最速レポート!夢中になって何度も遊んで、聞いた、あの名曲が蘇る!ロックマン30周年記念ライブ

2018.7.8
レポート
アニメ/ゲーム

ロックマン30周年記念ライブ』7月7日公演より

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1987年、ファミリーコンピューター向けのアクションゲームとしてカプコンから発売された「ロックマン」シリーズ。様々なスピンオフも含めると、総タイトルは50を超える人気シリーズ。近年は「ストリートファイター」シリーズや、「バイオハザード」シリーズ、「モンスターハンター」シリーズなどで知られるカプコンだが、ファミコン世代のユーザーが通ってきたゲームと言えば、やはり『ロックマン』ではないだろうか。
主人公である人型ロボット「ロックマン」が、悪の科学者「ドクターワイリー」が送り込んでくるボスキャラクターと戦い平和を取り戻すという内容で、「ステージセレクトで、どのボスから倒すか自由に選べる」、「ボスが使っていた武器が装着できる」などの特徴的な要素で人気を博した。

今年は、初代『ロックマン』が発売されてから30年目となる周年イヤーとなっており、公式サイトでは、様々なグッズの展開やコラボなどが発表され、ファンの間では盛り上がりを見せている。そんな周年イヤーを祝う企画の一つが今回開催された『ロックマン30周年記念ライブ』だ。新旧様々な「ロックマン」シリーズのサウンドが生バンドで楽しめる豪華なイベントで、東京都中野区にある「なかのZERO」の大ホールにて、7月7日の夜、7月8日の昼夜の計3回のライブが開催される。今回は、7月7日の夜に行われたライブの模様をレポートする。

開幕からテンションがあがる大人気楽曲を披露

ステージには、大画面のモニターが設置されており、開演と同時にファミコンの『ロックマン2』の「ドクターワイリー」ステージのオープニングが流れる。「ワイリーステージの映像」の画面が表示されると同時に1曲目の『ロックマン2』の「Dr.ワイリーStage1」がスタート。ファンの間でも人気の楽曲であるのはもちろんのこと、ニコニコ動画にて、このBGMに歌詞を付けた「思い出は億千万」が話題となり、後にアニソンアーティスト集団「JAM Project」にカバーされるなど、ゲームをあまり知らない人にも認知されることとなった名曲である。ギター、ベース、ドラムのバンドサウンドによる力強い演奏に、管楽器とストリングスによって緩急が生まれ、極上のロックサウンドが奏でられる。1曲目から、まさかの人気No.1楽曲で早くも会場はオーバーヒート状態だ。

左からウッチー、土屋和弘プロデューサー、MCの楪望氏


ここで、MCとして司会のフリーアナウンサー、楪望氏とカプコンのPR担当であるウッチーこと内田武邦氏(以下、ウッチー)が登場。バンドメンバー紹介の後、MCゲストとしてカプコンの土屋和弘プロデューサーも加わり、ロックマンと土屋氏の関係について語られる。

土屋和弘プロデューサー(以下土屋P)「私がカプコンに入社して、初めて携わったタイトルが『ロックマン5』でした。完成直前だったので、テストプレイぐらいしか仕事はなかったのですが、カプコンのキャリアのスタートは「ロックマン」だったわけですね。その後、『ロックマン7』や今年発売する『ロックマン11』など、色々な節目で携わらせてもらうことが多くて、非常に大切な作品です。30周年を迎えられたのは、このシリーズに関わった多くの方、一人一人の努力の積み重ねと、それに答えてくださった何万という世界のユーザーの皆さんのおかげです。その現場にいられることは本当に幸せで、光栄なことだと思います。今年、発売される予定の『ロックマン11』について、音楽というところでお話をさせていただくと、今は8bitサウンドではなく、非常に表現豊かな音楽が作れるようになりました。しかし、作り方としては短いフレーズを連続してつなぐ、昔から使われてる方法で、誰もが耳に残り口ずさみたくなる曲をサウンドチームが仕上げてくれました。皆さんにも長く愛される曲ができたと思います。」

