METライブビューイングアンコール「ロメオとジュリエット」トークショーに宮尾俊太郎が登場

レポート
クラシック
舞台
2018.8.29
 撮影:西原朋未

撮影:西原朋未

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世界最高峰のオペラを映画館で楽しむMETライブビューイング。2017-2018シーズンを終え、8月4日から10月5日まで、これまでの名舞台をセレクトした「METライブビューイングアンコール2018」が行われている。ヴェルディやプッチーニ、ワーグナーの名作をはじめ、トーマス・アデス「皆殺しの天使」など話題の現代オペラまで、バラエティ豊かな作品が揃う。もう一度見たい作品、見逃した作品などを目にする絶好の機会だ。

なかでもアンナ・ネトレプコとロベルト・アラーニャ主演のグノー作曲によるオペラ「ロメオとジュリエット」は2007-08年シーズンに上演された名舞台のひとつ。8月25日の本作上映前にはKバレエカンパニーのプリンシパルダンサー、宮尾俊太郎が登場し、トークショーとともに、この作品の見どころが語られた。(文章中敬称略)

■世界中のスターを集めた最高峰のオペラ

この日のMETライブビューイングで上映される「ロメオとジュリエット」はグノーが作曲した全5幕のオペラで初演は1867年。ジュリエット役は、世界でもトップクラスの人気歌手の一人、アンナ・ネトレプコ、ロミオ役はMETやミラノ・スカラ座などで活躍するロベルト・アラーニャだ。指揮者は「三大テノール」として名を馳せたプラシド・ドミンゴ。世界屈指のスター歌手を「これ以上揃えるのは無理だろうというくらい揃え」、指揮者、オーケストラ、舞台美術に至るまで、すべてが豪華絢爛であるのがMETの舞台だ。

撮影:西原朋未

撮影:西原朋未

登場時に「僕はオペラについては全くの初心者です」と語りながらも、事前にこの作品のDVDを見てきたという宮尾は、「とにかく驚いた。オペラと言えば体躯のいい方々があまり動かずに歌うイメージだったのだけれど、皆シュッとスタイルが良くて美しく、またよく動く。走ったり剣で戦いながら息も切らさずに歌っていて、しかも演技も表情も素晴らしい。そのうちバレエダンサー並みに踊る歌手も出てくるんじゃないかと思った」と、素直な感想を述べた。

さらに「セットもまたモダンなデザインで豪華。特に4幕の寝室のシーンはベッドが星空に宙吊りになっていて2人の世界が歌われる。そのシーンのグノーの音楽がまた甘美で美しい」とライブビューイングの見どころを披露した。

ⒸKen Howard/Metropolitan Opera

ⒸKen Howard/Metropolitan Opera

■バレエとミュージカルの「ロミオとジュリエット」に出演。「次はオペラ」!?

宮尾は来たる10月12日からKバレエカンパニーの公演「ロミオとジュリエット」にロミオ役で出演予定。またミュージカル「ロミオとジュリエット」では死のダンサーを踊り、2019年の公演も出演が決まっているなど、この作品には縁がある。

「ダンサーとしてこの作品を踊る時、一番気を使う場面は」の問いに、宮尾は「最後の自殺のシーン。バレエは台詞がないだけに、自身の身体表現やオーケストラの音楽が登場人物の感情を表すように踊らなければならないなど、繊細で気を使う。振り付けが決まっているなかで、シェイクスピアの台詞がお客様に聞こえていくように頭に台詞を入れて、14歳と16歳の若い男女の、愛が止まらなくなっている勢いと初々しさを表現しようとしている」と語った。

またトークはオペラやバレエなどにおける恋愛とその意義にも発展。宮尾がシェイクスピアのこの戯曲が400年以上の長きに渡り、これほどまでに愛される作品である理由について、「人と人との争いが消えない限りは、この物語は愛されるのでは。争いがあるから愛が浮きたって見え、そこに皆さんは感情移入するのかもしれない。もし争いがこの世からなくなったら、この物語はとてもつまらないものになってしまうのではないかと思う」と持論を展開。それを受け司会者も「人間はやはり恋愛が大好き。現実世界で実現不可能な恋愛ドラマを展開するのがオペラでありバレエ」と語り、熱い盛り上がりを見せた。

そして宮尾は「僕もライブビューイングに出られるよう頑張ります。(「ロミオとジュリエット」は)バレエも踊り、ミュージカルもやったから、後はオペラかな。絶対無理ですけど(笑)」と語り、笑いで会場を沸かせながらトークを締めくくった。

METライブビューイングアンコールは10月5日までで、東劇、関西、名古屋で行われる。そして11月2日から2018-19シーズンが、やはりネトレプコ主演による「アイーダ」で開幕予定だ。

