田原俊彦インタビュー 「としちゃんの世界にみなさんをエスコートします!」 新曲「Escort my world」をひっさげ全国ツアーへ
田原俊彦
――今年もコンサートツアーが近づいてきました。全国11カ所でおこなわれますが、ツアーに向けてどんな思いがありますか。
もう毎年のことだから、いつもと変わらないですね(笑)。逆にいつもと違うのは、来年が(デビュー)40周年でド派手という感じになると思うで、いかに手を抜いてごまかしてやろうかと(笑)。
――ホントですか?
(笑)。というか、今年はある意味、変化球で攻めようかなって思っていますよ。来年は直球でいかないといけないから、今年はちょっと変化球でね。といっても、やるべき曲、メインになる曲はやりますよ。11カ所まわるわけですし、5大都市以外に地方都市もありますからね。地方ではやっぱり懐かしいヒット曲もやらないといけないので、そういう意味では、懐かしい曲から最新曲まで、選んでやりますよ。
――基本は王道に近い選曲で、それに加えて変化球も入れると。
そうですね。
――ツアーでは、毎年ではなく何年に一回という場所もあるのではないですか。
もちろん。福岡は毎年やってますけど、鹿児島とか宮崎とかがそうですしね。地方の会場ではマニアックな曲ばかりをやるわけにもいかないので、懐かしい曲も散りばめながら、というショーになりますね。
――場所によって多少(内容が)違ったりするものですか。
いや。やっぱりボクの曲を知ってる世代の方に多く来ていただくので、そういう人たちを裏切らないように、一緒に楽しく盛り上がれる曲をやりたいなと思います。そういう意味ではボクのスタイルは全然変わらず、いかにスキルを落とさずに、その頃聴いていた原曲に近いかたちで披露するというのが(大切)。
――あえて大きくアレンジせず――。
そうそう。アレンジしてヘンにおしゃれにしたりとか、カッコつけたりしないでやってますね。
――何年経っても、当時とおなじかたちで聴きたい方が多いと。
そうです。そこで精度が落ちていたら意味がないので。歌もそうだけど踊りも含めて、カッコいい田原俊彦を見せる姿勢で挑みます、今年も。
――実際、その姿を見せていますからね。
そうですね。
――コンサートの前後、ルーティン的なものでやっていることはありますか。験担ぎではないですけど。
いや、オレ、全然そういうの気にしなくて(笑)。ホント、MC的なしゃべりでも台本なんてデビューしてから一回もないし。ホントに1週間前にあったこととか、昨日あったこととか、今日あったことでも、MCのなかに散りばめるし、時事ネタも含めてね。あとはそうだなあ、まあ一日の流れがありますからね、ちゃんと睡眠を取って飯を食って、会場に入ってリハーサルする前に30分~40分ストレッチをやって、筋を伸ばして身体を動かせるようにして、リハーサルを1時間程度やってショーを待つと。そういうルーティンですね。あと、やることと言ったら、腕立て伏せをやりますね。きつくて50回はできないけど、30回代後半から40回くらいやります。胸のあたりをパンプアップさせるにはそのくらいがちょうどよくて、身体に張りを与えて、やるぞって気にさせる意味でも、それはいつもやってますね。
――心身ともにしっかり準備をして臨むと。
なにしろ準備しないと死んじゃうから、オレ(笑)。もうホントに。ホントはやりたくないくらい苦しいのよ(笑)。でも、ケガしたらいけないんでね。やっぱりボクの楽曲は見せる曲、踊る曲が多いので、その辺のケアはしっかり準備を万全にして挑む姿勢はずっと変わってないですね。
――ステージ全体を使う激しいライブですからね。
激しいね。そうなんだよね。小手先じゃないし、全身運動に近いですから、そのなかで唄わないといけないから、曲の並びとかもすごく気を遣うし。ずっとアップの曲をやってると演出の構成的にも疲れてしまうので、たまにスローなバラードを入れたりとか、しゃべりでつないだりとか、ダンサーのコーナーをつくったりとか。今回はもちろんバンドもダンサーもいつものスタイル。バンドは5人でダンサーが4人。割りと大所帯です。ダンサーとも、ボクの曲も一通りこなして、もう8年くらい一緒にやってます。でも、8年やったからこそ新しいこともやらないとダメだし。ミュージシャンもそう。いつもやった曲のリピートになるけど新鮮な気持ちでね。見る側には一期一会の人もいるかもしれないですから。もちろん何回も見てくれる人もいるし、そういう人たちに“今日も楽しかったな”って言ってもらえるようなステージをみんなでつくりたいと思いますね。
――テレビでは何年、何十年と見てきたけども、ステージは初めてだという方も多いのではないですか。
そうですね。毎年は来れない方もいるだろうし、もちろん、10年ぶり、20年ぶりという人もいるかもしれないので、そういう人たちのためにもね、“としちゃん全然変わってないね”“進化してるんじゃない?”って言わせないとダメですから。それはプロとして、ちゃんと準備を怠らずにしようと思ってます。
――昨年12月のディナーショー前にお話を伺ったとき、男性のファンも増えているとおっしゃっていましたが。
年々増えてるね。増えているというか、以前は来づらかった人たちが来れるような世代になったのかなって。そういう人もいるんじゃないですかね。むかしは大手を振って来れなかったというか、圧倒的に、99%が女性だから行きづらいというのはきっとあると思うんですよ。たとえば、としちゃんのコンサート行ってみたいなと思ってもちょっと引け目を感じてた人たちも、やっぱりみんながおとなになって、平均したら50歳くらいの人たちがメイン(の客層)なんで。それがいまではカップルで来たりとか、夫婦で来たりとか、そういう流れもありますね。
――お子さんを連れて、家族とかでも。
そうですね。男同士もあったりね、そういうのも増えてますから、おもしろいですね。
――今回は11カ所のツアーですが、地方に行く楽しみは?
