プロ野球開幕1カ月、森友哉や柳田悠岐など注目選手に見る今年のペナント【パ・リーグ編】

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2018.4.30
パ・リーグは序盤でかなりチーム差がついた。GW後の戦いは特に下位チームにとって取りこぼしができない重要なタームとなる

パ・リーグは序盤でかなりチーム差がついた。GW後の戦いは特に下位チームにとって取りこぼしができない重要なタームとなる

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プロ野球の開幕から1ヵ月が経ち、特にパ・リーグはセ・リーグにくらべ、チーム間のゲーム差が開いてきた。オフシーズンの順位予想どおりと思っている人、そうでない人がいるだろうが、ここでシーズン序盤の戦い方、中でも注目選手の活躍にフォーカスしながら、今後のペナントの展開をうらなってみたいと思う。

■森友哉など、90年代の黄金期を思わせるライオンズの強力打線

「待ってました」「こんな気持ち久しぶり」と思ったファンも多かったのではないだろうか。往年の破壊力抜群だった打線が復活したことは、埼玉西武ライオンズファンでなくても懐かしく、嬉しい気持ちになったに違いない。記憶に新しいのは、4月18日の北海道日本ハムファイターズ戦での大逆転劇だ。8回表まで0-8とファイターズペースで進んでいた試合だったが、その8回裏に一挙7点をもぎ取り、最終回では捕手・森友哉の2点タイムリーでのサヨナラ勝利にチームもファンも歓喜に沸いた。

今年のチームの快進撃に、1980~90年代のライオンズ黄金期を思い出した人も多いだろう。例えば、1990年にはAK砲と言われる秋山幸二、清原和博の強力クリーンナップがチームをけん引。さらに、“カリブの怪人”の異名を持つオレステス・デストラーデや伊東勤、平野謙らが脇を固める、まさに隙を見せないスーパースター集団だった。その往年の強力打線が復活したといえるのが、今のライオンズだ。

4月27日現在、パ・リーグの打撃成績トップ10に、ライオンズ選手6人の名前が並ぶ。4連勝と乗りに乗っている多和田真三郎投手を支える捕手・森の3割4分7厘の2位を筆頭に、4位の山川穂高(3割2分9厘)、5位の秋山翔吾(3割2分5厘)、8位の外崎修汰(3割0分0厘)、同率9位の源田壮亮、浅村栄斗(2割9分5厘)と信じられない強打線ぶりだ。7割6分2厘というチーム勝率はセ・パ通じて圧倒的。各選手も「次につなぐ」気持ちが芽生えており、まさに“相乗効果”で勢いを増している。

その好調打撃陣に後押しされる形の投手陣では、多和田が防御率1.93でリーグ4位につけている。開幕投手となり自信が蘇った菊池雄星だが、4勝無傷も実は打線の援護があってからこそ。防御率4.03は、やはりここぞという時に打たれているからで、今後は失投を無くすなど、少し精度を上げて行かなくてはならないだろう。期待するのはやはりエースの完投劇だ。肘の違和感でブライアン・ウルフが抜けている現在、菊地、多和田を中心として、ローテに入っているファビオ・カスティーヨ、十亀剣などの先発陣の頑張りが必要となる。特に、運悪く“連勝ストッパー“となっている十亀がその“運”を引き寄せれば、常勝軍団の福岡ソフトバンクホークスに対しても、これからもしっかり対応できるだろう。

■千賀滉大、サファテの戦線離脱に苦戦するホークス

オフにけが人が続出して、オープン戦の成績が振るわなかった福岡ソフトバンクホークスだが、やはり地力があるのか、じわりと順位を上げてきた。北海道日本ハムファイターズとは3勝3敗の五分だが、ほかのチームには勝ち越している。……唯一ライオンズを除いてだ。そのライオンズとは1勝3敗。しかし26日、ライオンズの連勝を止めたのは、やはりソフトバンクだった。