ⒸMarty Sohl/Metropolitan Opera

ⒸMarty Sohl/Metropolitan Opera

取材・文=西原朋未

上映情報

METライブビューイングアンコール(東劇)
 
■ヴェルディ作曲

《ドン・カルロ》
上映時間:4時間19分
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:ニコラス・ハイトナー
出演:ロベルト・アラーニャ、マリーナ・ポプラフスカヤ
上映日:8/6(月)~8(水)14:00~、9/3(月)~5(水)10:00~、9/30(日)17:30~

 
《エルナーニ》
上映時間:3時間21分
指揮:マルコ・アルミリアート
演出:ピエール・ルイジ・サマリターニ
出演:ディミトリ・ホヴォロストフスキー、アンジェラ・ミード
上映日:8/6(月)~8(水)19:00~、8/13(月)14(火)、10/1(月)14:30~

 
《仮面舞踏会》
上映時間:3時間34分
指揮:ファビオ・ルイージ
演出:デイヴィッド・アルデン
出演:マルセロ・アルヴァレス、ディミトリ・ホヴォロストフスキー
上映日:8/9(木)10(金)14:30~、8/13(月)14(火)18:30~、9/26(水)27(木)18:00~

 
《イル・トロヴァトーレ》
上映時間:3時間6分
指揮:マルコ・アルミリアート
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:アンナ・ネトレプコ、ディミトリ・ホヴォロストフスキー
上映日:8/4(土)5(日)14:00~、8/9(木)10(金)11:00~、9/15(土)16(日)18:30~

 
《ルイザ・ミラー》
上映時間:3時間26分
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:エライジャ・モシンスキー
出演:プラシド・ドミンゴ、ソニア・ヨンチェヴァ
上映日:8/9(木)10(金)18:30~、9/6(木)7(金)11:00~、10/2(火)10:30~

 
■ロッシーニ作曲
 
《セヴィリャの理髪師》
上映時間:3時間21分
指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:バートレット・シャー
出演:ジョイス・ディドナート、フアン・ディエゴ・フローレス
上映日:9/8(土)9(日)11:00~、9/10(月)~12(水)18:30~、9/13(木)14(金)14:30~、10/1(月)18:30~

《オリー伯爵》
上映時間:2時間56分
指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:バートレット・シャー
出演:フアン・ディエゴ・フローレス、ディアナ・ダムラウ
上映日:9/8(土)9(日)15:00~、9/13(木)14(金)11:00~、10/4(木)18:45~

《ラ・チェネレントラ》
上映時間:3時間24分
指揮:ファビオ・ルイージ
演出:チェーザレ・リエーヴィ
出演:ジョイス・ディドナート、フアン・ディエゴ・フローレス
上映日:9/8(土)9(日)18:30~、9/10(月)~12(水)14:30~、9/22(土)23(日・祝)14:30~

《セミラーミデ》
上映時間:3時間48分
指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:ジョン・コプリー
出演:アンジェラ・ミード、イルダール・アブドラザコフ
上映日:9/1(土)2(日)18:00~、9/10(月)~12(水)10:00~、10/4(木)14:30~

 
■プッチーニ作曲
 
《トゥーランドット》
上映時間:3時間4分
指揮:アンドリス・ネルソンス
演出:フランコ・ゼフィレッリ
出演:マリア・グレギーナ、マルチェッロ・ジョルダーニ
上映日:8/27(月)~29(水)11:00~、9/29(土)14:00~

 
《マノン・レスコー》
上映時間:3時間16分
指揮:ファビオ・ルイージ
演出:リチャード・エア
出演:クリスティーヌ・オポライス、ロベルト・アラーニャ
上映日:8/27(月)~29(水)18:30~、9/19(水)~21(金)11:00~、10/2(火)18:30~

 
《蝶々夫人》
上映時間:3時間26分
指揮:カレル・マーク・シション
演出:アンソニー・ミンゲラ
出演:クリスティーヌ・オポライス、ロベルト・アラーニャ
上映日:8/25(土)26(日)18:30~、8/30(木)31(金)14:30~、9/15(土)16(日)14:30~、10/4(木)10:30~

《トスカ》
上映時間:3時間
指揮:エマニュエル・ヴィヨーム
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:ソニア・ヨンチェヴァ、ヴィットーリオ・グリゴーロ
上映日:8/27(月)~29(水)14:30~、8/30(木)31(金)11:00~、9/1(土)2(日)14:30~、10/5(金)15:00~