なんだろう? おいしいものを食べたいなとは思うけど、いつもおいしいものは食べてるし、みたいな(笑)。それより一番気にしてるというか、懸念してるのが、台風なんですよ。
――天候ですか。
そう。台風が一番気になるな、オレたちには。ただラッキーにも(ショーが)潰れたことはないんだよね。昨日通り抜けたとか、明日来るとか、福岡が一回ヤバかったことはありましたね。これはスタッフやこっち側の話なんだけども、そういうときは飛行機で行くところを前日の新幹線に変更しなくてはならなくなる。そうなると移動に時間がかかったりするじゃないですか。当日に台風だったらお客さんが来れなくなる可能性もあるわけですから、天候が一番気になりますね。前日入りとか、終わってから帰れないとか、そういう心配もありますね。あとはみんなの足下が悪くなるのがイヤじゃないですか。せっかくその日に照準を合わせて楽しみにしてくれてると思うから。今年は異常気象でしょ、ある意味。西日本豪雨も大変ですからね。そこが気になりますね。
――なるほど。ただ幸い、いまのところコンサート自体が中止になったことはない?
ええ、(スケジュールが)飛んだことはないんですよ。
――では、今年のツアーも台風などに影響されることはないと。
それは神のみぞ知ることだからね(笑)。毎週末がコンサートだから、そのたびに気になりますよ。(スケジュールを組む時点では)予測できないからね。
――ところで、6月20日には新曲「Escort my world」がリリースされました。74枚目とのことですが、今回はどういう曲でしょうか。
わかりやすく言うと、田原俊彦らしいアッパーダンスチューンですね。まさしく唄って踊ってダンサーとコラボしてという、元気のあるパーティーソング。みんなで一緒に肩を動かして踊ってもらって、楽しんでもらえればいいと思いますね。お祭りソングって感じではないですけど、スピード感があってカッコいい曲なんでね、気に入ってくれると思います。
――カッコいいと言えば、PVがカッコいいと思いました。どちらで撮影されたのですか。
あれは六本木の、むかしトゥーリアっていうディスコがあった跡地なんですけど、むかしのヴェルファーレの対面だね。あそこが6月に新しいクラブとしてオープンする前、4月に先取りで貸してもらったんです。
――まだオープンする前の場所ですか。
そうですね。200~300人でいっぱいなんじゃないかなって感じのハコですけど、ゴージャスでしたね。パーティールームがあったり、シャンデリアもゴージャスでね。今回のテーマに沿ったミュージックビデオができたんじゃないかなって。作詞はヒルクライムのTOC君で、曲のほうは引きつづきDaisuke“DAIS"Miyachi君がやってくれました。TOC君とはボクはまだ直接お会いしてないんですけど、近日中に会うことになると思います。彼の思う田原俊彦像だということなんでね、どんな感じになるのかと楽しみにしてたんですよ。TOC君が生まれた頃から“としちゃんはスターだった”ということで、田原俊彦とはこうあるべきだというイメージで書いてくれたそうなんだけど、大きな迷惑でね(笑)。いつもあんなふうにパーティーしてないよ。アハハハハ。
――でも、一般的なイメージではそうなのではないですか(笑)。
アハハハハ。ええ加減にせえって(笑)。毎日あんなふうにしてたら破産するよって。年に3回くらいはやるけど(笑)。3回くらいはやるけど、あんな大騒ぎするわけじゃないから。バブルじゃないんだからさ(笑)。
――あれこそがスターのイメージなんですよ。
ビデオはプロデューサーで曲を提供してくれたMiyachi君が、“魅せるミュージックビデオを作りたい”ということで演出したんで、ちょっとバブリーな感じですけども、決してボクはそうじゃない(笑)。でも、そういうイメージで書いたのならボクもなりきらないといけないなって。としちゃんにはいつもゴージャスに輝いていてほしいというエールなんだろうから。だから今度会ったときに問い詰めてみようかと思ってますよ。アハハハハ。
――恒例のディスコでのイベント『104 THE NIGHT』も10月4日に大阪で開催されますから、新曲をひっさげて、ということになりますよね。