開幕投手の千賀滉大が4月7日に右肘の違和感で登録抹消されたのが痛かった。先発ローテを組みなおさなくてはならず、工藤公康監督も計算していた勝ち星を失い、これからどう組み立てなおそうか考えているはずだ。その千賀の穴を埋める形で4月22日のファイターズ戦で、急きょ登板の機会が回ってきたのが、今年のドラフト2位の高橋礼(専修大)だ。緊張もあったのか、硬い札幌ドームのマウンドが合わなかったのか、初回にフォアボールを出すなど、失点を許して苦い初マウンドとなった。しかし、工藤監督はその後を抑えたピッチングを評価。先発や中継ぎ等での活躍を期待しているようで、結果を出せば先発ローテに入るかもしれない。

不安要素はすでに5セーブを挙げていたデニス・サファテ投手の戦線離脱だ。右股関節痛で登録抹消で米国に帰国。このサファテがいるからこそ、先発、中継ぎが生きるのは周知のことで、勝利の方程式を使えないのは正直かなり痛手となっている。

この不安定な投手陣を補っているのが、やはり打撃陣。まずはオープン戦でもペナント序盤でもホームランが出ず、まわりをやきもきさせた柳田悠岐だが、4月12日のファイターズ戦で待望の1号ホームランを放っている。その後は着実に安打製造機として動き出し、21日にはやはりファイターズ戦で5安打に加え、サイクルヒットのおまけがついた固め打ち。打率もライオンズの森と並ぶ、リーグ2位の3割4分7厘と調子が上がってきた。盗塁数でもマリーンズの中村奨吾(10個)に次ぐ7盗塁で、走攻守揃ったマルチプレーヤーぶりを発揮している。

柳田の調子が上がってきてはいるものの、いつもの破壊力あるホークス打線はまだ“春眠”中と言える。その代表格がアルフレド・デスパイネで、昨年パ・リーグの本塁打王(35本)となった主軸が打率1割8分9厘と低空飛行中。ただ、4月10日に待望の1本が出てから、打率は徐々に上がってきた。また、2000本安打まであと8本と迫った主将・内川聖一も、打率は2割1分8厘と調子が上がらぬままだ。

他チームは“眠れる鷹”の状態のうちに、その差を広げておきたいところだが、やはりそこは昨年日本一のホークス。盛り上げ役で“熱男”の松田宣浩がここぞの一発で連敗を止めたり、“恐怖の8番バッター”上林誠知はチーム1の出塁率(4割6分2厘)を見せている。手負いの常勝軍団となっているが、チーム力でカバーしている状況は、ライバル球団にとって「さすがホークス」と言ったところか。投打ともに千両役者が戻ってくれば、打撃好調のライオンズナインも、うかうかしていられなくなるはずだ。

■ファイターズは近藤健介の大ブレークに注目

開幕で思わぬ3連敗を喫し、幸先の悪いスタートを切った北海道日本ハムファイターズだが、現在はホークスを抑えて2位につけている。好調のライオンズにこそ1勝4敗と分が悪いが、東北楽天ゴールデンイーグルス、オリックス・バファローズにはともに3ゲーム差をつけており、好調の滑り出しと言っていいだろう。

ファイターズは清宮幸太郎の入団で、ストーブリーグでは間違いなく話題の中心だった。プロの洗礼か、なかなか結果を出せずにいたが、2軍戦でホームランを連発。1軍での雄姿がいつ見られるかが、これからの焦点となってくるだろう。

大谷翔平無きあと、その大谷の背中を見てきた近藤健介が大ブレーク中だ。5年目の今年は「首位打者、4割バッターを目指す」と公言しており、その言葉どおりに現在4割0分3厘で、2位をブッちぎってのリーディングバッターに鎮座。それに加えて、出塁率がなんと5割3分1厘と、まさにファイターズの孝行息子的存在に成長している。

ファイターズの中軸を構成するのは、あらたに主将となった中田翔だ。清宮と同じ一塁手ということで、移籍の話も出たくらいだが、それゆえに“For The Team”に徹底したのが良かったのか、22日の自身のバースデーに1本塁打を含む、5打点と大暴れ。2割5分3厘と打率はまだ平凡ながら、昨年の不調を脱しつつある。そのほか、野手ではマイアミ・マーリンズ、サンディエゴ・パドレス等で活躍したオズワルド・アルシアが新加入しており、本塁打こそまだ1本ながら、2割8分1厘と、まずまずの成績を挙げているのも好材料だ。

