舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』ビジュアル撮影現場より、キルヒアイス役の加藤将が銀河の世界に思いを馳せる
加藤将
田中芳樹氏の大人気SF小説であり、世代を超えて愛され続けるベストセラー『銀河英雄伝説』を原作とした舞台シリーズが、この秋新たにその歴史をスタートさせる。加藤将が演じるのは主人公・ラインハルトの親友キルヒアイス。心優しく優秀な戦士である彼を体現すべく、「ドロドロになるまで熱中」し、絶叫マシンにトライする!?
ーー心地よい緊張感の漂う撮影でしたね。
やっぱり作品ファンの方をがっかりさせてはいけないので、どうしたらキルヒアイスとして見せていけるのか、今日に向けていろいろ研究してきました。彼はどちらかというとスッと立っているタイプなので、あまりポーズを作り過ぎても違ってきてしまいますし、また、昔のアニメと新作アニメとでは表情も違って来るんですけど、なるべくそれぞれの特徴を掴めたらいいな、と思いながら自分なりに……。でもお芝居の中の感情から来る表情ではなく、一枚絵でキャラクターとしてキッチリと成立させるのはやっぱり難しいですね。いいカンジに撮れていることを願っています。
ーーでは、キルヒアイス役に決まったときのお気持ちはいかがでした?
自分はオーディションを受けさせてもらったんですけど、台本にラインハルトとキルヒアイスの名シーンの部分があって、とりあえず両方の台詞を完璧に覚えて行きました。最初はラインハルトに魅かれてたんです。でも台本を読みながら「あ、キルヒアイスめっちゃいいなぁ」って、彼の優しさとか人間性とか……すごく自分に響いてくるモノを感じてしまったんですよね。ラインハルトとふたりでいるときの明るくて優しい感じと、軍人としての冷静な振る舞いの落差もカッコいいですし、ラインハルトのほうが上司なんだけど、彼は幼なじみのキルヒアイスのことを公私ともにスゴく頼りにしてますよね。そういうふたりの友情関係も素敵だなって思いました。自分がこの役を演じるとしたらどうしようってイメージもわいてきて……。このキャラクターをしっかり演じ切るコトができたら役者としても力がつくだろうなと感じました。登場人物みんなとても人間味のあるキャラクターばかりですけど、個人的にはキルヒアイスの優しさ、怒り……なくてはならない人物なんだというその存在に共感しました。なので、決まって本当に嬉しいです。
加藤将
ーー原作でもとても人気のあるキャラクターですが……彼には逃れられない「死」が待ち構えていますよね。
そうなんですよ〜! 「え、ここで死んでしまうの!?」って、すごくびっくりして……でも最後まで「大丈夫、助かる!」って願いながらアニメを見てたんです。「これくらいなら凌げるぞ!」って(笑)。それだけにいよいよとどめの一発が当たってしまった瞬間、「アア〜〜ッ」って、もう、泣き崩れましたね。ファンのみなさんのお気持ちもすっごくわかるので、僕が演じることでキャラクターを壊してしまうことがないように、むしろさらに好感度を上げて愛されるキャラクターになるように大切に演じていきたいと思います。
ーーすでにキルヒアイスに向ける愛情の深さを感じます。
もうね、彼の優しさはホントに仏様のようなんですよ! 今、彼のことを調べながらなにかひとつ新しいモノを見つけるたびに、「ああキルヒアイスに出会えて良かったな」「演じられて嬉しいな」って思っています。原作やアニメに忠実に表現していくのは絶対ですけど、そこには実際に人間が動き、シーンが繋がっていく中だからこそ見せられるモノ、自分のお芝居から生まれるキルヒアイスが絶対あるはずなので……。一つひとつこだわりながら創っていきたいです。それこそ彼がいなくなったあとも、物語が進んで舞台のシリーズが進んで行っても、いつもキルヒアイスのことをみなさんが思ってくれるような、心に残るキルヒアイスになれたらいいですね。
ーーラインハルト役の永田聖一朗さんとはミュージカル『テニスの王子様』からのお付き合い。深い友情で結ばれた同士のキャラクターでおふたりが再び共演するのは、ちょっとした奇跡ですね。
僕はいつも聖ちゃんって呼んでます。彼も芝居に熱い男なので、テニミュの楽屋でも……鏡前が隣だったので、「あのシーンはこうしよう」「ここはもっとこうできるよね」ってよく話し合っていました。お互いに友達としてもすごく仲がいいし、お仕事のときは真剣に向き合えるふたりなので、そういうところはこの『銀英伝』のラインハルトとキルヒアイスの関係と重なるなぁ……なんて思いますね。先日のテニミュの公演でも聖ちゃんがたまたま忙しくて鏡前を片付けられなかったみたいで、それに僕が気づいて何気なく「聖ちゃん、本番前にそこ拭いときや」って声かけたら、「うん、わかった」って返事してくれて。それが自分的には「お、なんか今の自分キルヒアイスっぽかったし、聖ちゃんラインハルトっぽかったかも」って感じられて、勝手にひとりでニヤニヤしてました(笑)。
加藤将
ーーふたりの歴史を活かせるところはいろいろありそうですね。
はい。でもお客様は別に僕らが仲良くしている普段の様子を見たいわけではないと思うので、当たり前ですけどそこは勘違いすることなく、ラインハルトとキルヒアイスとしての絆をお芝居を通じて築いていきます。言いたいことは言って、受け入れることは受け入れて。高めあえる関係として、共にいい銀河帝国軍を作っていきたいですね。
ーー『銀英伝』は今作から新たなシリーズとしてスタートしますが、舞台作品としても長く人気を得ている魅力はどこにあると思いますか?
