美術館を擬人化してみた~「東京ステーションギャラリー」編~【SPICEコラム連載「アートぐらし」】vol.27 とに~(アートテラー)
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美術家やアーティスト、ライターなど、様々な視点からアートを切り取っていくSPICEコラム連載「アートぐらし」。毎回、“アートがすこし身近になる”ようなエッセイや豆知識などをお届けしていきます。
今回は、アートを発信する「アートテラー」のとに~さんによる『【美男化プロジェクト】Mr.ミュージアム』第5弾です。
軍艦、刀剣、城、お米……さまざまなモノが擬人化されている昨今。本企画は、日本全国の美術館・ミュージアムを擬人化していく『【美男化プロジェクト】Mr.ミュージアム』です。毎回イケメン男子の姿となったミュージアムたちが、自己紹介をしながらその館の魅力や展示をお伝えします。今回は「東京ステーションギャラリー」編です。
過去の連載はこちらから
イラスト=yukimone
本日はご取材くださいましてありがとうございます。
わたくし、東京ステーションギャラリー、東京ステーションギャラリーでございます。
名前に「ギャラリー」と付いているので、貸し画廊と勘違いされているお客様もいらっしゃるようですが、小さいながらもピカソの油彩画4点を含む絵画作品約200点を所蔵している美術館でございます。
くれぐれもお間違えのないようご注意ください。
えー、本日は、わたくしが美術館の歴史や見どころを、インタビュー記事の終点までご案内いたします。
それでは、出発進行!
私が開館したのは1988年、国鉄民営化の翌年でございます。
「駅を単なる通過点ではなく、香り高い文化の場として皆さまに提供したい」。
そんな願いを込めまして、東京駅丸の内中央口を出て徒歩1分、丸の内駅舎内に誕生したのでございます。その後、15年近く休まず走り続けまして、2006年をもって一時休館。2012年に東京駅丸の内駅舎の復原工事が完成したのを機に、美術館の位置が変わりまして、現在の場所で再出発を果たしたのでございます。
現在の場所は、丸の内北口改札を出てすぐ右側。徒歩0分という抜群のアクセスでございます。おそらく、世界でもっともアクセスが便利な美術館です。もし、わたくし以上にアクセス便利な美術館を発見されましたら、わたくしか美術館職員までお知らせください。
ただし、アクセスはしやすいのですが、東京駅の外観からは私の姿は見えないのでございます。そのため、丸の内北口改札を利用していない方には、存在すら気づかれてないこともあるようです。まさに、“近すぎて見えない”、“近すぎて見えない”でございます(悲)
本日、わたくしのことを初めて知ってくださったというお客様。是非これを機に、今後、待ち合わせ時間に早く着いてしまった場合や、新幹線の乗車時刻までに空き時間がある場合などに、お気軽に私のもとにお立ち寄りください。
えー、わたくし、東京ステーションギャラリーでの展覧会は、「近代美術の再発見」「現代アートへの誘い」「鉄道・建築・デザイン」の3本柱編成となっています。
要するに、基本的には何でもあり、でございます。
これまでには、ダ・ヴィンチ展、バルテュス展、広重展、安藤忠雄展、さらには高倉健展などを開催してまいりました。ちなみに、次は、竹久夢二展、竹久夢二展(2018年5月19日〜7月1日)です。
続いて、いわさきちひろ展、江戸後期の絵師・横山華山展、繊細精密な鉛筆画家・吉村芳生展の順に開催してまいります。
現在は、建築家・隈研吾さんの大々的な個展『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』が開催中。会期終了は5月6日でございます。会期が終了に近づくと、館内が混みあう恐れがあります。駆け込みでのご来館は危険です。どうぞ余裕をもってお越しください。
(C)Tokyo Tender Table
えー、ご来館の際、展覧会と同じくらいご注目いただきたいものがございます。それは、赤レンガ壁、赤レンガ壁です。
わたくしのいたる所で目にできる赤レンガは、なんと東京駅舎が1914年に開業した当時からのもの。開館準備の工事が始まった際に、偶然に漆喰の下から、この赤レンガの壁が出てきたことから、それを活かした他にはない唯一無二の展示室が誕生したのでございます。
また、ところどころに黒い木のレンガが嵌め込まれていますが、こちらは空襲で木が焼けて炭化したもの。100年以上の歴史の痕跡が感じられる赤レンガ壁なのでございます。
えー、歴史の痕跡は、展示室を抜けた後の2階回廊でも感じられます。
こちらでは東京駅丸の内駅舎の復原工事によって発見されました創建当時の貴重な建材や天井レリーフなどの資料が紹介されてございます。お帰りの際は、見忘れ、見落しがございませんよう、ご注意ください。
わたくしの自己紹介。まもなく終点です。
本日はお聞きくださいましてありがとうございました。
文=とに〜 イラスト=yukimone 協力=東京ステーションギャラリー
イベント情報
【開館時間】10:00 - 18:00 ※金曜日は20:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
【入館料】一般(当日)1,100円 高校・大学生(当日)900円
※中学生以下無料 ※20名以上の団体は、一般800円、高校・大学生600円
HP:www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201803_kengo.html
イベント情報
【開館時間】10:00 - 18:00 ※金曜日は20:00まで開館 ※入館は閉館の30分前まで
【入館料】一般 900(800)円/高大生 700(600)円/中学生以下 無料
※障がい者手帳ご提示の方、その付添い1名様は100円引き