ここ数年のファイターズの成績は、あたかも大谷翔平の活躍と連動しているかのようで、昨年は5位に沈んだ。つまり、打線はなんとか戦力を維持しているので、浮沈は投手陣にかかっているといっても過言ではないのだが、その投手陣が今一つピリッとしない。

開幕投手を任されたブライアン・ロドリゲスがいきなり打ち込まれ、現在も2軍で調整中。その穴を埋めるべく、元テキサス・レンジャーズのニック・マルティネスや、7年目の上沢直之らが踏ん張っている。マルティネスは完投2試合と、しっかりと試合をコントロールできるのが頼もしい。防御率1.88もパ・リーグ3位と合格点だ。上沢は4試合に登板し、2勝とまずまず。目標の2ケタ勝利に向けて幸先の良いスタートを切っている。

中継ぎでは宮西尚生の出来がポイントとなるだろう。あとは150キロ台後半の速球に加え、フォーシーム、スライダー、カットボールなど多彩な球種を持つ、今年加入のマイケル・トンキンの踏ん張り次第か。ミネソタ・ツインズでの経験をこの日本で活かせれば、現在4セーブだが、その数字はおのずと上がってくるだろう。

■4番・中村奨吾のマルチな活躍が光るマリーンズ

千葉ロッテマリーンズは、就任1年目の井口資仁監督のさい配が注目されている。昨年最下位だったチームをAクラス入りさせるのが井口監督の仕事で、今年の序盤は10勝11敗の4位。3位のホークスに1.5ゲーム差なら、まず合格点と言えるのではないだろうか。

一時湿っていた打線に火が点きだした。井口監督の初勝利となった開幕2戦目のゴールデンイーグルス戦で6-2という成績だったが、同様に6点以上を挙げての勝利はこれまで5試合を数える。負けはしたものの、4月20日のライオンズ戦でも9回に3点を返し、8対9と惜敗。諦めない打線が生まれてきている。

その原動力になっているのが、4番に座る中村奨吾だ。昨年の通算成績(2割7分5厘)を上回る、リーグ5位の3割2分5厘と当たっている。しかも、リーグ1位の10盗塁と、まさに走攻守揃ったマルチプレーヤーぶりから、間違いなくこれからの戦いで、相手チームがもっとも警戒する選手となるだろう。

エースの涌井秀章が、26日のゴールデンイーグルス戦でリーグ一番乗りの完投勝利を挙げたのも好材料だ。先発ローテでしっかりと結果を出している石川歩の復活も嬉しい。一昨年の最優秀防御率投手で、今年もチーム1位の2.20で3戦負けなしと好調だ。フォアボールが9個と制球勘はまだ戻っていないが、この先発陣が回転していけば、上を脅かす存在になるのは間違いない。

■バファローズはマレーロなど外国人勢の活躍が鍵か

オリックス・バファローズの長いトンネルはいつ開けるのだろう。リーグ優勝とともに日本一はというと、仰木彬監督時代の1996年までさかのぼらなくてならない。22年ぶりの戴冠を実現するためには、投手陣の再編・復活が鍵となりそうだ。

ドラフトでは社会人No.1サウスポーの田嶋大樹を獲得できたのは大きかった。3月31日、開幕2戦目に登板してホークスに投げ勝ち、プロ1勝目を挙げた。すでにローテ入りしており、3試合で奪三振は14個と期待どおりのピッチングと言えるだろう。しかし、防御率は4.11と先発投手としては物足りない。少なくとも3点台に乗せ、キッチリと先発ローテとして勝ち星を数えられる投手になってほしいと思うのは、福良監督だけの思いではないはずだ。

今年10年目となる西勇輝の復活も期待したい。開幕投手となった3月30日のホークス戦は、打線の援護がなかったが、決して悪い内容ではなかった。ただ、その‟星回り”が悪く、現在1勝3敗とアンラッキーな立ち上がりになっている。しかし、打線が奮起すれば、2.25の防御率が示すとおり、おのずと勝利はついてくるはずだ。そのほかで、期待されるのは、昨年8勝だった2年目の山岡泰輔の2桁勝利。さらに、トロント・ブルージェイズ、ツインズ、シアトル・マリナーズなどを渡り歩いた元大リーガーのアンドリュー・アルバースが機能すれば、チームの順位も上がってくるだろう。

