井上芳雄の魅力炸裂のエンターテインメントショー! 『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』レポート

レポート
舞台
2018.11.8
『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』より

『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』より

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10月27日(土)、東京国際フォーラム・ホールAで『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』が行われた。本ライブは、TBSラジオで毎週日曜日22時から放送されている『井上芳雄 by MYSELF』内で歌った曲を生のステージで披露することをコンセプトにしており、好評だった昨年に引き続いての開催となった。昨年同様、音楽監督には番組で井上の良きパートナーとしてピアノ演奏をしている大貫祐一郎、構成に安倍康律を迎え、3時間45分にわたったライブの模様を紹介する。

「ウエルカム トゥ レイディオ……」というお馴染みのラジオのオープニング曲とともに登場した井上芳雄。毎週日曜日の夜に聞いているラジオの向こう側はこんなふうになっているのかと、リアルにイメージできるステージセット。そこで繰り広げられたのが、大貫と番組ディレクター秋山瞬の3人による軽妙なトークだ。

『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』より

『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』より

ライブの始まりから、井上のトークは絶好調。最近多くのミュージカル俳優がラジオ番組をやるようになったと「ミュージカル俳優たちのラジオ通自慢」を披露するなど、「このまま歌わなくてもいいんじゃないの?」と思わず井上が口走ってしまうほど、盛り上がりをみせた。

井上芳雄

井上芳雄

トークが一段落ついて、今回のスペシャルライブのために安倍が新たに作詞、大貫が作曲した「Jumpin’up “BY MYSELF”」で客席を沸かせ、続いて椎名林檎の「人生は夢だらけ」、ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』からWaving Though a Window」と聞きごたえのあるナンバーを立て続けに披露した。

その後、一人目のスペシャルゲスト・生田絵梨花が登場。先日山崎育三郎のライブにゲスト出演した生田絵梨花に「育三郎のライブはどうだった?」と、山崎に対して愛ある対抗心をむき出しにした井上のトークに会場は爆笑した。

ラジオでお悩み相談コーナーがあることにちなみ、生田に「最近悩みはないの?」と聞く井上。それに対し生田は「テレビ番組でミュージカル風にやってみていわれるんですけど、上手くできないんです」と相談を持ち掛ける。「分かる! 僕も苦手!」と気持ちを共有しつつ、「でも最近は思い切ってやるようになった。そしてやったあとに思い切り落ち込む」と井上らしいコメントが飛び出した。

(左から)生田絵梨花、井上芳雄

(左から)生田絵梨花、井上芳雄

生田とのデュエット曲は乃木坂46のアルバムに収録されている「きっかけ」。井上のラジオを担当するスタッフに乃木坂46ファンがいるためこの曲が選ばれたが、生田曰く「この曲を選ぶなんてとてもコアだなと思った」とのこと。どういう雰囲気になるのか全く予想がつかなかったが、ポップな曲調が意外にマッチしていて、他では見る機会がない爽やかなデュエットになっていた。

(左から)生田絵梨花、井上芳雄

(左から)生田絵梨花、井上芳雄

その後、ミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』から「This is me」など数曲を披露。ラジオ番組の人気コーナー「幸せのピース」から生まれた曲「幸せのピース」を歌いながら、井上が各地のライブビューイング会場にご当地言葉で呼びかけ、第1部は終了した。

第2部はミュージカル『キャッツ』の「ジェリクルソング」からスタート。ラジオ番組でこの曲を歌った時は、「一人でこの曲をここまで歌えるのか!」と驚愕したが、まさかライブで聞けるとは思っていなかったため、かなりテンションが上がった。井上が「ライブでもできるところを見せたかった」とドヤ顔で語るところが、いかにも「らしく」て笑いを誘っていた。

井上芳雄

井上芳雄

井上芳雄

井上芳雄

「ジェリクルソング」のラストに驚きのしかけがされており、猫に扮装した二人目のスペシャルゲスト・田代万里生が登場。笑いをこらえながら歌う井上に、会場中が爆笑の渦となった。

田代万里生、(手前)井上芳雄

田代万里生、(手前)井上芳雄

田代の活躍はこれだけにとどまらなかった。このあとミュージカル『オペラ座の怪人』から「All I Ask Of You」を井上ラウル、田代クリスティーヌでデュエット。昨年のスペシャルライブでミュージカル『レ・ミゼラブル』のコゼットに扮した田代が自ら「今年はクリスティーヌをやりたい」と井上に提案して実現した企画だ。歌唱力抜群の二人が歌う「All I Ask Of You」はとても素晴らしいのだが、なにせ二人が手をつなぎながらクルクル回っているところを見ているとコントにしか見えず……というよりも、明らかにコントなので、爆笑しながらの「All I Ask Of You」となった。

