん、『刻刻』はどんな作品でした? ノーマークノールックだったんですけど。
まにょ:同じくノーマークでした。
加東:『刻刻』めっちゃ面白かった。
刻刻
なかの:超能力で時の止まった世界にやむなく入ったある家族が、同じく入ってきたチンピラや宗教団体と駆け引きを繰り広げながら脱出を目指す話ですね。
鶴岡:ほうほう それだけで面白そう。
なかの:原作は漫画なんですけど、時が止まった閉ざされた世界の表現が無音を使ったり、アニメならではの表現が上手くて引き込まれました。
鶴岡:『ゆるキャン△』の良さはいくらでも語れるのですが、強いて言えばどこです?
なかの:大きく話が動くような物語ではないんですけど、本当に癒されるんですよね。山登りするアニメや漫画はあっても、あのくらいゆるいキャンプはあまり無かったので。
まにょ:1話だったかな、最初にカレーヌードル食べるシーンまじで神でしたよね。
なかの:飯テロもすごい、ただのカレーヌードルがあんなにおいしそうに。
オススメどんどん行きましょう
鶴岡:まにょさんはどうでしょう?
まにょ:いやもうこれほんとめっちゃ迷いますが、カブらなそうなラインでいくと『恋は雨上がりのように』『サンリオ男子』『博多豚骨ラーメンズ』ですかね……。
加東:『恋は雨上がりのように』も良かった。
まにょ:先に『サンリオ男子』ですが、ほんわか系かと思いきや、意外とシリアスで重めのテーマなのでびっくりしました。ジェンダー論的にも面白いんで、男性にも「見て!」オススメしまくってました。ぶっちゃけわたしあんまり乙女系そんなにハマらないんですけど、そういう人にも乙女系作品の導入としてオススメかなって感じです!
鶴岡:シリアスの部分、詳しく知りたいかも。
まにょ:作中、サンリオ好きなメインキャラの男子は、ほかの生徒たちにだいぶ迫害されてるんですよ。「キモい」「男らしくない」みたいな。そこをリアルに描くんだなっていうところが結構衝撃でした。キービジュアルからは想像できないというか。
岡本:あー、おー、そうなんですね!
まにょ:マイノリティの葛藤や苦悩と、彼らを迫害する社会みたいなのが超リアルに描かれてる感じです。
岡本:それはいいですね、めっちゃ社会の流れにも則してる。
まにょ:そして『恋雨』はOP、ED最強でしたね。原作が強いってのもありますけど、映像も原作の癖のあるタッチを生かして、変化球ながらも綺麗にに仕上げてきたなあっていうのがやっぱり感動でした。
鶴岡:ちゃんと着地点は原作と同じなんですけれども、より綺麗に纏まっていた気がします。
まにょ:OPED含めて、やっぱり世界観がぴしっとまとまってたなあという印象です。
鶴岡:同意です。CHiCO with HoneyWorksのOP、AimerのED、どちらも魅力的でした。鶴岡がかぶらなそうなところをチョイスすると『オーバーロードⅡ』、『からかい上手の高木さん』、『DEVILMAN:crybaby』ですかね。どれもクオリティが高くて、最後まで安心して夢中になれました。
加東:デビルマンは最高だったな……。
鶴岡:ぜひ見られなかった人はネトフリに加入するか、コンプリートBOX買ってと懇願する勢いです。
まにょ:そして『高木さん』入れてくるんですね?
鶴岡:高木さんはニヤニヤ感がきちんと表現されてたのが素晴らしかった。応援したくなるような羨ましいような……。
加東:まさに「にやキュン」でしたね。
岡本:私は今期、『アイナナ』『刀剣乱舞花丸』『ポプテピピック』を見ました!
