【ACIDMAN・RUSH BALL 2018 クイックレポ】終わりあるからこそ美しい、ストイックに向き合ったACIDMANの壮大なステージ
ACIDMAN
RUSH BALL 2018 ACIDMAN
昨年、結成20年を迎えたACIDMANが、ほとんど同じ月日を過ごしてきた、今年20周年の『RUSH BALL』のステージに登場。1曲目で披露されたのは「赤橙」。赤とオレンジの照明をバックに、優しく、そして雄大に歌い上げる大木伸夫(Vo/G)。そのまま「FREE STAR」へとなだれこむと、途中、浦山一悟(Dr)が「イエェエエエエーッ!」と咆哮。佐藤雅俊(Ba)もステージのギリギリまで身を乗り出して、キャップが吹き飛ぶほどアグレッシブに観客を煽る。ズンズンとダイレクトに胸を揺らすリズムと、観客の特大のクラップが呼応して、倍々にテンションを増幅していく。さらに「ミレニアム」、「ある証明」とアンセムが畳みかけられるもんだから、会場の熱気が大爆発。とてつもないエネルギーが充満していた。
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開始早々から思わずのけぞってしまいそうになるほど、ストイックに練り上げられた緻密かつ分厚いバウンドサウンドを浴びて、観客も興奮を抑えられずブンブン手を振り上げて応える。昨年の『RUSH BALL』のステージも凄まじかったが、それを更新せねば意味がないと言わんばかりの前のめりな展開に胸が熱くなる。大木が投げかけた「最高の1分1秒をみんなで作っていきましょう!」という言葉通り、1分1秒に全神経を注ぎ、観客と二度と訪れない時間を大切に、熱量を持って共有していく空気感は、何とも言えないヒリついた緊張感を帯びていた。そして、楽曲の新旧がイベントと共に歩んできた時の流れを、彼らがここで何を証明してきたのかを物語っているようにも思えた。
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MCでは、大木が『RUSH BALL』との出会いまでさかのぼって、イベントへの想いをありのままに伝える。さらに「こんなハッピーな場所で……」と前置きした上で、「大好きな人もこのフェスも宇宙も、いつ死んじゃうか分かんない。だけど、どんなことがあるか分からないからこそ、1分1秒が美しくてかけがえのないものだと思います」と、そう語ってラストナンバーとなる「世界が終わる夜」へ。20年もの間、“生と死”や限りあるものをテーマに音楽で想いを繋いできた彼らだからこそ、綺麗ごとではなく、我が事としてメッセージが胸に突き刺さる。最後まで、広々とした泉大津の地でも足りないぐらいのスケール感あるステージを繰り広げ、観客と儚くもヴィヴィッドな時間を分かち合った。
文=大西健斗 撮影=瀧本JON...行秀
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セットリスト
1.赤橙
2.FREE STAR
3.ミレニアム
4.ある証明
5.世界が終わる夜