【ストレイテナー・RUSH BALL 2018 クイックレポ】怒涛のセットリストで、20年のストーリーを紡ぐ。ストレイテナーで感動のフィナーレへ

RUSH BALL 2018　ストレイテナー

「20年目の『RUSH BALL』……最後を飾るのは今年結成20年のロックバンド！」
そんなホリエアツシ（Vo/Gt/Pf）の挨拶から、ストレイテナーのステージが幕を開ける。ド頭から「彩雲」をエモーショナルに届け、大山 純（Gt）のリフが心の琴線を刺激。そのまま間髪入れず仕掛けられた、「REMINDER」の音像の迫力たるや。サビ前の盛り上がりに高揚感を掻き立てられ、そのまま今度はナカヤマシンペイ（Dr）と日向秀和（Ba）の重たいビートで会場をダンスホールと化した「DISCOGRAPHY」へ。ストロボとカラフルな照明がバキバキにキマる演出や、ドラムセットの上に立ち上がってポーズを決めるナカヤマの息遣いに奮い立つ。まだまだ前半戦、なのになんだこの半端ない多好感……。攻め立てられるセットリストは留まることを知らず、リリースされたばかりの新曲「Braver」を披露。闇夜を切り裂くように飛び交うレーザービームがステージを幻想的に際立たせ、まだ見ぬ境地へと観客を誘っていった。

怒涛の流れから一転、秦基博と制作した「灯り」をシンセで歌ったホリエ。《あと数時間で／今日が終わる》と大切な人の元へ帰るまでの心境を綴った、温かみを帯びた歓びの歌だが、今日ばかりは少し切なく染みてきた。楽しかった1日が、もうすぐ終わってしまうと考えてしまうほど、メロディが今の気持ちに寄り添ってきた。……と思っていたところに、まだ終わっちゃいませんよと言わんばかりにダメ押しの「シーグラス」！ 音の流れに身を任せ、心地よさそうに幸せそうな表情を浮かべる観客たちの姿が印象的だった。

とはいえ、「終わってほしくないよ……」とホリエも、僕たちと同じ気持ちだったようで名残惜しい様子。あえて冒頭では割愛したが、ホリエが大事な登場挨拶を思いっきり噛んでしまったので、MCの時間を使ってリベンジ。改めて、丁寧に、『RUSH BALL』への想いを語る。

「2003年にまだ神戸でやってた、『RUSH BALL』に呼んでもらって、それが初めてのロックフェスでした。だから、本当の意味でホームだと思っています。あれから15年が経って、ストレイテナーは結成20周年。『RUSH BALL』も20周年。お互い、もう二十歳で成人です。だけど、まだまだ音楽が好きな、ロックが好きなガキみたいに青臭くて不器用なまま、魂をぶつけ合っていきたいと思います」(ホリエ)。そんな言葉から、極めつけの「Melodic Storm」。 奏でられたアンセムを観客とシンガロングするハイライトを叩き出し、ラストは「From Noon Till Dawn」で爆裂アンサンブルを打ち鳴らす。最後までアグレッシブに攻め立てる最高潮の締めくくりには痺れた。

ラストは、メンバー全員でカーテンコール。後方を指さすので目をやると、打ち上げ花火が上がっていた。これで、本当の終わりか……。みんながそんな余韻に浸り、クロージングアクトめがけて駆け出す者もいる中、ステージにはACIDMANの3人、9mm Parabellum Bulletの 菅原 卓郎、the band apartの荒井岳史と木暮栄一、そしてTHE BACK HORNの松田晋二が駆け寄り、テナーのメンバーと肩を寄せ合い言葉をかけ合っていた。9mmは少し若いが、他はほぼ皆が20年選手の同世代。最後は、凌ぎを削り支え合ってきた仲間と花火を見上げる、そんな『RUSH BALL』らしい20年のストーリーが詰まったシーンで、美しく幕を閉じた。余韻冷めやらぬ、というよりも、このストーリーの続きを早く観たい、体験したい、そんなドキドキわくわくする期待感の方が胸を膨らませている。
 

文＝大西健斗　撮影＝田浦ボン

RUSH BALL 2018 オフィシャルレポート一覧はこちら