舞台挨拶は挑発トークの応酬に!? 中川晃教らが名曲を歌い上げるミュージカル『ジャージー･ボーイズ』イン コンサート、世界初開催

2018年5月12日（土）、東京・東急シアターオーブにて、ミュージカル『ジャージー･ボーイズ』イン コンサートが開催された。世界初となるこのコンサートは、2016年に日本初演されたミュージカル『ジャージー･ボーイズ』から生まれたもの。初演時、中川晃教演じるフランキー・ヴァリとザ・フォー・シーズンズが魅せた美しいハーモニーは、観る者の心を震わせ、思わず歌い出したくなるような興奮と感動をもたらし、大きな話題となった。初演は全日程が完売御礼、さらにこの年の様々な演劇賞を『ジャージー・ボーイズ』一色に染め上げた。この劇中で歌われた名曲の数々を、初演並びに今年9月の再演に出演するメンバー8名が結集し、コンサート形式で披露したのがこの日のステージとなる。

たった2日間、4公演の奇跡のコンサート。その初日初回が終わったあと、ステージ上で舞台挨拶が行われ、中川と、藤岡正明、中河内雅貴、伊礼彼方、海宝直人、矢崎広、福井晶一、Spi、そして演出の藤田俊太郎が観客の拍手に包まれながら登場した。

以下、出演者＆演出家からの挨拶を紹介する。

■中川晃教（フランキー・ヴァリ役）
（司会に“日本のフランキー・ヴァリ”と呼びこまれて）気恥ずかしいです（笑）。2年前、この役を手中に収めるために、多くの方のお力をお借りしました。このフランキーの声は僕の声とちょっと違います。自分の声ではない、自分にない声を発見する…それがこの『ジャージー・ボーイズ』の僕の始まりとなりました。
9月の再演に向け、2年間ずっと挑戦してきた事が試されようとしています。そのちょっと前となる本日、『ジャージー・ボーイズ』の魅力をお届けできるコンサートを開くことができて本当に心から嬉しく思っています。日本中の『ジャージー・ボーイズ』を知っている方も知らない方にも、ミュージカルが好きな方もミュージカルがまだちょっとわからないという方にも、音楽を通して夢や希望、元気をお届けできる作品に携わることができて嬉しく思います。

■藤田俊太郎（演出）
今日は1階席のいちばん後ろから見ていました。皆さん楽しんでいただけましたか？（会場から大きな拍手が沸き起こる）。お客様の背中から、強い熱気を感じました。お客様の幸せな背中に僕も幸せな気持ちになりました。
この『ジャージー・ボーイズ』は観客の皆さんを描いた作品です。それは今日、コンサートバージョンの世界初演を迎えましたが、本公演も今日のコンサートも、その意味合いは何も変わりありません。脚本家のリック・エリスさんの言葉に「この『ジャージー・ボーイズ』は観客一人ひとりのものです。そしてこれはバックステージスタッフ、舞台上にいるミュージシャン、バンド、作品を影で支えるそれぞれ一人ひとりの物語でもあります」。今日コンサートを迎えるにあたり、このすばらしい、世界一の『ジャージー・ボーイズ』のボーイズの皆さんとともに、世界一のカンパニーが作品を支えました。今は舞台上にはいませんが、支えてくれたすべてのスタッフにぜひ拍手をいただけたらと思います。

■藤岡正明（トミー・デヴィート役／初演・REDチーム）
今年の秋に2年ぶりに『ジャージー・ボーイズ』が再演を果たすんですが、そこに僕はいません。僕だけがいないんです（笑）。演出家から嫌われてましてね…このコンサートで『ジャージー・ボーイズ』とお別れしろって演出家から言われて…（藤田がたまらず「僕は藤岡さんが大好きです！」と声を上げ、一同大爆笑）。今年の再演を経て、きっとまた呼んでくれることでしょう！僕のトミーがいちばんいいんですって（笑）！この伊礼なんてまだ芝居できてないんですから！（と、隣に立つ伊礼をいじると逆に伊礼から圧をかけられひるむ藤岡）再演、再々演、再々々演と回を重ね「やっぱり伝説のトミーは藤岡だな！」と皆様が応援してくださればすぐ舞い戻ってきます！