ライブパートに戻り、続いて披露されたのが、「ロックマンシリーズ」から「ブリザードマン(6)-スプラッシュウーマン(9)-スネークマン(3)」のメドレーと、最新作の『ロックマン11』より「Fuse Man Stage」の2曲。メドレーでは、ミドルテンポの「ブリザードマンステージ」から、ギターサウンドが光るの「スプラッシュウーマンステージ」、そこから転調してハイテンポでストリングスと管楽器が力強い「スネークマンステージ」と様々な曲調が楽しめる内容。新作、『ロックマン11』の「Fuse Man Stage」は、ギター、ベース、ドラムにシンセサイザーが加わったエレクトロなロックサウンド。発売前のゲームのBGMがアレンジサウンドで聞けるというのもなかなかないのではないだろうか。

ロックマンサウンドの生みの親が語るBGM制作の裏事情

続いてのMCで登場したのは、初代『ロックマン』の作曲家の松前真奈美氏と、「ロックマンエグゼシリーズ」や、「流星のロックマンシリーズ」のBGMコンポーザーの青木佳乃氏。松前真奈美氏からは、サウンド制作の際の苦労や工夫について語ってくれた。

左からウッチー、青木佳乃氏、松前真奈美氏、MCの楪望氏

松前真奈美氏「ファミコンのBGMは、3音とノイズの計4つの音で曲を作らなければなりません。しかも、使える容量も微々たるものだったんですね。先ほど、土屋さんがお話をされていましたが、この問題を解決するため、短いフレーズをリピートすることで容量を少なくした訳です。また作ったBGMを転調させることで、違った雰囲気にアレンジするという方法で、曲のバリエーションも増やしました。元の曲があれば、転調させるだけなら容量はほとんど使いませんからね。こういった繰り返すのフレーズを使う曲作りが、結果的に皆さんの心に残る曲になっていったのでしょう。」

一方、青木佳乃氏はウッチーからのリクエストで、コンポーザーとして参加していた「ロックマンシリーズ」の中では異色のレースゲーム、「ロックマン バトル&チェイス」の隠しエンディング曲で、青木氏がボーカルも担当した「風よ伝えて…」のワンフレーズをアカペラで披露。会場は大きな拍手に包まれた。


再びライブパートに戻り披露されたのは、『ロックマン』より「カットマンステージ」と、『ロックマンDASH』より「フラッター号VSゲゼルシャフト号」の2曲。初代『ロックマン』において、最初のボス選択画面でデフォルトにカーソルが表示される「カットマン」。よくわからずにボタンを連打して、最初にこのステージを選んだユーザーは多いのではないだろうか。バンドサウンドと管楽器のインパクトのあるイントロから、途中の転調でストリングスのパートにスポットが当たりつつ、シンセサイザーのエレクトロサウンドへ再度転調、終盤では管楽器がメインのオリジナルアレンジパートもあるなんとも贅沢な1曲に仕上がったいた。


1997年に「ロックマンシリーズ」10周年を記念して発売された『ロックマンDASH』は、それまでの『ロックマン』とは繋がりを持っていない、完全なオリジナルシリーズとして生まれた3Dアクションゲーム。ロールプレイングゲームの要素も盛り込まれた名作で、未だに根強いファンが多い作品だ。「フラッター号VSゲゼルシャフト号」は、主人公のロック・ヴォルナット達が乗る飛空艇「フラッター号」が、宿敵であるボーン一家の巨大空中戦艦「ゲゼルシャフト号」を迎撃する際に流れるBGMで、屈指の名曲として知られている。ライブでは、管楽器をメインとしたジャズロック風にアレンジされており、ゲーム中さながらの熱さだけでなく、カッコよさも加わった一曲になっていた。
 

後半パートはMCから意外な楽曲が披露

一度、休憩をはさみ後半はMCパートから。ゲストとして、ヒップホップグループ「KICK THE CAN CREW」のメンバーで、「ロックマン」の大ファンとしてカプコンの公式番組にも出演したことがあるMCU氏が登場。自ら趣味で作り、勝手にカプコンに送ったという「ロックマン2」の「Dr.ワイリーStage1」にアレンジを加え、さらにラップを付けた曲を歌唱。その完成度の高さに観客からも大きな拍手が送られた。