なかの:話題性だとポプテピ突き抜けてましたね……。
加東:『ポプテピピック』の話は最後にしましょう、話が尽きないから。加東は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『宇宙よりも遠い場所』が抜けてましたね。
鶴岡:この2作はどちらも納得の作品でした。ベクトルは違うんだけど、どちらも心に刺しに来てる。
岡本:『宇宙~』は、たまたまとある回をみて、これは名作だなってめっちゃ思いました。あの、テレビカメラに向かって叫んでいた回(11話)かな。
鶴岡:あー、ありました。
加東:今期の感動枠でしたが、『よりもい』は本当になんというか、青春なんですよね。女子高生の友情ものなんですけど、南極に行くというスケールの大きさの中で凄くリアリティのある少女の成長が描かれている。無理だよそんなの、って思うことでも、そこに向かう熱量というか……。伏線や表現、演者の芝居も含めてこれは数年に一本の傑作だと思いますね。
まにょ:女子のえぐい部分の描き方がめっちゃ花田十輝さんだなーって思いました
鶴岡:うん、青春だった。
加東:ちゃんとエグい部分もあるけどそれも青春、最終話まで観てもらえたらなにか、どこかに踏み出したくなると思います。13話でここまで纏まっている余韻の気持ちいい作品は少ないと思うので、ぜひ観てもらいたい。
まにょ:めっちゃ泣きましたもん…そして南極行きたくなった。
加東:『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、まず1話の美術で完全に気持ちを持っていかれる、絵が綺麗すぎるんですよ本当に。
鶴岡:個人的に安心して見せたい作品2点でしたね、『よりもい』と『紫庭』は。
なかの:京アニさん凄いなぁ。
加東:前に『あの花』の1話を見たときに「これはとんでもないものが始まった」って震えたんですよ、それに近いものを1話で感じた。
鶴岡:ドラマもしっかりしてて、洋画を見ているかのような。どっしり感といいますか。
加東:そうですね、少しずつ人になっていくヴァイオレットへの感情移入が凄い、1話みて震えた人は是非最後まで見て貰いたいですね、5話、10話の感動は凄いから。
アニメの仕組みが変わってきている昨今、見方も仕様も変わっておりまして
加東:あと、これはついでで話しておきたいんですが、今って、『よりもい』も『ヴァイオレット』も『ゆるキャン』も、サブスプリクションですぐ見れちゃうんですよ。
岡本:はい。
加東:『ヴァイオレット』はネットフリックス資本入ってるし、世界同時配信。これはやっぱりSPICEを立ち上げた3年前と比べてものすごい業界の作りが変わってきてる。
鶴岡:ふむふむ。
岡本:たしかに、全然一般的になりましたよね。ネットでアニメ見るとか、アマゾンプライムで見るとか。
なかの:録画して見るの減ってきましたね、自分もプライムビデオとかばかりです。
まにょ:わたしネットで見る方が圧倒的に多いです。
鶴岡:アニメ見るならネットフリックスとか入っとかないとマズいみたいな空気もありますよね。
加東:前は円盤商法というか、円盤を売るためにいろいろ施策されていたけど、サブスプリクションはアニメの作り方、見方を圧倒的に変えてしまったんですよね。
鶴岡:劇的な変化を感じます。
加東:高品質な作品がこれから資本が入ることで増えていく気がしますね。
岡本:ネトフリめちゃ力いれるっぽいですしね。
鶴岡:ネトフリだととりあえず資本金渡して、ホームラン打てなかったらクビ、みたいなスタイルらしいですけど、海外資本ってもとからそういうところありますから仕方ないかと。清々しいのでは。
加東:それこそ『Devilman:CryBaby』みたいに頭から全話配信、世界基準で作られる作品が増えると思います、ネットフリックスの開拓の仕方って植民地政策に近いものを感じるんです。その一本で稼ぐというより、視聴者数をしっかり確保する手段としてジャパニメーションが武器の一つになってるというのは嬉しくもありますが、本数過多と言われ続けていたアニメ業界のあり方が淘汰されるタイミングが来始めた感覚もありますね。
岡本:併せて神風動画の仕事のあり方についても語りたいんですけれども……。
なかの:ああ……ポプテで注目されがちだけど、いつも良い仕事するんだよなぁ、神風動画さん。
岡本:今期アイナナ推してるんですけど、アイナナのOPがすごかった。
鶴岡:これも神風でしたよねたしか。
岡本:そうなんですそうなんです、それもあって。神風動画のインタビューに、「例えば若い人向けの作品は若い人がディレクターをやったほうが、より視聴者の心に刺さると思うんです。最近だと「刀剣乱舞-花丸-」のEDや「アイドリッシュセブン」のOPはどちらも20代の女性ディレクターが担当しています。」こういう記載があって、ああやっぱすごいなと。ファン目線というか、視聴者のハートをがっちりつかんでくるんですよね。
鶴岡:クリエイター世代の推移とかもあるんでしょうね。
話題をさらっていったのはやはりあの作品
鶴岡:で、ここで最大の話題作といいますか、当て逃げと言いますか ポプテピピックの話なんですけれども。
岡本:当て逃げ……。
加東:面白いとかつまんないとかより、話題って意味ではまあ覇権ですよね。アニメ好きな人はみんな間違いなく気にしてたし。
岡本:なんかもう普通に、いろいろ驚かされました、やられました、っていうのが丸裸の感想。ここまでアニメって自由だったんだっていう。
鶴岡:そこなんですよね、遊び場を用意してみんなでどうやったら楽しめるか考えたらこうなった、みたいな。
なかの:確信犯みたいなキャスティングとか話題にしやすかったですからね。
加東:蒼井翔太出てくると誰も思わないじゃん(笑)
岡本:実写、人。ずりいよ。
鶴岡:声優の力量が如実に出ちゃうのがすげえなあって……懐の深さを測るものさしですね、ポプテピピック。
岡本:個人的に好きだったのはクレしん回です。
鶴岡:セルフリーザが最強かなあ。
岡本:それぞれ推し回ありますよねきっと。
鶴岡:ありますね。
加東:水樹奈々さんの「エイサ~ハラマスコ~イ」がこぶし効きすぎてて笑いましたね。
岡本:奈々さんやばかった。
鶴岡:あれはやばかった。本物のエイサイハラマスコイ。
岡本:あれが公式の発声(笑)。
加東:あとはヘルシェイク矢野の紙芝居かな……普通にすごい。
岡本:(笑)思い出すなあ。
鶴岡:サントラヤバすぎて買わないとヤバイ(語彙力)
岡本:やばいしか言えへん。
加東:やっぱ話題性高いんですよ、こんだけ話出てくるし。
まにょ:なんか下手に語れないみたいな空気感じました、話題になりすぎて。
加東:でもあれは何回もできるものではないよね(笑)
岡本:あーたしかに 2期とかどうなんだろ。
鶴岡:伝説のまま終わってほしいですね。
岡本:そうですねほんと。
期待の2018春アニメはこれだ!
