古代オリエント博物館開館40周年記念展『シルクロード新世紀-ヒトが動きモノが動く-』が開催
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東京・池袋のサンシャインシティ内の古代オリエント博物館にて、開館40周年記念展として『シルクロード新世紀-ヒトが動きモノが動く-』が、2018年9月29日(土)~12月2日(日)まで開催される。
先史時代、中世・近代、そして最新の研究を紹介
1991年のソビエト連邦の崩壊以後、かつてシルクロードの舞台であったユーラシア諸地域では、冷戦下では閉ざされていた東洋の学術交流が進み、考古学・歴史研究は新たな局面を迎えている。近年の発掘調査の新発見や研究の成果により、私たちが今まで抱いてきた古代シルクロード像が大きく変化しているのだ。
本展覧会では、シルクロード「絹の道」を様々な面で広範囲に捉え、ヨーロッパや中近東地域から、中央アジア、東アジアのユーラシア各地までも含めた展示を試みる。国内の考古、美術、歴史資料の主要なものを集結し、先史時代から中世・近代まで、数千年に渡るシルクロード間交流の一大パノラマを紹介する。
さらに、会期中には食のイベント「歴メシで旅するシルクロード」など数々の講演会や体験イベントも実施。最新のシルクロード研究を通して、今ますます注目を集める“新しいシルクロード像”を考え、思いを馳せることができる展覧会となっている。
第1章 先史時代のユーラシア
ハンドアックス:インド・アッティランパッカム遺跡、 約150-38.5万年前(東海大学文学部)
旧石器時代から銅石器時代にかけて、ユーラシア大陸で繰り広げられた人類の移動とモノ・技術の伝播について紹介。アフリカから飛び出した人類は、ユーラシア大陸を縦横に拡散すると同時に、さまざまな集団間の交流があったことが知られるようになってきた。この時代の主な移動手段は徒歩。人々は広大な大陸を自らの足で踏破した。また、西アジアの農耕牧畜文化と中国の農耕文化に系譜があったのか、彩文土器の起源をめぐる学説などを検証し、先史時代のユーラシアでは、後世のシルクロードに匹敵するヒトとモノの交流がすでに頻繁に始まっていたことを明らかにする。
ルヴァロワ型石器2点:ヨルダン・トル=アエイド遺跡、 約7.5-5万年前(名古屋大学博物館)
彩陶双耳附小壺:中国・甘粛地域、 前2200-2000年頃(天理大学附属天理参考館)
第2章 シルクロード史の黎明時代
馬俑:中国、 3~4世紀(馬事文化財団 馬の博物館)
青銅器~鉄器時代、東西の大河流域から始まった古代文明では都市や国家が成立し、その影響はユーラシア大陸各地へと波及していった。本章が扱う時代にはウマやロバ、ラクダといった基本的な駄獣が家畜化され、大陸における集団移動を変革させた。それにとどまらず、そうした動物が牽引する車両も発達し、戦争の本質も変化させた。本章では、青銅器や鉄器といった金属器技術の東西交流と、その背景で活躍した知られざる草原の騎馬民族たちに焦点を当てて、古代シルクロードの基盤となるだけでなく人類史の方向性を決定付けた技術や交流の動きを追う。
青銅柄鉄剣:イラン、 前1000年頃(筑波大学考古学研究室)
第3章 古代のシルクロード
ヘラクレス立像:イラク、 ハトラ出土(東京国立博物館)
紀元前1千年紀後半のユーラシアは、広大な領域を支配する古代帝国が相次いで成立した時代だ。西のアケメネス朝/ローマ帝国、東の漢帝国に集中した富と権力は、周辺の諸地域を巻き込みながら、ブラックホールさながらに双方の文物を吸収し合った。そこにはそのような史上名だたる帝国だけでなく、数多くの民族が主人公となって富貴を争い、前代未聞の地域間交流を実現させた。本章は、豪華絢爛なシルクロードの実態を、石像彫刻やガラス器、金属器などの新研究の成果から照らし出す。
