武満徹《四季》を上演〜バシェの「音響彫刻」修復プロジェクト
修復後の桂フォーン(2015年10月)
京都市立芸術大学と京都芸術センターでは、両者が連携し国際的に活躍し京都での制作やリサーチを望む芸術家または芸術分野の研究者の滞在を受け入れ、新しい芸術を生み出す機会を提供するアーティスト・イン・レジデンスプログラムを行っている。
今年度はバルセロナを拠点に活動する音楽学研究者でサウンドアーティストのマルティ・ルイツを招へい、1970年の大阪万博で発表されたバシェの「音響彫刻」を修復するプロジェクトが進行中だ。
「音響彫刻」は、フランス人彫刻家フランソワ・バシェと、兄のベルナール・バシェが考案した特殊な楽器。2人は1970年、大阪万博の際、大阪に約4ヶ月滞在し、地元の技術者とともに製作した。ガラスのリードを濡れた手でこすったり、鉄の棒で叩いたりすることで、音が発生する。
ルイツは、このバシェ音響彫刻の研究者として、これまでにも世界各国のバシェ音響彫刻の修復を手掛け、自身もオリジナルの音響彫刻を制作してきた。
去る10月15日には、ルイツが京都市立芸術大学を訪れ、彫刻専攻の学生たちとともに2基のバシェの音響彫刻(桂フォーンと渡辺フォーン)を修復、作曲専攻と管・打楽専攻の学生たちに扱い方の指導の指導も行った。
修復した音響彫刻は11月4日から12日まで京都芸術センターのギャラリー北で展示される。
ルイツはすでに2013年に大阪の万博公園内でバシェの音響彫刻2基を修復し、EXPOパビリオンと京都市立芸術大学でレクチャー・コンサートを行っている。このとき修復したのは川上フォーンと高木フォーン(関根フォーンという説もある)で、このふたつは現在、鉄鋼館のエントランスホールに展示されている。
さらに、11月15日に京都芸術センターで行われるコンサートでは、武満徹がバシェ音響彫刻のために作曲した『四季』(世界初演:1970年大阪万博)を初演時にも参加した山口恭範を招いて上演する。
音響彫刻は、楽器であると同時に彫刻作品でもあるバシェ独特のオブジェ。音を発生させる振動部と、円錐形の音響増幅装置から構成される。1970年の大阪万博では、鉄鋼館のプロデューサーであった武満徹がフランソワ・バシェを招へいし、17基の音響彫刻が展示・演奏された。しかし現在ではそのほとんどが消失してしまい演奏されることはなかった。
渡辺フォーン(EXPO’70
■京都市立芸術大学 2015 芸祭企画「音響彫刻コンサート」
http://www.kcua.ac.jp/event/20151031_geidaisai/
10月31日(土)15:00、11月1日(日)18:00
京都市立芸術大学 大学会館ホワイエ
◇[入場料]無料
■京都芸術センター×京都市立芸術大学 アーティスト・イン・レジデンス プログラム2015
マルティ・ルイツ バシェ音響彫刻修復プロジェクト 展覧会
http://www.kac.or.jp/events/17249/
11月4日 (水) 〜11月12日 (木)
10:00-20:00 京都芸術センター ギャラリー北
(最終日のみ10:00-17:00)
■関連企画【バシェ音響彫刻コンサート&映画上映会】
http://www.kac.or.jp/events/17237/
11月15日(日)15:00-17:10
京都芸術センター フリースペース
出演:中谷満、永田砂知子、マルティ・ルイツ、宮本妥子、山口恭範
特別ゲスト:ツトム・ヤマシタ
料金:一般前売1,500円/当日2,000円、学生1,000円(前売・当日共)
プログラム:
15:00-15:40 映画上映 ”Structures, Sculptures, Sonores Baschet” (ジャック・バルザック、1982)
15:40-15:50 休憩
15:50-16:40 演奏会 武満徹『四季』ほか
16:40-17:10 アフタートーク(永田砂知子、山口恭範、特別ゲスト:ツトム・ヤマシタ)
京都市立芸術大学 http://www.kcua.ac.jp/
京都芸術センター http://www.kac.or.jp