《ラ・ボエーム》
上映時間:3時間7分
指揮:マルコ・アルミリアート
演出:フランコ・ゼフィレッリ
出演:ソニア・ヨンチェヴァ、マイケル・ファビアーノ
上映日:8/25(土)26(日)10:00~、8/30(木)31(金)18:30~、10/2(火)14:30~

 
■モーツァルト作曲
 
《魔笛》
上映時間:3時間42分
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:ジュリー・テイモア
出演:ルネ・パーペ、マルクス・ヴェルバ
上映日:8/15(水)~17(金)14:30~、9/13(木)14(金)18:30~、9/24(月・振休)25(火)14:30~、9/29(土)18:00~

 
《コジ・ファン・トゥッテ》
上映時間:3時間38分
指揮:デイヴィッド・ロバートソン
演出:フェリム・マクダーモット
出演:ケリー・オハラ、クリストファー・モルトマン
上映日:9/6(木)7(金)18:30~、9/17(月・祝)18:30~、9/18(火)14:30~、9/28(金)18:30~

 
■グノー作曲
 
《ロメオとジュリエット》
上映時間:3時間28分
指揮:プラシド・ドミンゴ
演出:ギイ・ヨーステン
出演:アンナ・ネトレプコ、ロベルト・アラーニャ
上映日:8/4(土)5(日)10:00~、■8/25(土)26(日)14:00~、9/17(月・祝)14:30~、9/18(火)18:30~、9/29(土)10:00~、10/5(金)11:00~

 
《ファウスト》
上映時間:3時間53分
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:デス・マッカナフ
出演:ヨナス・カウフマン、ルネ・パーペ
上映日:9/3(月)~5(水)14:45~、9/15(土)16(日)10:00~、10/1(月)10:00~

 
■ビゼー作曲
 
《真珠採り》 上映時間:2時間35分
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
演出:ペニー・ウールコック
出演:ディアナ・ダムラウ、マシュー・ポレンザーニ
上映日:9/3(月)~5(水)19:00~、9/19(水)~21(金)15:00~

 
■チャイコフスキー作曲
 
《エフゲニー・オネーギン》
上映時間:3時間13分
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演出:ロバート・カーセン
出演:ディミトリ・ホヴォロストフスキー、ルネ・フレミング
上映日:8/6(月)~8(水)10:00~、8/11(土・祝)12(日)14:30~、9/17(月・祝)18(火)10:30~、9/30(日)13:30~

 
■ワーグナー作曲
 
《トリスタンとイゾルデ》
上映時間:5時間7分
指揮:サイモン・ラトル
演出:マリウシュ・トレリンスキ
出演:ニーナ・ステンメ、スチュアート・スケルトン
上映日:8/18(土)11:00~、8/22(水)~24(金)11:00~、10/3(水)16:00~

 
■レハール作曲
 
《メリー・ウィドウ》
上映時間:2時間53分
指揮:アンドリュー・デイヴィス
演出:スーザン・ストローマン
出演:ルネ・フレミング、ケリー・オハラ
上映日:8/11(土・祝)12(日)18:30~、9/1(土)2(日)11:00~、9/30(日)10:00~

 
■R・シュトラウス作曲
 
《ばらの騎士》
上映時間:4時間24分
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
演出:ロバート・カーセン
出演:ルネ・フレミング、エリーナ・ガランチャ
上映日:8/19(日)~21(火)11:00~、10/3(水)11:00~

 
■ベッリーニ作曲
 
《ノルマ》
上映時間:3時間27分
指揮:カルロ・リッツィ
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:ソンドラ・ラドヴァノフスキー、ジョイス・ディドナート
上映日:8/4(土)、5(日)17:30~、8/15(水)~17(金)18:30~、9/28(金)14:30~

 
■トーマス・アデス作曲
 
《皆殺しの天使》
上映時間:2時間41分
指揮:トーマス・アデス
演出:トム・ケアンズ
出演:オードリー・ルーナ、アマンダ・エシャラズ
上映日:9/19(水)~21(金)18:30~

 
■ドニゼッティ作曲
 
《愛の妙薬》
上映時間:2時間48分
指揮:ドミンゴ・インドヤーン
演出:バートレット・シャー
出演:イルデブランド・ダルカンジェロ、マシュー・ポレンザーニ
上映日:9/6(木)7(金)15:00~、9/24(月・振休)、25(火)19:00~

 
■マスネ作曲
 
《サンドリヨン》~シンデレラ~ 上映時間:3時間4分
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:ロラン・ペリー
出演:ジョイス・ディドナート、アリス・クート
上映日:9/22(土)23(日・祝)18:30~、9/26(水)27(木)14:30~、10/5(金)18:30~

 
■METライブビューイング公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/met/
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