舞台『魔界転生』ゲネプロレポート 豪華絢爛なエンターテインメント時代劇が東京・明治座で開幕
舞台『魔界転生』公開舞台稽古より 撮影=こむらさき
博多座公演を終えてノリにのっている日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』が、いよいよ11月3日(土)に東京・明治座で初日を迎える。それに先立ち11月2日(金)、公開ゲネプロが行われたのでその模様をレポートする。
この作品の原作は山田風太郎の伝奇小説で、今まで数多くの映画や舞台などでリメイクされてきた。今回マキノノゾミ脚本、堤幸彦演出で新たな『魔界転生』が誕生したのではないだろうか。
先日の囲み会見で演出の堤が語っていたが、今回の舞台はふんだんに使われているプロジェクションマッピングが注目すべき点だ。舞台上の演技とプロジェクションマッピングがクロスすることでより臨場感が出て、特に戦闘シーンはかなりの迫力だった。またストーリー展開する場所が、長崎や江戸をはじめとしてさまざまな場所になるため、プロジェクションマッピングがあることで話においていかれることがなく、とても分かりやすいと感じた。
天草四郎役 溝端淳平 撮影=こむらさき
舞台『魔界転生』
第1幕では、歴史上の有名な人物が、次々と魔界転生という死者再生の術で蘇るところが中心に描かれている。天草四郎、宮本武蔵、そして淀殿など、歴史上に名を馳せたそうそうたるメンバーが「魔界衆」として世の中に姿を現す。溝端淳平演じる天草四郎は、現世の姿と相反する妖しい雰囲気を醸し出した魔界衆・天草四郎がとても魅力的だ。藤本隆宏演じる宮本武蔵は、まさにはまり役。ガッチリした体格の藤本が二刀を使って演じる殺陣は「宮本武蔵って本当にこういう人だったんじゃない?」と思うほど見事に決まっていた。淀殿を演じる浅野ゆう子の蘇りシーンでは「怖い……」とゾクゾクしてしまったが、その凛とした登場シーンはさすがの一言で、「前世での無念を晴らしてやる!」という気合が感じられた。
天草四郎役 溝端淳平 撮影=こむらさき
淀殿役 浅野ゆう子 撮影=こむらさき
天草四郎役 溝端淳平
淀殿役 浅野ゆう子
この手強い「魔界衆」に立ち向かうのが、上川隆也演じる柳生十兵衛率いる「柳生衆」だ。上川の存在感は圧倒的なのだが、ちょっとおチャラけたところのある柳生十兵衛なので、魔界衆とは正反対のアットホームな雰囲気を醸し出していた。現代風のギャグも飛び出し、思わず笑ってしまった。それでもいざ殺陣のシーンになると、柳生衆全員ビシッと決まるところがかっこいい。
上川隆也役 柳生十兵衛 撮影=こむらさき
舞台『魔界転生』
第2幕では、いよいよ本格的に「魔界衆」と「柳生衆」が対決する。迫力ある殺陣のシーンをたくさん見ることができるのだが、特に柳生十兵衛と松平健演じる十兵衛の父、柳生宗矩の殺陣シーンは、迫力と美しさで息をのんで見入ってしまった。
舞台『魔界転生』
(左から)上川隆也役 柳生十兵衛、柳生但馬守宗矩役 松平健 撮影=こむらさき
ラストでは、無念の思いを胸に蘇ってきた魔界衆たちの思いと葛藤が吐露される。そこには現世に生きる者との深い会話のやり取りがあり、なるほど、この作品が「人間ドラマ」と謳っているのはこういうことなのかと納得した。特に高岡早紀演じるお品と淀殿が会話をするシーンは、グッと胸に迫るものがあった。
(左から)お品役 高岡早紀、根津甚八役 村井良大
(左から)淀殿役 浅野ゆう子、お品役 高岡早紀 撮影=こむらさき
上川隆也役 柳生十兵衛 撮影=こむらさき
舞台上で火花が散るなど、ド派手なシーンがあったかと思いきや、人間ドラマをじっくり見せてくれるシーンもあり、なおかつ時代劇にとって欠かすことができない殺陣も堪能できる。今まで見たことがないエンターテインメント時代劇が生まれたと感じた。
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取材・文=吉永 麻桔
公演情報
■公演日程
2018年 12月9日(日)~14日(金) 梅田芸術劇場メインホール
■脚本:マキノノゾミ
■演出:堤 幸彦
■出演:
上川隆也 溝端淳平 高岡早紀 村井良大 松田 凌 玉城裕規
木村達成 猪塚健太 栗山 航 丸山敦史 山口馬木也 藤本隆宏
浅野ゆう子 松平 健 他
■公式サイト:http://makaitensho.jp/