企画展『「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-』、建築倉庫ミュージアムで開催

2018.6.27
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アート

杉本博司「サヴォア邸」(建築家:ル・コルビュジエ)(c)Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

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寺田倉庫が運営する建築倉庫ミュージアムにて、企画展『「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-』が2018年8月4日(土)~10月8日(月・祝)まで開催される。

発明家ニセフォール・ニエプスによって撮影された世界で最初の写真が、作業場の窓から見える納屋と鳩小屋であったように、19世紀に誕生した写真は当初から建築と強く結びついていた。特に20世紀の近代建築運動では、多くの建築家が自らの建築を社会に認知させ、その運動を推進する手段として写真を重視していた。そこで強調されたのは、写真が有する記録媒体としての透明性であり、この傾向は今日でも建築ジャーナリズムを中心として大量に生産・消費される建築写真に受け継がれている。その一方で、そうした建築写真とは微妙に異なる立ち位置から建築に関心を示す写真家や現代美術家がいる。

今井智己「聖ベネディクト教会#03」(c)Tomoki Imai/Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography/Film

本展覧会は、国内外で活躍する13名の作家の作品を通じて、現代の写真表現と建築の間に存在する、より多義的で複雑な関係を示すコンセプトのもとに企画された。会場にはトーマス・ルフ、 カンディダ・へーファーら「ベッヒャー派」から、杉本博司、ホンマタカシなど多岐にわたる作家による建築写真と同時に、被写体の中から6つの建築物の模型も併せて展示する。模型を通じて建築物の全体像を把握することで、個々の写真表現の魅力や特徴をより深く楽しむことができる。

カンディダ・へーファー「エルプフィルハーモニー・ハンブルクヘルツォーク&ド・ムーロン ハンブルグII 2016」(c)Candida Hofer, Koln/VG Bild-Kunst, Bonn Courtesy Yuka Tsuruno Gallery

13名の作家の作風は多岐に渡るが、そこにいくつかの傾向を見ることができる。例えば建物へ私的な視線を向け、特定の時間と場所における一回性の経験として建築を捉えようとする一群の作家達。写真は外の世界を記録すると同時に撮影者の内面を反映する。彼らにとって建築は空間的かつ時間的な体験であり、そこで得た印象は撮影された写真にも色濃く現れている。

極端な場合は、一般的な建築写真に見られるような客観的な記録性はほとんど顧みられない。またそれとは逆に、写真の持つ透明な記録性を重視しつつ、それを固有の作家的表現へと転化するアーティストたちがいる。デュッセルドルフ美術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャーに師事した、いわゆる「ベッヒャー派」にはこの傾向に属する作家が数多くいるが、今回はそのなかからトーマス・ルフとカンディダ・へーファーの作品を紹介する。

トーマス・ルフ「h.t.b. 02」(c)Thomas Ruff/Courtesy of Gallery Koyanagi

そして最後は、建築を概念的に扱う作家達だ。具体的な建築物を撮影することから離れつつも建築を作品のテーマする、あるいは個々の建築物の背後にある建築家の思考という不可視のものを写真で捉えるなど、より自由で多彩な実践が含まれる。

イベント情報

「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-
 A gaze into architecture
- Phases of Contemporary Photography and Architecture -

会期:2018年8月4日(土)~10月8日(月・祝)
会場:建築倉庫ミュージアム(〒140-0002 東京都品川区東品川2-6-10)
開館時間:火~日 11時~19時(最終入館18時) 月曜休館(祝日の場合、 翌火曜休館)
入場料:一般 3,000 円、 大学生/専門学校生 2,000円、 高校生以下 1,000 円
出品作家:
トーマス・デマンド、 マリオ・ガルシア・トレス、 畠山直哉、 カンディダ・へーファー、 
ホンマタカシ、 今井智己、 ルイザ・ランブリ、 宮本隆司、 トーマス・ルフ、 杉本博司、 
鈴木理策、 米田知子、 ジェームズ・ウェリング
建築倉庫ミュージアム公式サイト:https://archi-depot.com