MCU

後半のライブパートは、スピンオフの「ロックマンシリーズ」にスポットを当てた3曲からスタート。まずは、「ロックマンエグゼシリーズ」より、「RUNNING THROUGH THE CYBER WORLD(1より)-FINAL TRANSMISSION(3より)-THEME OF ROCKMAN EXE 6(6より)」のメドレー曲。「ロックマンエグゼシリーズ」は、アクションゲームとトレーディングカードの要素を合わせたゲームシステムで、世界観も「ロックマンシリーズ」とは異なっている。近未来の高度なネットワーク技術が確立された時代、「電脳世界」と呼ばれるネット空間で起きる事件を解決するために奮闘する少年、光熱斗と電脳世界の人格プログラム、「ネットナビ」の「ロックマン」の活躍を描いたストーリー。ロックマンシリーズ初のテレビアニメ化や、劇場映画の製作などのメディアミックスも行われた作品だ。


「RUNNING THROUGH THE CYBER WORLD」で主旋律を管楽器が、「FINAL TRANSMISSION」ではギター、ベースをメインに、最後の「THEME OF ROCKMAN EXE 6」ではストリングスが光るパートと、それぞれの見せ場が作られたバラエティ豊かな構成。

続いては、「流星のロックマン」より、「Shooting Star(1より)-Wave Battle(2より)-Last Battle(3より)」のメドレー曲。
「流星のロックマンシリーズ」は、「ロックマンエグゼ」の世界からが200年後が舞台の世界になっており、アクションゲームとカードゲームを合わせ持った要素は受け継ぎながら、様々なシステムを盛り込んだ意欲作。宇宙が大好きな少年、「星河スバル」が、FMプラネットからやってきた「ウォーロック」と合体し「ロックマン」となって戦いに身を投じるというストーリー。こちらもテレビアニメなどのメディアミックスが行われた。
「Shooting Star」では、ストリングスと管楽器がメインでシンフォニックな展開、「Wave Battle」ではシンセサイザーがメインのエレクトロなサウンドに変わり、「Last Battle」では一転して、シンセサイザーとストリングスの不気味な不協和音のアレンジにロックサウンドが合わさり、ゴシックな印象を与える楽曲に仕上がっていた。

最後は、「ロックマンゼロ・ZXシリーズ」より、「Departure(Z2より)-Esperanto(Z4より)-Wonder Panorama(ZXより)」のメドレー曲。「ロックマンゼロシリーズ」は、スーパーファミコンで発売された「ロックマンXシリーズ」の人気キャラクター、「ゼロ」を主人公とした作品。「ロックマンシリーズ」から200年後の世界が舞台となっており、「人間至上主義」の名のもとに不当にレプリロイド(高度なAIを持つロボット)を排除する「ネオ・アルカディア」に対抗するレジスタンスの人間の科学者「シエル」によって、100年の眠りから覚めた「ゼロ」が「ネオアルカディア」との戦いに身を投じるというストーリー。
そして、「ZX」の略称される「ロックマンゼクスシリーズ」。「ロックマンゼロシリーズ」から、さらに数百年後の世界が描かれており、運び屋である主人公が謎の金属ライブメタルによって、「ロックマン・モデルX」に変身、自分の大切なものを守るため戦いに身を投じるというストーリー。男性と女性の主人公がおり、主人公が選べるシステムがシリーズとしては初である。
「Departure」は、シンセサイザーの独特のイントロに始まり、バンドサウンドと管楽器がメインのヒロイックなイメージの曲調。「Esperanto」では、サックス、ストリングスとギターをメインとして、情熱的なラテン風のロックサウンド。最後の「Wonder Panorama」では、前半ではサックスを中心とした管楽器、後半ではストリングスとギターがメインのミドルテンポな楽曲と、バリエーションに富んだ一曲になった。

最後は、「ロックマン」の新時代を築いた「ロックマンXシリーズ」

ここで、最後のMCパート。再び、土屋Pが登場し、「ロックマン」という存在とはユーザーにとってどんなものか、というテーマで自論を語る。

土屋P「これだけ長いシリーズをやっていると、各世代が色々な「ロックマン」の思い出を共有していると思います。初代の「ロックマン」をオリジナルと定義せず、色々な世代のゲーマーが触れてきた、「青い姿をした正義のために戦うロボットの少年」というヒーロー像。「ロックマンとはかくあるべき」という定義をせずに、それぞれが熱中した「青いロボット」が「ロックマン」がいて、それでいいんじゃないかな、と私は思います。」
 


