明治座が壮大な宇宙空間に! 舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~ 囲み取材&ゲネプロレポート
舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~ 囲み取材模様
6月23日(土)、明治座にて舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~が初日の幕を開けた。それに先立ち、囲み取材と公開ゲネプロが行われた。その模様をお伝えする。
囲み取材には、原作・総監督の松本零士、星野鉄郎役の中川晃教、メーテル役のハルカ、機械伯爵役の染谷俊之、クレア役の美山加恋、大山トチロー役の入野自由、クイーン・エメラルダス役の凰稀かなめ、キャプテン・ハーロック役の平方元基が登壇、そして司会進行は車掌役のお宮の松が務めた。
ゲネプロ直前の囲み取材ということもあり、キャストは全員衣装を身にまとって登場。「銀河鉄道999」の世界からそのまま飛び出して来たような華やかでありつつ細部にまでこだわりを感じさせる衣装を見ただけでも、舞台への期待感が高まった。
「後列の方々の衣装をよく見せて!」というリクエストに応えて。左から、平方元基、染谷俊之、松本零士、美山加恋、凰稀かなめ
写真撮影が始まると、緊張からか表情を硬くするキャストが多い中、中川が積極的に声を出して雰囲気を和ませる。他のメンバーも徐々に心身がほぐれた様子になり、笑顔も多く見られるようになった。さすがは座長、さすがは中川、という一面を垣間見ることができた。
中川晃教(写真左)につられて思わず笑顔になる凰稀かなめ(写真後)とお宮の松(写真右)
ここで、各キャストのコメントを紹介しよう。
中川晃教(星野鉄郎役)
「この作品(銀河鉄道999)が40周年を迎えた記念すべき2018年に、私たちのカンパニーで舞台版としていよいよ幕が開きます。老舗である明治座という劇場で、お客様にこの999の旅をお届けできることを今からワクワクしています。鉄郎だけではなく全出演者がこの物語の中で旅をしているということを実感しています。そして終わらない旅、お客様の心に感動が届くように頑張っていきます。」
ハルカ(メーテル役)
「ずっと迷いながら作ってきましたが、松本先生ご自身が『僕もまだ旅の途中だ』とおっしゃっていて、それが私の勇気になりました。迷いながらも最後まで走り抜けたいと思います。」
染谷俊之(機械伯爵役)
「僕たちにしかできないこの『銀河鉄道999』という作品を皆さんにお届けしたいと思います。」
美山加恋(クレア役)
「ガラスの役(注:クレアの体はクリスタルガラスで出来ている)は初めてで、もう一生ないだろうなという気持ちですごく楽しんで演じさせていただいています。千秋楽まで精いっぱい演じ切りたいと思います。」
凰稀かなめ(クイーン・エメラルダス役)
「ドラマでもなく、アニメでもなく、舞台でしか見せられない『銀河鉄道999』があると思いますので、みんな心は一つになっています。皆様に楽しんでいただけるよう、精いっぱい頑張っていきたいと思います。」
平方元基(キャプテン・ハーロック役)
「作品をゼロから作っていくという中で、皆さんと話し合いながら有意義な時間を過ごすことができました。それは原作が素晴らしいものであるからこそ、最後までぶれずにここまでやってこれたのだと思っています。みんなの力を信じて、そしてお客様の前に立って、お客様が素晴らしい拍手をしてくださることを信じて、最後までやっていけたらと思っています。」
入野自由(大山トチロー役)
「遂に初日を迎える日が来ました。精いっぱい最後まで、終着駅に向かって走り続けたいと思います。」
司会進行のお宮の松(車掌役)
各キャストからのコメントを聞けたところで、司会進行のお宮の松がさらに突っ込んだ質問をしていく流れへ。
この舞台への思いを聞かれた松本零士は、
「私は18のときに行きだけの切符を持って、帰りの切符を持たず、『俺は死んでも帰らねえ』と言って鉄郎と同じように上京しました。このあたり(明治座周辺)は私の青春の地。そんな場所で皆様にがんばっていただけるのは、とても嬉しいです。どうかお身体に気を付けて、終わりない夢を果たすためにがんばってください。」と語った。
「3年前まで男役をやっていて、今回は女性の役、しかも男らしさのある女性ですが?」と質問を投げられた元宝塚歌劇団宙組トップスター・凰稀かなめは「男も女も、結局一緒なんです。一つ芯が通っていれば強く見えます。自分を信じて突き進んで行くだけです。」と力強く答えた。
質疑応答で素晴らしい衣装について聞かれると、中川は「最初は自分に少年の役ができるのだろうか、と不安に思っていましたが、この衣装をまとったら役に入ることができました。自分の役以外では機械伯爵の衣装を着てみたい。僕にとっては敵役なんですが、悲しみを秘めていて好きです」と答え、平方は「この衣装がとても気に入っています。着心地もいいです。」と笑顔。他のキャスト達も衣装に満足している様子を見せた。
ここで中川から「先生にプレゼントしたいものがあります」と松本零士に手渡されたのは、赤いドクロマークをあしらった黒いニットキャップ。松本は嬉しそうに受け取ってその場で被って見せ、「(ドクロマークは)骨となっても俺は戦うという決意の表明です。私も骨となってもまだ戦います。」と語った。
プレゼントされた赤いドクロマークのキャップを被る松本零士
囲み取材が終わり、いよいよ公開ゲネプロがスタート。
オープニングでは、松本零士を思わせる男(入野自由)が登場。男が筆を進めるにつれ、舞台上には鉄郎、メーテル、とこの物語の登場人物たちが浮かび上がる。そして世界は一気に「銀河鉄道999」の中へ。
