早見沙織さんが約1年半ぶりの本格的ソロライブ『Hayami Saori Birthday Special Live 2018』を開催! 誕生日当日の感動をレポート

レポート
アニメ/ゲーム
2018.8.19

2018年5月29日、東京キネマ倶楽部で、早見沙織さんのソロライブ『Hayami Saori Birthday Special Live 2018』が開催されました。

2007年の声優デビュー直後から、役者としてだけではなく、キャラソンでの歌唱力の高さでも注目を集めていた早見さん。

 

2015年8月に、『やさしい希望』でアーティストデビュー後、4枚のシングルと1枚のアルバムをリリースしてきましたが、ライブ活動の頻度は比較的スローペース。リリースイベントやフェスに参加することはありましたが、単独での本格的なライブは、2016年のファーストツアー『早見沙織 1st CONCERT TOUR 2016 “Live Love Laugh”』以来約1年半ぶり。昼夜公演ともにプラチナとなりました。

 

アニメイトタイムズでは、平日にもかかわらず多くのファンが集った昼公演をレポートします。

元はキャバレーだったムーディーな会場でのソロライブ

 

元はグランドキャバレーだったというレトロで独特のムードを持った東京キネマ倶楽部。昨年は、「早見沙織コンベンション2017」と題し、関係者向け(ニコニコ動画などで配信も行われた)のライブを行った会場でもあります。

【ニュース】2年前のあのステージに再び──「コンベンション2017」に臨む早見沙織さんのちょっといい話 https://t.co/RDusnXhhPv pic.twitter.com/71zCmmpQ0i

— アニメイトタイムズ公式 (@animatetimes) 2017年5月29日

 

最初に登場したのはドラムのかどしゅうたろうさん。軽快なリズムを刻む中、ベースでバンマスの黒須克彦さんがステージに現れ、クラップを始めると、すぐに会場のファンも反応。

 

黒須さんも演奏に合流した後は、ピアノの角脇真さん、ギターの増田武史さんと続き、4人でのセッションとなります。クラップも鳴り響き、早くも会場が暖まってきた中、『Secret』のイントロが始まると、薄紫のドレス姿の早見さんがステージに。

 

スタンドのマイクを手に取り、会場の雰囲気にぴったりの大人なジャズナンバーを歌いはじめました。

 

オールスタンディング時のキャパが約500人(今回は前方に椅子席あり)とコンパクトな会場に響く早見さんの歌声。2階後方の記者席に座っていても、まるで目の前で歌っているかのような距離感で届いてきます。

 

間奏では、ある意味で曲調とはミスマッチなほどの笑顔で、一人一人と目を合わせるかのように会場を見渡していました。

 

久々のソロライブ1曲目を歌い終えた早見さんが深々とお辞儀をすると、ずっとリズムを刻んでいたクラップが大きな拍手に変化。歓声も上がります。

 

2曲目のイントロのピアノは一転して歌謡曲調。『劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』の主題歌で、大正ロマンも香る『夢の果てまで』でした。

 

 

最初の2曲で声優界屈指の歌唱力だけでなく、ジャンルの幅広さも披露。しかし、演奏が終わりMCパートに入ると、歌声とともに放っていたボーカリストとしてのオーラは消え、第一声からいきなり、ほんわかムードに。

 

「今日は、お座りの方も、スタンディングの方もいらっしゃるということで。どんなスタイルでも楽しめるようなバリエーション豊かなぎゃっきょくを……楽曲を用意してきておりますので(笑)。楽しんでいただければなと思います」

 

可愛く噛む姿に、客席からも笑い声が聞こえました。。

 

3曲目は、早見さん単独作詞・作曲の『SIDE SEAT TRAVEL』。3rdシングル『夢の果てまで』のカップリングでもあるAORテイストの曲で、記者が最初にCD音源を聴いた時、「女性声優アーティストで、この曲を生み出せるのは早見沙織だけなのでは?」と驚いた名曲。