打線では3年目の吉田正尚に期待を寄せたい。173センチと決して大きくない体だが、もともと強振する長距離バッターで、今年もホームラン4本、打率もチーム2位の2割8分2厘とバファローズには欠かせない存在になりつつある。腰痛持ちで、なかなか1年フルに戦えない体だが、今年フル出場を果たせれば、ホームラン30本も夢ではない。

ベテランのT-岡田や小谷野栄一の活躍も見たいところだが、やはりバファローズは外国人選手がキーマンとなるだろう。昨年、サンフランシスコ・ジャイアンツから途中入団したクリス・マレーロが今年も好調だ。リーグ2位の7本塁打は、昨年の20本塁打を抜く勢いだ。ステフェン・ロメロも昨年、チーム2位の26本塁打を放ち、打点も66とチームに貢献した。今年はまだチャンスに打てず、打率も2割1分4厘と低迷しているが、期待される長距離砲だけに、春以降の爆発が待たれる。

■得点圏打率が成績に響くゴールデンイーグルス

東北楽天ゴールデンイーグルスは、すでにトップのライオンズに10.5ゲーム差をつけられてしまった。この1ヵ月で対戦カードが一巡したが、対ファイターズの0勝3敗を含め、すべてのチームに負け越しており、チームの雰囲気を上げづらい状況となっている。昨年はこの時期にトップで折り返していたので、まさに天国から地獄に落とされた形で、ここからスイッチを入れ直すのが喫緊の課題だろう。

とは言いつつも、各チームとの差はそれほど大きくない。とにかく決定機に打てないことが大きな要因ではないだろうか。パ・リーグの打率上位に連なる岡島豪郎、ゼラス・ウィーラー、茂木栄五郎、島内宏明、ジャフェット・アマダーだが、その得点圏打率が軒並み1~2割程度となっている。

ともかく、4月1日のマリーンズ戦(4対5)のように、2点差以内での敗戦が9試合と、投手陣を見殺しにしている状況だ。昨年、26本塁打・75打点を稼いだカルロス・ペゲーロは序盤の体調不良もあり、打率1割6分7厘とまさに絶不調。期待の3年目、オコエ瑠偉に至っては、打率1割2分0厘とさっぱりの成績だ。

それに加え、抑えの守護神・松井裕樹がピリッとしない。防御率は6.30で、かつての“勝利の方程式”が崩壊中といえる。その穴を埋める福山博之も防御率6.57となると、やはり則本昴大、美馬学、岸孝之、辛島航らの先発陣に頼らざるを得ない。しかし、その先発が踏ん張っても打線の援護がないため、軒並み敗戦投手になるという悪循環だ。

なかなか光明が見いだせない状況だけに、ここは2年目の横浜高校エース・藤平尚真の奮闘や、まだ1軍登板がないものの、今年のドラフト1位の近藤弘樹や4位の渡邊佑樹の1軍昇格に期待する局面かもしれない。いずれにしても、梨田昌孝監督の憂鬱はまだまだ続きそうだ。

GW明けから交流戦への入り方が、ペナントの結果を大きく左右しそうだ

GW明けから交流戦への入り方が、ペナントの結果を大きく左右しそうだ

パ・リーグはチーム間の優劣が見えつつある状況だが、各チームとも故障者ありで盤石なチームはどこもない。ライオンズが頭一つ抜けている状況だが、上位のチーム間での星の潰し合いがあれば、下位のチームが浮上するチャンスは十分にある。ただ、Bクラスのチームは、このGWの戦いで沈んでしまうと、再起不能の状態に陥る可能性もあり、まさにここが正念場。セ・パ交流戦での形勢逆転もあるため、この1ヵ月は6チームにとって重要なタームとなることは間違いない。

(※記事内の情報は4月27日現在のものです)

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