スラム街の住民たちと鉄郎によるヒップホップ調の歌とダンスによる物語の幕開けは、始まりのワクワク感にあふれて舞台の熱量が徐々に上がっていくのを感じさせる。
鉄郎役の中川はのっけからその圧倒的な歌唱力と表現力で、日本のミュージカル界のトップスターである実力を見せつける。
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
銀河鉄道999の乗車券を盗んだ鉄郎の前に突然現れた謎の女性・メーテルは鉄郎にこう問いかける。
「あなたはどこに行きたいの?」
その問いかけは同時に「あなたはどう生きたいの?」という意味にも聞こえてくる。
メーテル役のハルカは、メーテルの謎めいた雰囲気そのままのたたずまいで、物語の重要な存在感を発揮する。また、のびやかで確かな歌唱力が、メーテルの隠された強い意志を表現しているようで、そのキャラクターに広がりを感じさせる。
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
鉄郎は機械伯爵に母を殺された復讐を誓うと同時に、機械の体になって“永遠の命”を手に入れることを望んでおり、そのために999に乗車しようとする。
メーテルは共に旅することを条件に、鉄郎に999の乗車券を与える。こうして二人の旅は始まる。
999車内のシーンでは、クレアと車掌が登場し、ここまで重厚に進行してきた物語の中でホッとするような明るさを加えてくれる。それは、クレア役の美山と車掌役のお宮の松が見せる軽やかさに因るところが大きい。
しかし美しいガラスの身体を持つクレアは、実は元の血の通った体に戻りたいと願っている。その悲しみを滲ませる美山の瑞々しい演技が胸を打つ。
鉄郎は旅をする中で様々な人々と出会い、その触れ合いの中で時に苦悩しながら成長していく。
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
中でも、自ら望んで機械の体になったのに、再び元の体に戻りたがっているシャドウとの出会いは、機械の体を手に入れたいと思っていた鉄郎の心に強いショックを与える。鉄郎の揺れ動く心の苦悩を、中川が繊細な演技で見せる。
そして鉄郎は、大山トチローと出会う。トチローは優しい心の持ち主で、かつてはキャプテン・ハーロックとクイーン・エメラルダと共に宇宙を駆け巡り、彼らの心の支えになっていた。そしてトチローもまた機械伯爵を倒す機会をうかがっていたが、宇宙病に冒されてしまいその思いを鉄郎に託すのであった。
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
この物語の中でもっとも人間らしい心の持ち主であるトチローを、入野自由が見事に演じて懐の深さを見せている。
精一杯命を燃やした人間だけが見ることのできる光があり、肉体は滅びてもその思いは消えることはなく受け継がれて永遠に残るのだ、ということをトチローは鉄郎に伝える。
トチローの遺志を継いだ鉄郎は、ハーロックとエメラルダスと会い、あらためて機械伯爵を倒しに行く決意をする。鉄郎にとっては憧れの存在であるハーロックとエメラルダスの孤高の強さや美しさを、平方元基と凰稀かなめがそれぞれ舞台映えする容姿と、スケール感のある演技力で表現する。情感こもる歌唱も魅力的だ。
そして遂に機械伯爵と対決する鉄郎。しかしここで、ひたすら冷酷非情と思われた機械伯爵の哀しい過去が明かされる。
撮影:源かつみ
機械伯爵をただの悪役で終わらせないこの物語の深さと、孤独、恐怖、絶望、そして鉄郎が来たことで救いを感じた伯爵の心の内を表現する染谷の演技は見る者の心に強く響く。
機械伯爵との対決を終え、メーテルの元へ戻った鉄郎。
さて、彼はこれからどうするのか?
当初の目的通り、機械の体を手に入れに行くのか?
この旅を通して鉄郎が見つけた答え。それはぜひ、劇場で確かめてもらいたい。
不朽の名作が見せてくれる壮大な宇宙への旅。
誰もがまだ旅の途中であること、そして限りある命を燃やして生きることの意義を、この舞台を通して教えられるはずだ。さあ、あなたも『銀河鉄道999』への乗車券を手に入れて、乗り込もう!
取材・文・撮影(囲み取材)=久田絢子
(C)松本零士・東映アニメーション
(C) 舞台『銀河鉄道999』実行委員会2018
公演情報
脚本:坪田文
演出:児玉明子
映像演出:ムーチョ村松
<東京公演>
場所:明治座
※バックステージツアー
「バレッタ裕と藤田勇紀が紹介するムーチョ村松の映像美の世界」
6月27日(水)13:00
6月29日(金)13:00
公演日程:2018年7月21日(土)〜22日(日)
場所:北九州芸術劇場大ホール
※アフタートークショー
7月21日(土)12:00 中川晃教、入野自由、凰稀かなめ、お宮の松
7月21日(土)17:00 平方元基、染谷俊之、美山加恋、お宮の松
※7月22日は客席内に撮影機材が入る可能性がございます
公演日程:2018年7月25日(水)〜29日(日)
場所:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※アフタートークショー
7月26日(木)13:00 中川晃教、入野自由、平方元基、雅原 慶
7月27日(金)13:00 染谷俊之、凰稀かなめ、小野妃香里、塚原大助
※7月29日は客席内に撮影機材が入る可能性がございます
<東京公演>
999シート(特典付/1階席・2階席正面・車いすスペース):12,500円
A席(2階席左右):11,000円
B席(3階席):7,000円
指定席:9,300円
U-25シート:5,500円
(U-25シートは、一般発売以降販売・観劇時25歳以下対象・当日指定席引換・要身分証明書・ぴあのみ取扱い)
999シート(特典付):11,500円