 

ドラムとキーボードの伴奏が印象的なライブバージョンでは、歌声も会場の雰囲気に合わせたのか、さらにアダルティでした。

 

 

「血を流して頂く方向」の楽曲が続いたライブ中盤

 

4曲目の『水槽』は、早見沙織名義の曲の中ではレアなハイテンポのポップス。ステージの両サイドにまで歩いたり、腕を上げ大きく左右に振ったり、その場で小さくぴょんぴょん跳ねたりと、歌声だけでなくステージングでも会場を盛り上げます。

冒頭から、聴くところは聴き、盛り上がるところは盛り上がるという、音楽を楽しむための良い空気感が生まれていた今回のライブ。平日16時開演のライブに参加している時点で分かってはいましたが、やはり熱心な「早見沙織ファン」が多かった模様。

 

「より一層、血を流して頂く方向で行きますが、よろしいですか?」

 

という早見さんのライブ独特の問いかけにも、「血の巡りを良くして、盛り上がれってことだな!」と完全に理解。大きな歓声で応えます。

 

コール&レスポンスも「すごい! 皆さん、発声練習してきたんですか?」と早見さんが驚くほどの好反応。

 

持ち曲は静かに聴かせるタイプが多いものの、『1st CONCERT TOUR 2016』やアニサマで、「せっかくなので」「やってみたかった」といったノリで会場名のコール&レスポンスをしたくらい、ファンと一緒に盛り上がることも大好きな早見さん。ライブ中盤に向けてのテンションは、会場と一緒にさらに上がっていたようでした。

 

続く『where we are』は、『1st CONCERT TOUR 2016』で、「みんなで一緒に盛り上がろうと思って作って来た新曲」として初披露された曲。サビで、早見さんと会場のファンが一緒に手を大きく左右に振る光景は、強い一体感を感じさせました。

 

5曲目の『僕らのアンサー』は、レパートリー中、最も激しいロックテイストな曲。コンパクトな会場に収まらないほど力強い歌声を響かせる早見さんと一緒に、ファンの体の中でもさらに血が流れていきます。

 

ちなみに、『where we are』と『僕らのアンサー』は、いまだにスタジオ音源は未公開の曲(ライブ映像やライブ音源は『live for LIVE』などに収録)。その楽曲の表現に対する「一つの正解」ともいえるスタジオ音源が無いことで、公演ごとの変化やライブ感がより楽しみなナンバーでもあります。

 

静かなピアノのイントロで始まり、Aメロで一気にギアチェンジする『Installation』は、ドラムの存在感も増したロックテイスト強めのアレンジで、ますます「血が流れる」曲に。

 

 

早見さんも、スタンドの前に軽く足を広げて立ち、両手でスタンドのマイクを包むようにしながら力強く歌い上げます。

 

また、この曲の聴きどころの一つでもある冒頭の息を吸う音もライブ効果で破壊力アップ。「バイノーラルマイクを使ってる?」と思うほどに生っぽく、ゾクッとしました。

ライブ本編を締めくくるのは、圧巻の『ブルーアワーに祈りを』

 

ライブ終盤は静かな曲ということで、座席のある人には着席を促した後、自身も椅子に座ってのMCパート。

入場者全員に配られた今回のライブ限定のハンカチを紹介していると、ファンから「一生大事にします!」という声が。

 

「ありがとうございます。でも、これからも出すと思います(笑)」という正直過ぎる返答に会場がドッと湧き、本人も爆笑しました。

 

「私のライブではCDからアレンジすることが多くて。ここからの曲もアレンジシリーズです。もちろん原曲も大事ですし素敵なアレンジにして頂いているのですが、やっぱり何か特別なこと。今日、この場でしか感じられない歌をみんなで一緒に共有したいなと思いました。今日は1回しかないですからね」

 