鶴岡:だいぶ時間使ったので、巻きますね。春アニメ、各自1本とおすすめの理由を! 鶴岡は『ゴールデンカムイ』ですね。 圧倒的な原作の面白さをどう表現するのかっていうのと、声優さんが豪華すぎてヤバイ。
岡本:『メガロボクス』ですね。メイン声優の細谷さんと安元さんがやっているラジオがあるんですが、とにかくそこで演者2人がべた褒めなんですよね。「誇張なしで2018年1番のアニメだ」って。出演者がそこまで自信をもっていえる番組はそりゃ期待してしまします。あと普通にこの2人が好きなので楽しみにしています。
加東:『メガロボクス』取られた(笑)
鶴岡:『メガロボクス』オレも候補にあるんですよ(笑)
岡本:うほーーーー(笑)。ただ細谷佳正さんとの安元洋貴さんの2人が言うには「公式がとにかく宣伝がヘタ」らしいのです(笑)「めちゃくちゃいいのに全然事前に話題になってなくて悔しい」のだそう。
なかの:今年の春は原作ありの大作が多いんですよね、新しい『銀英伝』が見たい。
岡本:あれ、『キャプテン翼』ってもう始まりましたよね
鶴岡:始まってます。
岡本:期待です(いろんな意味で)。
鶴岡:『キャプテン翼』面白いですよ、なぜ深夜放送になったか1回めでわかる……子供が真似したらいけないからだぁ!
岡本:わーーー追っかけで見ますーーーー!
まにょ:話題性的にどこまで伸びるかなって意味で『ウマ娘 プリティダービー』期待してます
岡本:『ウマ娘』今期あるのか!!!
なかの:『ウマ娘』ついに動くんですね
鶴岡:『ウマ娘』すげえ出来良いんですよ。P.A.WORKSの本気を見せてくる。
まにょ:1話普通におもしろかった。
加東:個人的権限でいくつか出させてもらうと、『ヲタクに恋は難しい』は話題になると思いますね、あとは『ペルソナ5』。あと今後のメディア展開も含めて気になってるのは『ウマ娘』。それに絶対ハイクオリティなのが保証されてるのは『ピアノの森』ですね。
鶴岡:多い多い(笑)。ハイクオリティなら『フルメタ』も外せないですね。
加東:なんだかんだで話題作多いな。そしてリメイク多いよね……『フルメタ』、『鬼太郎』、『キャプ翼』。
なかの:『ヴァンガード』も初代のリメイクですしね。
岡本:『ルパン三世』?
鶴岡:ルパンもだ!
まにょ:『キューティーハニー』もあったような。
岡本:ですよね!!
鶴岡:『銀英伝』もか……多い。
加東:過去作リメイク祭り。
なかの:今期も『封神』に『CCさくら』だったし、今は何年だ?
岡本:ほんとにその流れありますよね 回帰。
加東:その中で2018年冬アニメは本当に秀作が多かったと思うんです、ネトフリなどのオリジナルアニメが出てくる中で良い作品も出てきている、いままでのアニメ制作、販売のサイクルが変動してきているんですよね。そうなるとこのリメイク過多の中でどういう面白いオリジナルが出てくるか、過去作を超えるリメイクが出てくるかってのはシビアに視聴者は判断すると思いますね。
鶴岡:気軽に過去コンテンツを掘り返して無駄な消費をするなってことですね。
加東:だってリメイクなんて絶対過去作と比べるところから入るじゃないですか(笑)
鶴岡:ですねえ(笑)
岡本:実写ヘイトの流れが、リメイクヘイトにならないといいなあ。
加東:これからの数年は、本当に面白い作品がしっかりと評価されるようになってくると思います。本数が多いから埋もれた名作っていうのはもちろんあるでしょうが、いい作品が評価される機会が増えると思うんです、だから「昨日のあれ凄い良かったね!」ってファンが話し合いたくなるものを秀作を期待しますね。
鶴岡:本数が増え続けているので、埋もれてしまう前にアニメというカテゴリが疲弊してしまわないか心配です。新しい流れがこれを解消してくれると良いのですが……。
岡本:また次の座談会で語れますように!