もう12、13年やってるのかな? 12回目か。クラブっちゅうクラブでやりましたかね。大阪も3年ほど前からやってて。今回はCLUB PICCADILLYという場所で、あそこは500~600人、入りますよ。余裕持って踊れる感じですね。むかし映画館だったハコをリニューアルしてクラブにしてるから、天井が高くてデカい。大阪は大阪でまた盛り上がると思います。
――こちらはツアー中になりますね。
そうですね。ツアーの合間にいつもやっています。
――ツアーに戻ると、懐かしい曲に加え、やはり新曲「Escort my world」がメインの曲になりますか。
もちろん。やっぱりそこが一番の見せどころなので、そこにどうやってもっていくか。新曲を一番のメインにおいてつくるショーになると思います。アタマにするか、どこかで特別にスペシャル感覚にするか、まだちょっと(決まっていない)。唄う曲はボクがもう出したんですけど、これから曲順などの構成をします。
――なるほど。それは楽しみですね。さて来年、デビュー40周年を迎えます。節目の年は、意識するものですか。
こっちサイド、スタッフサイドからみるとアニバーサリーイヤーというのは頑張らなきゃという気持ちになりますね。軌跡を残さないといけないですし。オーディエンス、お客さんも今年は何をやってくれるのかなという思いを持ってくれますから。また、48歳のときとは違う58歳の田原俊彦を見せなきゃいけない。もちろん変わらず唄い踊るところはちゃんとスキルをキープしながら、今回の「Escort my world」もそうだけど、まだまだ攻めるよっていう姿勢を見せたいなと思ってますね。
――そういう意味でも、新曲は40周年に向けて勢いをつける曲になりそうですか。
そうですね。来年はどうなるか、この秋に戦略を練りますよ。
――コンサートツアー中にも計画を練っていくと。
そうです。もうすでに来年には何を出そうとか、どの作家に頼もうとか、コンサートの会場も含めて着々と下調べも含めてやってます。いろんなことをやらなきゃというか、やれる年なのでね。通常のコンサート、ディナーショーなどを含めてファンの人たちとの交流の場面を海外旅行も含めて、そういうアニバーサリープレゼンツみたいなものをいろいろ考えていこうかなと思ってます。
――では、最後にファンの方にメッセージを。
ツアーのリハーサルに入るのがお盆前くらいだと思うんですけど、いつもダンスリハを3、4回やって、バンドと全体でも3、4回やるんですけど、さっき話したように楽曲もすでに出していて、これから曲順を決めて演出サイドも決めてという感じでやってます。今年もホントにいつもと変わらない元気な田原俊彦を見せて、みんなと39回目の夏のメモリーにしたいなと思ってますので、みんなに会えるのをホントに楽しみにしています。なかには39年見てくれてる人もいるし、20回目、10回目の人もいるだろうし、初めての人もいるだろうし、30年ぶりに見る人もいるかもしれないのでね、一人ひとりみんな違うと思います。全員がどこから見ても網羅できるような曲並びにして、この曲もやってくれるんだと思ってもらえるようにいろいろ考えてます。来たら絶対に損はさせないので、一緒に楽しんでほしいなと思ってます。みなさんを田原俊彦の世界にエスコートしますよ。
今年は西日本の豪雨があったりそれぞれ大変ですけど、ボクらができることっていうのは、日常生活のなかで息を抜ける場を提供すること。夢の世界にいらっしゃいということでね、日常の溜ったフラストレーションとか、辛いこととか忘れられる場面じゃないですか。だからホントにみなさんにはボクと一緒に楽しむ2時間ちょっとで何もかも忘れて、楽しんでほしいなという思いでショーを全力でやりますので、楽しみにしていてください!待っていてください!
取材・文=新井宏 衣装協力=monsieur NICOLE ex/tra
ツアー情報
8月25日(土) 町田市民ホール
9月2日(日) Zepp 名古屋
9月14日(金) 福岡国際会議場 メインホール
9月22日(土) Zepp なんば大阪
9月29日(土) 仙台PIT
10月7日(日) Zepp札幌
10月14日(日) 浜松市浜北文化センター
10月20日(土) 太田市新田文化会館 エアリスホール
10月28日(日) 中野サンプラザホール
11月1日(木) 宮崎市民文化ホール
11月2日(金) 宝山ホール(鹿児島県文化センター)