【サンボマスター・RUSH BALL 2018 クイックレポ】世界はこれを愛と呼ぶんだ！サンボマスターと起こしたミラクルにVサイン

RUSH BALL 2018　サンボマスター

『RUSH BALL』初出場となる、サンボマスターのロックンロールをこれでもかと浴びた昼下がり。ライブが終わってからしばらくしてもまだ、胸が高鳴って止まない。間違いなく、そんな人ばかりのはずだ。そう言い切りたくなるぐらいに、観客を根こそぎ巻き込んで、心に残るライブをぶちかましていた。

「世界をかえさせておくれよ」でライブがスタートすると、瞬く間に生まれた一体感をみんなで確かめ合いながら、全員野球でライブを作り上げるように熱を高めていく。近藤洋一（Ba）と木内泰史（Dr）のリズムに身をゆだね踊りながら、腹の底から声を出して歌っている観客の姿を見ていると、いかにサンボの曲が、彼、彼女らの日常と共にあり続けてきたのかが分かる。肩を組んで歌っている人もいたし、実際に組んでいなくても周りのみんなが同じ気持ちで、仲間だって思えるムードが、より一体感を強固なものにしていた。

「オリンピックで優勝できるのはただ1人。甲子園で優勝できるのはたった1校。だけどな、ロックンロールはここにいる全員が優勝できんだ！」(山口隆/Vo/Gt)と、「全員優勝！」コールが巻き起こり、続々と突き上げられるVサイン。キラキラと笑顔咲く眩しい光景を、山口は歌いながら目で追っていた。ラストの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」では、途中演奏をやめて、山口は「週明けから秋が始まってさ、クソみたいな毎日が始まって、毎日泣く夜が続いていくかもしれない。でもな、今、すげー笑ったべ、俺たち。このことを忘れんなよ。クソみたいな毎日だったら、ライブハウスに来い。クソみたいなところに自分の居場所を置くな！ おめぇたちの居場所はここだからよ！」と訴えかけた。これを受けて、もう何一つ思い残すことがないように、今、この瞬間を全力で心に刻まんとばかりに、どちゃくそ弾ける観客と最高潮へ。

何度も「おめぇら、そんなもんじゃねえだろ！」とか、「笑ってっか？」と投げかけ続けていた山口。決して煽り立てていたわけでなく、きっと観客ひとりひとりの内なる感情やエネルギーを最大限引き出すためで、だからこそ、腹を割ってミラクルといえるような眩い体験をみなで分かち合うことができた。ライブ後、目を赤らめた観客がそこかしこで、泣き笑いしていた。きっと今日のライブを忘れることなく、何があっても生き延びて、笑顔のままライブハウスで再会できるのだろうなと、そんな風に心底思ったライブだった。

文＝大西健斗　撮影＝瀧本JON...行秀

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