■中河内雅貴（トミー・デヴィート役／WHITEチーム）
僕は、アッキーさん（中川）が居心地良いように、WHITEチームでアッキーさんの手足となってやっていきたいです。（藤岡が合間にヤジを飛ばす）このWHITEチームは温厚な人たちばかりなので！（藤岡が笑いながら膝から崩れ落ちる）福井さんにも支えられ、海宝くんにも支えられ、アッキーさんにも支えられ、（藤岡を見つつ）僕もとがることなく（笑）やらせていただきます。あちらのチーム…新しく始まるチームは大変そうですが、陰ながら見守っていようと思います。

■伊礼彼方（トミー・デヴィート役／BLUEチーム）
新しいトミー、伊礼彼方です。藤岡が言ったようにホンを読んでいませんので、いきなりトミーを演じろと言われても無理があるだろうと（笑）。でも俺なりにチンピラが内在しているのでそれなりにできたのではと思っています。で、藤岡は公演を経験しているので「何かあったら俺がフォローする」って言ってましたが、今日パスを回したらテンパっていました（横から藤岡がマイクを奪い「2年前だから台詞を忘れていてさー自分の部分しか覚えてなかった」と自己フォロー）。…長年やっているとそういうこともあるんですね（笑）。でもコンサートは楽しくできたのではと思っています。まあ僕らはWHITEチームみたいにイエスマンじゃないんで（笑）、ぶつかり合っていろいろなクリエイティブをしていこうと思っています…まだホンを読んでいませんが（笑）楽しみにしていただければと思います。

■海宝直人（ボブ・ゴーディオ役／WHITEチーム）
久しぶりに皆で集まってコーラス練習をして、あの辛かった日々を思い出しました（笑）。本当に精密で繊細で音程だけでなく声色とか全部を合わせていくという作業が本当に大変でしたが、とても楽しい時間でもありました。それがまた始まるんだな、と気合いを入れ直しました。うちのチームは“穏やかに”また前回と同じメンバーなので“深めつつ”皆さんに初日を観ていただけるように頑張ります。

■矢崎広（ボブ・ゴーディオ役／BLUEチーム）
世界初のコンサートということですが、僕自身にとっても初のコンサート。それを皆さんに観ていただきました！なぜかこのメンバーでいると初めての事が全然怖くなくて、力強くて頼り甲斐があって。この『ジャージー・ボーイズ』の現場は毎回楽しいです。今回はチームREDではなく、新生チームBLUEで描く公演となりますが、こうやって話しているとBLUEも大変そうだなあと…（伊礼が矢崎に近寄り、突然頬にキス！それに動揺しながら）あの、本当にチームの色が変わり僕も色を変えて頑張っていきたいと思います。

■福井晶一（ニック・マッシ役／WHITEチーム）
初演に出させていただき、また再演にも出させていただき光栄です。この世界を目指したのはやっぱり歌が好きで入ったので、こんなに素敵な楽曲に包まれてまたステージに立てることを幸せに思います。唯一の40代！これからも頑張ります。

■Spi（ニック・マッシ役／BLUEチーム）
いやー『ジャージー・ボーイズ』、おもろっ！最高っすね。音楽最高っ！超楽しい！一生できますね！辞めたくない！（「まだ始まってないから」と伊礼がヤジる）僕はホンを読みましたよ！え？（伊礼さんは）読んでないんですか？へぇ～（笑）。BLUEチームは元“RED”ということもあって情熱的な人が揃っていますので、カッコイイ世界一のチームになるのではと思っています。

藤岡から始まった感のある、WHITE vs BLUEの挑発トーク（？）で会場は何度も笑いの渦に。
最後に中川が改めて秋の再演に向けて挨拶した。
「言うことがもう何もないんですが（笑）。このシアターオーブという劇場は日本のエンターテイメントと世界のエンターテイメントが繋がっているようなそんな特別な場所のような気がします。日比谷にあるシアタークリエで『ジャージー・ボーイズ』は始まりましたが、たくさんの方々とこの作品を通して出会ってきました。皆様お一人お一人のおかげで2年の時を経て東急シアターオーブでコンサートとしてお届けすることができました。やってきた事の一つひとつ、これから今までどおりにやっていく事の一つひとつが『ジャージー・ボーイズ』の血となり肉となり、そして感動となって皆さまと一緒に共有できるその日まで取り組んでいきたいと思います」。

カラーの異なる2チームが、9月にどのようなステージを見せるのか。その日を楽しみに待ちたい。

取材・文・撮影＝こむらさき