(左から)井上芳雄、田代万里生

(左から)井上芳雄、田代万里生

(左から)井上芳雄、田代万里生

(左から)井上芳雄、田代万里生

(左から)田代万里生、井上芳雄

(左から)田代万里生、井上芳雄

そこに再び生田が登場し、本物のコゼット・生田と昨年の妙なコゼット・田代が井上マリウスをめぐってミュージカル『レ・ミゼラブル』の「In My Life/A Heart Full of Love」を歌唱。2人のコゼットの間に挟まり、微妙な表情を見せる井上がなんともおかしかった。

(左から)生田絵梨花、井上芳雄、田代万里生

(左から)生田絵梨花、井上芳雄、田代万里生


(左から)井上芳雄、生田絵梨花

(左から)井上芳雄、生田絵梨花

素晴らしくレベルの高い歌唱力を伴った爆笑ステージだったが「僕はこういうのをスペシャルライブでやりたかったんだよ!」と語る井上に、エンターテイナーとしての心意気を見たような気がした。

引き続き、井上が最近まで出演していたミュージカル『ナイツ・テイル-騎士物語-』からメドレー曲を披露。すると突然「今日は会場にアーサイトとフラビーナが来て下さっています! ステージに上がってもらいましょう」と爆弾発言。会場は黄色い歓声に包まれ、堂本光一と上白石萌音の3人で『ナイツ・テイル-騎士物語-』の楽曲を歌う、うれしいサプライズがあった。

このあとミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』の「彼らの心は天国に」を歌いながら井上が2階席に登場するなど、会場の盛り上がりは最高潮に。井上が舞台に戻ると、再び登場した田代とのトークが始まった。

この時点ですでに時間が押しており「巻きでいってください」との指示に「去年もそうだったけど、僕のところでいつも巻きが入る」とぼやく田代。そんな中、たまにラジオの感想を送ってくるという田代のエピソードが披露されるなど、仲の良さが伺えた。

しかし話は途中で妙な方向へ。「東京芸大を卒業してミュージカル俳優になった僕が、万里生が今歩いているレールを引いたんだ」と語る井上に「いやいや、芳雄さんは確か東京芸大卒業の石丸幹二さんに憧れてこの世界に入ったんじゃなかったでしたっけ?」と田代が応酬。二人の押し問答が続き、その流れでミュージカル『シティ・オブ・エンジェルズ』の「You’re nothing without me」が披露された。歌い終わったあと田代は「去年よりたくさん歌えてうれしかったし、これからも芳雄さんの背中を見ていきたい」と語った。

そしていよいよライブも大詰め。ラスト2曲でミュージカル『マンマ・ミーア!』の「Thank you for the music」、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』から「君の瞳に恋してる」を歌った後、オープニングのラジオスタジオセットに戻り、「明日から始まる1週間が素敵なものになりますように」との言葉で締めくくられた。

『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』より

『井上芳雄 by MYSELFスペシャルライブ』より

その後のアンコールでは再び「幸せのピース」を披露し、観客総立ちでスペシャルライブの幕は閉じた。今回のライブは井上の歌が堪能できたことはいうまでもないが、サービス精神旺盛な井上の魅力が炸裂するエンターテインメントショーだと強く感じた。ラジオでは時に辛口コメントや強烈なツッコミをすることで知られる井上だが、彼の根底にあるのはまわりのスタッフや仲間、そしてファンへの感謝の気持ちだということが実感できるライブだった。

11月29日(木)に2回目のスペシャルライブが東京国際フォーラム・ホールAで行われる。ライブビューイングのは現在発売中なので、この機会にエンターテイナー・井上芳雄の魅力を満喫してみてはいかがだろうか。

取材・文=吉永麻桔

公演情報

『井上芳雄 by MYSELF SPECIAL “LIVE" 』ライブ・ビューイング

■公演日程
11月29日(土) 18時30分
■出演
井上芳雄
■音楽監督・ピアノ
大貫祐一郎
■構成
安倍康律
■スペシャルゲスト
坂元健児  濱田めぐみ 斉藤慎二(ジャングルポケット)
 
ライブビューイング公式サイト
TBSラジオ 井上芳雄 by MYSELF OFFICIAL SITE https://www.tbsradio.jp/yoshio/
SPECIAL"LIVE"オフィシャルサイト http://www.harmonyjapan.com/yoshio_bymyself/
企画制作:HarmonyJAPAN/グランアーツ/TBSラジオ/TBSプロネックス
後援:ビクターエンタテインメント
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
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