最後のパートは、「ロックマンXシリーズ」から、「オープニングステージ(1)-エクスプローズ・ホーネックステージ(3)-シグマ 1st(5)」、「Give It A Shot」、「X VS ZERO」の3曲。
「ロックマンXシリーズ」は、「ロックマン」から100年後の世界が舞台。封印されていた未完成ロボット、「エックス」を元にケイン博士が作り上げたレプリロイド(高性能AIを持つロボット)「ロックマンX」が主人公。犯罪を犯したレプリロイド、「イレギュラー」を倒すため、イレギュラーハンターとして世界の平和のために戦っていくというストーリー。
「オープニングステージ」では、ハイスピードの管楽器とストリングスが、短い音で畳みかけるようにグイグイと曲を引っ張っていく。「エクスプローズ・ホーネックステージ」では、ギターサウンドが負けじとスピード重視のタッピング奏法を披露、最後の「シグマ 1st」は、ハイスピードのドラムとストリングスの繰り返しのフレーズが印象的だ。このメドレーでは、全体的にハイスピードな曲で何度も同じメロディラインが繰り返される耳に残る一曲だった。
「Give It A Shot」は、7月26日に発売予定の「ロックマンXアニバーサリーコレクション」に収録される2体のボスと同時に戦う新モード、「Xチャレンジ」のBGM。こちらも発売前にアレンジが聞けることとなった。ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーのみの完全なバンドサウンドによるハイスピードなロックナンバーで、聞いているだけでアドレナリンがどんどん出てくるハイテンションな一曲だ。
最後の「X VS ZERO」は、主人公の「ロックマンX」がかつての親友で暴走した「ゼロ」を止めるために戦う際のBGMで、シリアスかつドラマティックなシーンを演出した名曲。ミドルテンポのバンドサウンドに、管楽器とストリングスが合わさり、ロックマン独特の短いフレーズの繰り返しで、強烈な印象を与えてくれる最後の締めには相応しい一曲。

そしてプレイヤーたちが、退場後、拍手は鳴りやない。そんな拍手とアンコールの声に押されるようにプレイヤー再登場。アンコールの演奏の後、最高の盛り上がりの中ライブは終了を迎えた。

初代の「ロックマンシリーズ」をプレイしていた人間としては、かつては音数の少なかった8bitサウンドが、音圧で体が震えるほどの豪華な仕様で聞けるという非常に贅沢な内容である。
そしてMCの中で、土屋氏が言っていたように繰り返しのフレーズを使う「ロックマン」らしいサウンドを再現しつつも、生バンドならではのオリジナルアレンジや、各プレイヤーにスポットを当てたソロパートを盛り込むといったライブならではの魅せる演出と、まだ発売前のゲームの曲がバンドサウンドで聞けるという特別感も嬉しかった。会場にいたユーザーは、今年発売予定のタイトルへの期待が高まったことだろう。

様々な世代のロックマンファンが楽しめる、30周年を祝うにふさわしいライブだった。

レポート・文:東響希

公演情報

『ロックマン30周年記念ライブ』
 
◆出演者:ロックマン30周年スペシャルバンド
岩垂徳行(arrange, manipulate and etc.)、宮崎大介(guitar)、 榎本敦(bass)、 上倉紀行(keyboards, guitar and arrange)、
山内優(drums)、MARI(violin)
MOS: AMI (alto sax)・Lotta(tenor sax)・MAU(baritone sax)AIR(trumpet)・Remi(trumpet)・Erna(trombone)※都合により出演者が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
 
◆公演日:
2018年7月7日(土)夜公演17:30開場/18:30開演(公演終了)
7月8日(日)昼公演11:30開場/12:30開演(公演終了)
               夜公演16:30開場/17:30開演
◆会場:なかのZERO 大ホール(東京都中野区)
 
:7,500円(全席指定/税込)
e+(イープラス)     http://eplus.jp/(PC&携帯) ファミリーマート(直接購入)
テイト・センター(平日10:00~18:00)TEL:03-6379-3144 
 
◆主催/制作㈱テイト・コーポレーション
◆企画㈱ハーモニクス・インターナショナル
◆監修/協力㈱カプコン
◆著作権表記:(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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