バーミヤーン東大仏天井壁画:アフガニスタン、 6世紀頃(東京藝術大学制作クローン文化財)
帝王狩猟文皿:サーサーン朝時代(6 ~7世紀)(MIHO MUSEUM)
円形切子装飾碗:伝イラン出土、 6世紀(岡山市立オリエント美術館)
第4章 中世以降のシルクロード
菩薩像頭部:中国、 クムトラ千仏洞(平山郁夫シルクロード美術館)
ビザンツ、イスラーム、サーサーン朝、唐帝国、そして日本列島へ躍動する古代シルクロードは、時に東西文化の衝突を伴いながら、文化の成熟を促した。多様な民族、文化、言語からなるシルクロードだが、異文明同士のコミュニケーションを促進させ、目まぐるしく新しい文化を生み出していった。例えば、サーサーン銀貨の普及やガラス器の東伝の背景にはソグド人商人の精力的活動の一方で、中国産の陶磁器の流通の背景には、西洋に先駆けた遠洋航海技術の発達を抜きにしては語れない。しかし近代初頭になると西欧諸国による世界の大洋進出が大商業時代を現出し、それまでの大陸横断型の交易動脈であったシルクロードが衰退し、新しいヒトとモノの移動が始まった。ヒトとモノが動くことで、世界の地域文化や思想も大きく変容を遂げ、現代に連なるグローバルな歴史が生み出されるようになる。
イスラーム陶器:日本、 奈良県西大寺遺跡出土、 8世紀中頃(奈良市埋蔵文化財調査センター)
イベント情報
開催時期:2018年9月29日(土)~12月2日(日)[65日間]<会期中無休>
10:00~17:00 (最終入館は16:30)
※10月19日(金)、 11月30日(金)は20:00閉館 (最終入館は19:30)
入場料金:一般1,000円 大高生800円 小中生600円
シルクロード研究の最前線を知る学術シンポジウム。
日 時:10月6日(土) 13:00~16:30
会 場:サンシャインシティ 文化会館ビル5階 特別ホール502室
講 師:西秋良宏(東京大学総合研究博物館教授)・前田耕作(アフガニスタン文化研究所所長・
東京藝術大学客員教授)・宮廻正明(東京藝術大学名誉教授)
参加費:500円(古代オリエント博物館友の会会員は無料、 当展覧会
定 員:160名
(2)食体験「歴メシで旅するシルクロード」 ※事前申込制
シルクロードに関わる地域の食文化を復元し、 試食する体験型食イベント。
日 時:10月8日(月・祝) 13:00~16:00
会 場:サンシャインシティ 文化会館ビル7階 会議室710室
講 師:遠藤雅司(音食紀行/歴史料理研究家)
参加費:アルコールなし4,000円/アルコール付き5,000円
定 員:40名
古代シルクロードの平織り技術を学ぶ子供向けイベント。
日 時:11月3日(土・祝) 13:30~15:00
会 場:サンシャインシティ 文化会館ビル7階 会議室710室
参加費:500円
定 員:20名(小・中学生のみ。 小学生の参加申込には保護者の同伴が必要)
※本イベントは、 文化庁平成30年度地域と共働した美術館・歴史博物館想像活動支援事業の助成を
受けています。
研究員による展示解説。 各回、 展示章別に見どころを語ります。
日 時:9月30日(日)、 10月28日(日)、 11月11日(日)、 11月25日(日) 各回15:00~16:00
会 場:古代オリエント博物館 展示会場
参加費:展覧会入場料のみ
定 員:30名程度
古代シルクロード研究者を招聘して、 最新の研究成果を語っていただきます。
日 時:10月19日(金)、 11月30日(金) 各回19:00~20:00
会 場:サンシャインシティ 文化会館ビル5階 会議室502号室(10月19日)
サンシャインシティ 文化会館ビル7階 会議室710号室(11月30日)
参加費:展覧会入場料のみ
講 師:未定
定 員:160名(10月19日)、 130名(11月30日)