読書しながら夢の中へ…話題の“泊まれる本屋”に潜入!

レポート
イベント/レジャー
2015.11.6

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11月5日(木)、東京・池袋に“泊まれる本屋”をコンセプトとしたホステル、BOOK AND BED TOKYOがオープン。読書をしながら寝落ちする、本好きにはたまらなく幸せな体験ができるとあり、開業前から話題を集めている一軒だ。

同ホステルが入居するビルは、池袋の西口から徒歩1分という好立地。だが、エレベーターに乗り7階に到着すると、驚くほど静かな空間が広がり、先ほどまで都会の雑踏にいたことを忘れてしまうほど。ここから物語が始まりそうな、木製の小窓がBOOK AND BED TOKYOのフロントだ。この奥に“本のワンダーランド”があると思うと、胸が高鳴らずにはいられない!

扉を開けて中に入ると、本棚にベッドが埋め込まれた「BOOK SHELF」のスペースが目に飛び込んでくる。パッと見ただけでも、雑誌から小説、漫画まで種々様々な本が並び、ジャンルも食や旅、ビジネス書など実に多彩。ここにある約1700冊の本は、「本のセレクトショップ」として展開する、SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)の選書によるものだ。


本棚の奥から顔を覗かせるのは、シンプルな2段のベッド。随所にはしごがかけられたその様子は、子どもの頃に夢見た秘密基地のよう。各個室にはプライベートカーテンやブックライトも完備されているので、落ち着いて読書をするには十分な環境だ。

部屋は本棚の中で眠れる「BOOK SHELF」以外に、通常のカプセルホテルのような「BUNK」タイプも用意。こちらは読書と睡眠により集中できるため、スタッフの間では人気が高いという。これらの宿泊スペースに加え、シャワールームや洗面台、ソファが置かれたロビースペースで構成されている。オーブントースターや電気ポット、コーヒーマシンが利用できるのもうれしい。

料金は部屋の大きさによって異なり、「BOOK SHELF」「BUNK」共に、小さめの「COMPACT」は税抜3500円~、少し幅の広い「STANDARD」は税抜4500円~となっている。チェックインは16時、チェックアウトは11時のため、ゆとりのある滞在ができる。


おしゃれでありながらも、ゆるゆるとした心地よさも併せ持つBOOK AND BED TOKYO。本好きはもちろん、そうでない人も不思議と心が引き付けられるような、独特な魅力がある。その理由を探るべく、同ホステルを運営する “不動産のセレクトショップ”R-STOREの代表取締役、“ハンサム社長”こと浅井 佳さんと広報担当の力丸 聡さんに話を聞いた。

■ 寝る瞬間の楽しさをプロデュース


「デザイナーズやリノベーション物件など、ちょっと変わった不動産を扱う僕らが、普通のホテルを始めるのはつまらないと思いました」と、浅井さん。ホテルが持つ「寝るための場所」としての役割に着目し、気持ち良く眠るための方法を追求するところからスタートした。だが、高級なマットレスや枕があれば良いのかといえば、それもしっくり来ない。そんな中、力丸さんが沖縄のホテルに宿泊した時の体験が、ヒントになったという。

「滞在した有名ホテルには高級なベッドがあって、触っただけで眠りに落ちてしまうんじゃないかというぐらい、とても上質なものでした。でも、僕が寝たいと思ったのはそのフワフワなベッドではなくて、雰囲気の良いホテルのバーだった。心地よい寝起きや寝ている間の快適さを追い求めるのではなく、寝る瞬間の楽しさにアプローチすることが、僕らにできる方法なんじゃないかと思ったんです」

当初は“眠れるバー”など本以外の案も出たが、静かに眠る環境や旅との相性を考え、“泊まれる本屋”に行き着いた。ちなみに、偶然にもこのビルは元々、一棟丸ごと書店として使われていたのだそう。この話は物件が決まってから知ったそうで、何かしらの運命を感じずにはいられない。

■ 日本ではなく、東京の“かっこいい”を伝えたい


外国人観光客の誘致が盛り上がる中、あえて真っ先にやめたテーマが「和」だった。力丸さんは、「僕ら自身が泊まった時に、面白い、かっこいいと思える場所でないと嫌で。ホテルのスタッフが浴衣で盆踊りしていたり、囲炉裏で魚を焼いたりするのは違うよね、という話になりました。日本というくくりではなく、東京を楽しんでほしいという感覚です」と、その理由を語る。スタッフの間で“かっこいいもの”への共通認識が定着していたからこそ、着想から完成まで約半年というスピードで進行できたそうだ。

ターゲット層について尋ねると、「読書家の人はもちろんですが、むしろ趣味で年に1、2冊読むような人が楽しめる空間かもしれません」と、力丸さん。目指したのは“友だちの家の本棚”だという。

選書からデザイン、設計まで、すべてにおいてカジュアルであることを意識したと言い、「例えば『日本懐かしアイス大全』とか、タイトルだけで気になって仕方ないじゃないですか。そんな思わず手に取りたくなるラインアップに魅力を感じ、SPBSさんに選書をお願いしました」


おすすめの本を聞いてみると、浅井さんは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」をチョイス。「有名なSF小説ながら、意外と読んだことのない人も多いのではないでしょうか。実は僕もその中の1人なんですけど(笑)」と話してくれた。

続けて力丸さんが選んだのは、「アンソロジー カレーライス!!」だ。「有名人がカレーに関するストーリーを書いている本なんですけど、絶対にカレーが食べたくなります!池袋にはカレー屋もいっぱいありますし、ぜひうちを起点として、本をきっかけに街へ出てもらえればと思います」

今後はこのスペースを使い、泊まりがけのイベントを企画したいという浅井さん。「例えば、声優さんによる本の朗読を聞きながら寝るイベントとか。暑い時期にはクーラーをガンガンにかけながら怪談をやって、寝たくても眠れない!みたいなのもアリかなと(笑)その他にも、1人の作家さんの本だけを並べる出版パーティーや、コミュニティ系のイベントもやってみたいですね」とのこと。


さまざまな可能性を秘めた“泊まれる本屋”の今後に期待が高まるが、何はともあれ、まずはここにしかない贅沢な眠りのひと時を、ぜひ体験してほしい。11月中でも日を選べば、まだ空きがあるとのことだ。なお、11月9日(月)からはデイタイムの利用も開始。様子を見がてら、日帰りで気軽に足を運んでみるのも良いかもしれない。【東京ウォーカー】
 

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