咳払いすら怖くなる!音を立てずに"それ"から生き延びられるのか『クワイエット・プレイス』#野水映画“俺たちスーパーウォッチメン”第五十七回

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2018.9.26
 (C) 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

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TVアニメ『デート・ア・ライブ  DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス  怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。

話し声、電車や車の音、音楽。私たちが生きる世界には、毎日たくさんの音が溢れている。私は一人で家に居る時、音が無いと落ち着かないので、BGM代わりにテレビを点けていることもある。もしも、それらの音をすべて無くさないといけなくなったらどうだろう。人々が息を潜め、足音すら響かない世界は、不気味に思えやしないだろうか。しかも、音を立てると危険な目に遭うとしたら……。今回は、そんな不安を可視化したスリラー作品『クワイエット・プレイス』を紹介しよう。

音に反応して人間を襲う“何か”によって、人類が滅亡寸前となった世界。そこには、「決して音を立てていけない」というルールのもと、生き延びた一組の家族がいた。彼らは手話で意思を疎通し、道に砂を引き、裸足で歩くことで安全を確保していた。そんな中、妊娠中の母親の出産予定日が目前に近づいてくる。はたして彼らは、無事に生き延びることができるのだろうか。

物音厳禁!見ている側も没入する恐怖体験

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ホラーやスリラーには、悲鳴や叫び声がつきもの。だが本作では、聴覚障害を持つ長女にならい、主人公家族がすべて手話でコミュニケーションをとるため、前半はほぼ無音で物語が進んでゆく。台詞もかなり少ないので、観ているこちら側は、登場人物の目線を追い、ニュアンスを読もうとすることになるだろう。彼らとともに耳をそばだて息を潜めていると、まるでVR(ヴァーチャル・リアリティ)かのごとく、自分もそこにいるような臨場感を味わえるはずだ。

若者が暗闇の中で盲目の退役軍人と対峙するスリラー『ドント・ブリーズ』(16)にも似たような感覚を味わったが、今回はそれ以上。“何か”の正体はここでは伏せておくが、万が一音を立てたらこうなっちゃうよ〜という場面を見た私の感想は、「こりゃ劇場でポップコーン食べる気失くすなぁ……」だった(笑)。ポリポリと鳴る咀嚼音で、“何か”が寄ってこないようにご注意を。

 

根底にある家族愛

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スリリングな展開だけでなく、本作は、団結して生き抜こうとする一家の、胸を打つような深い“家族愛”も描いている。監督兼・夫役のジョン・クラシンスキーと妻役のエミリー・ブラントが実生活でも夫婦であるためか、二人の間に漂う信頼感は実にリアルだ。イヤフォンをシェアして音楽を聴きながら踊る、ロマンティックなシーンには、劇中の過酷な環境を忘れて見とれてしまうはず。どんな状況でも互いを思い遣る気持ちを忘れない、理想の夫婦像を見せてくれるのだ。

また、両親と子どもたちの絆も心を揺さぶる。父親は補聴器を自作し続けるなど、無償の愛を長女に注ぐが、肝心の娘は、あることがきっかけで両親に愛されていないと感じ、素直になれずについ反抗的な態度を取ってしまう。私は「そんなわけない!愛されてるに決まってるよ〜!!」ともどかしい気持ちでジタジタしたものの、その設定を伏線として上手く回収する監督の手腕には驚かされた。父娘の関係性がどんなかたちで"生き残り"に絡むのか、お楽しみに。

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音を立ててはいけない世界で新たに子どもを産もうとするのは、さすがに「お母さん強すぎるよ!!」とツッコみたくもなるが(笑)。それはさておき、危険すぎる世界で無事に子どもを産むことができるのか? 生まれたとして、赤ちゃんの泣き声にどう対処するのか。

予告を見ると、気になることがてんこ盛りのこの作品。何としても生き延びようとする家族の行く先を、劇場で見届けろ!

『クワイエット・プレイス』は9月28日(金)公開。

作品情報

『クワイエット・プレイス』
 
監督・脚本・出演:ジョン・クラシンスキー 
脚本:ブライアン・ウッズ、スコット・ベック 
製作:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッド・フラ- 
キャスト:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ
原題:A Quiet Place 
配給:東和ピクチャーズ 
公式サイト:https://quietplace.jp/
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