ELLEGARDEN『RUSH BALL 2026』クイックレポートーー大切な何かを問いかける、待ち望まれたバンドの初陣
ELLEGARDEN 撮影=石井 麻木
ELLEGARDEN『RUSH BALL 2026』クイックレポート
すっかり陽も落ちた19時、ELLEGARDENにとっての『RUSH BALL』初陣が始まる。……って、初出演!? 今朝の開幕宣言でFM802のDJである大抜卓人も話していたが、細美武士(Vo.Gt)はthe HIATUSやMONOEYESとして幾度も泉大津に訪れているし、SiMからBRAHMANへ渡されたバトンをこの4人が受け取るタイムテーブルも、これしかないと思ってしまうほどのハマりっぷり。要するに、『RUSH BALL』が待ち侘びていたロックバンドの見参である。
そんな新たな歴史の1ページを捲ったオープニングナンバーは「Fire Cracker」。紅白のライティングが明滅する中、生形真一(Gt)と高田雄一(Ba)、細美は両足を広げ、細かな休符の度にグッと身体を沈ませていく。そのシンクロした身体運動は豪快なストロークを推進し、より重厚なサウンドスケープを描いていく。壊れそうな情感を孕んだファルセットから、がなり声を垂らした<Yeah>のシャウトへ飛躍していく「Salamander」の歌唱然り、研ぎ澄まされた一挙手一投足には、もはや肉体的な美しささえ滲んでいるのだ。
他方、言うまでもなく、彼らは音楽を愛する1人のライブキッズとしての側面も持ち合わせている。「チーズケーキ・ファクトリー」の最中、「ウブ、行ってこーい!」とギターソロを後押しする細美の表情は少年そのものだし、MCのワイワイとしたやり取りもそう。フロアにいる俺や私と変わらないミュージックラヴァーであることが伝播してくるがゆえに、オーディエンスも全身全霊のクラップ&シンガロングで応答していくのだろう。
ドドドドという超重量級の4発を高橋宏貴(Dr)がぶっ叩く「カーマイン」を終え、細美はゆっくりとこう話す。
「お前ら、忘れんなよ。どうせ最期の瞬間には、ほとんど全てのことが意味を失う。だったらお前にとって、本当に大事なのは何なんだ。毎朝、鏡を見ると、最近はそうやって訊くことにしています。これから最期まで、ELLEGARDENをひとつよろしくお願いします」
この瞬間も確実に落ち続けている命の砂時計を目前に、何を成し、何を歌い、何を抱きしめるのか。こんな人生哲学を問いかけたところで、<たった一つのことが今を迷わせてるんだ>という書き出しが耳朶を打つ。「ジターバグ」だ。人差し指を突き立てる細美の仕草は、先刻のMCとリンクを果たし、モヤモヤとした悩みを切り裂く一縷の光のメタファーに思えてくる。
照らされた客席から特大の合唱が舞い上がった「Make A Wish」のリリック<Nothing lasts forever>だって、やはり先ほどの語りに通ずるもの。どこかへ行ってしまった彼女に対する破れた心と情けなさを記した「Supernova」にしろ、過ぎ去りゆく夏に思いを馳せる「The Autumn Song」にしろ、ELLEGARDENは一貫して、喪失を綴り、哀しみをパンキッシュなビートで刻みつけてきたのだった。であるならば、エンディングに差し出された「金星」において、細美がハモリの旋律を歌い上げた理由はきっとこうだったのではないだろうか。お前の歌を聞かせてくれ。お前の大切なものを教えてくれ。限られた時間を分かち合う愛すべきファンたちへの信頼と愛情が、『RUSH BALL』に満ち満ちていたのだった。
取材・文=横堀つばさ 撮影=石井 麻木
(『RUSH BALL 2026』オフィシャルレポートの一覧はこちら)
セットリスト
1.Fire Cracker
2.Salamander
3.チーズケーキ・ファクトリー
4.Supernova
5.The Autumn Song
6.カーマイン
7.ジターバグ
8.Make A Wish
9.金星
イベント情報
日程:2026年8月29日(土)・30日(日)
会場:大阪・泉大津フェニックス
https://www.rushball.com