その言葉通り、デビュー曲『やさしい希望』はスローなバラード調のアレンジに。ジャズナンバー『ESCORT』は、サックスパートに代わる形で、ピアノがより印象的なアレンジとなっていました。

 

ライブ本編最後の曲は、デビューシングルのカップリング曲でありながら、早見さんの代表曲の一つでもある『ブルーアワーに祈りを』。歌声の魅力が堪能できるバラードで、ある意味、「歌手・早見沙織」のポテンシャルの高さを強烈に示した1曲。

 

ライブでさらに映える曲でもあり、強く芯がありながらも、美しくどこまで伸びていく歌声に、会場中の人々が聴き入っていました。

バンドメンバーも含めて『Hayami Saori』というバンド?

 

「ありがとうございました」と丁寧にお辞儀した早見さんがマイクをスタンドに戻し、ステージを降りた後も拍手は鳴り止まず、客席からはアンコールの声も。それに応えてる形で、ホワイトとブルーの衣装に着替えた早見さんがステージに戻ってくると、大きな歓声が上がります。

ところが、「皆さんの前で、こんなに(多くの)曲を歌わせて頂くのは久しぶりで、とてもドキドキしつつも、とても楽しみで……」と久々のライブへの思いを語る中、「(全部で)13曲」とアンコールでの曲数をバラしてしまうハプニングも。

 

「あー!」と絶叫し、「大丈夫ですよね? みんな今、何曲目とか分かんないですよね!」と慌ててごまかす姿にも、温かな笑いが起こりました。

 

これまでの音楽活動を振り返り、「どういう風に音を選んで録っていこうかな、とか。どういう風に言葉を選んでいこうかな、とか。一つ一つ丁寧に拾い上げているような音楽活動を何となく意識していました」と語った早見さん。

 

今後に向けては、「個人の趣味も反映しつつ、もしかしたら、これから、よりマニアックになっていくかもしれないのですが(笑)。ぜひ、いろいろとやってきたいなと思っています」と宣言。ファンにとっては、何よりも嬉しい言葉だったでしょう。

 

9月12日に発売される5枚目のシングル『新しい朝』の情報などの告知の後、「お一人お一人の心のどこか、日々のどこかに、もし私が声を出して歌った歌が届ていたら……というか、そっと(そばに)いられたら嬉しいな」と音楽活動への思いを語った後は、キーボードの前に。作詞、作曲に加え、ピアノの演奏も自ら担当した『琥珀糖』を弾き語りで披露しました。

 

バンドメンバーを呼び込む前に、「今日のライブのタイトルも『Hayami Saori』となっていますが、私は本当にバンドメンバーが大好きで。『Hayami Saori』というバンドだと思って来ています(笑)」と、一緒にライブを作りあげてきたメンバーへの愛情を語る早見さん。

 

「じゃあ、バンドメンバー!」と呼び込むと、最初にギターの増田さんが一人で登場。「みなさん一緒にお願いします」とバースデーソングを演奏し、会場全員で「ハッピーバースデー、はやみん」と合唱しました。

 

ドラムのかどさんと、ベースの黒須さんが運んで来たバースデーケーキのロウソクも吹き消し、サプライズの誕生日パーティーは大成功。しかし、祝われた側は、驚いて動揺したのか、「本当にラストが近づいて参りましたので、最後の曲! 今日は本当にありがとうございます」と言った後、「まだ最後の曲では無いけれど(笑)。最後の方の曲です!」と言い直します。

 

そして、ノスタルジックな『To years letter』、最新シングル『Jewelry』を披露し、27歳の誕生日当日に行われたライブは幕を閉じました。

 

 

「皆さまとお会いできる機会も、歌をお届けできる機会もあるかと思いますが、これからも楽しい1年にしていきましょうね」

 

ライブ会場を出る前から、MCで語られたこの言葉が待ち遠しくなる、そんな1日限りのスペシャルライブでした。

 

[取材・文/丸本大輔]

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早見沙織 Warner Bros. Home Entertainment Official Website
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