原作に描かれている盛りだくさんの情報を、舞台上で視覚的に楽しめるというところですかね。小説やアニメとはまた違う表現で行間を埋めていくのはファンの方にとって新鮮だと思うし、アクションもありますし、宇宙空間を舞台上でどう伝えるかとか……今回もきっと新たなアイデアでお客様を楽しませるはずです。でも人間が宇宙であんなに激しい衝撃をくらったら、リアルなリアクションとか表情とかどうなるんでしょう?? そうだ! なにか激しめのアトラクションに行って来よう! 聖ちゃんとふたり、本番前に遊びじゃなくガチで、優秀な戦士であるキルヒアイスとして、本気でアトラクションに挑んでおきます。なにがいいのかな。地震体験車とかも気になりますね。でもふたりとも絶叫系苦手だから、たぶん酔っちゃうと思います(笑)。
ーーじゃあ、プラネタリウムとか?
あ、いいですね。ふたり並んで……でもつい星空を眺めながら台詞とか言っちゃいそうだな。周りの人に聞こえないように気をつけます(笑)。
ーーテニミュ卒業後も人気の2.5次元舞台への出演で経験を積んでいる加藤さん。今年後半、そしてその先と、新たな挑戦が続きますね。
僕、30歳までは休みなく働きたいって決めてるんです。今は嬉しいことに作品が続いていますし、お仕事が重なってもしんどいことがあっても、やっぱりそれ自体がありがたいこと。自分はそこをしっかり経験して乗り越えてこそ、その先に行ける力が付くんだと信じているので……まずは役者として自分を追い込みたい。一生このお仕事を続けていくためにも、そんなことを考えています。この舞台『銀英伝』も、今まで素晴らしい役者の先輩方と素晴らしいスタッフさんが創り続けてきた歴史のある作品です。自分もその歴史の一部になるために、ドロドロになるまで熱中して、たくさん怒られながらも結果を出していかなくては。ここから新シリーズがスタートし、この作品がさらにまた次の新作へとつながるよい舞台になるように、しっかりとキルヒアイスを演じたいです。みなさんの心に残るお芝居をお届けしたいと思います。
加藤将
取材・文=横澤由香 撮影=荒川潤
(c)舞台「銀河英雄伝説」制作実行委員会
(c)舞台「銀河英雄伝説」制作実行委員会
公演情報
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』
【原作】 田中芳樹「銀河英雄伝説」シリーズ(創元SF文庫刊)
【演出】大岩美智子
【構成・監修】高木登
【脚本】米内山陽子
【出演】
<銀河帝国>永田聖一朗/加藤将/畠山遼 釣本南(Candy Boy)
<自由惑星同盟>小早川俊輔/米原幸佑 伊勢大貴 小西成弥/碕理人 汐月しゅう ほか
【日時】 2018年10月25日(木)~28日(日)
※10月25日(木)19:00 初日スペシャルイベント開催
※10月26日(金)14:00 帝国軍アフタートークイベント
※10月26日(金)19:00 同盟軍アフタートークイベント
※10月27日(土)17:30 帝国軍+同盟軍+スペシャルゲスト
【会場】 Zeppダイバーシティ東京
【料金】
全席指定 8,640円(税込)
全席指定2回通し券(非売品生写真1種+非売品グッズ付き)16,000円(税込)
※未就学児童入場不可
※2回通し券とは《例:金曜日の昼・夜両公演観劇》です。
※2回通し券の非売品生写真・非売品グッズは各日ごとに異なります。
【公式HP】 http://www.gineiden.jp/
【公式twitter】@gineiden_stage
【主催・企画・制作】 舞台「銀河英雄伝説」制作実行委員会