太鼓奏者・林英哲演奏活動45周年前夜祭コンサート、開催

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2015.11.12
林英哲 撮影:小熊栄

林英哲 撮影:小熊栄

集え!寿(ことほ)ぎの歌

世界初の太鼓独奏者、林英哲が、来年2016年に演奏活動45周年を迎えることとなる。その前夜祭として、2015年12月14日(月)に一夜限りのスペシャルコンサートを開催することとなった。

「日本の太鼓」の礎づくりに貢献し、ロック、ジャズ、クラシック、現代音楽、民族音楽など、さまざまなジャンルの演奏家と共演しながら、和太鼓の伝統とは一線を画した独自の太鼓の表現を創り出してきた林。

その一打は、聴く人を忘我の境地へと誘い、日本の祭りや神楽にも共通する圧倒的な陶酔と同時に、全人類に共通する胎内の記憶、母親の心臓の音を聴きながら、まだ何の心配もなく羊水にたゆたっていた至福の時間を想起させる。

1998年以降は、もともと好きだった美術家~マンレイ、伊藤若冲、高島野十郎、浅川巧、藤田嗣治、横尾忠則、村山槐多をテーマにした劇的な舞台作品づくりにも取り組んできた。林の驚異的なパフォーマンスと他に類を見ない深い表現力は、音楽家や歌舞伎役者、ダンサーなど、国内外の若手アーティストのリスペクトの対象となり、近年は世代もジャンルも超えたコラボレーションが増え、ますます活躍のフィールドが広がりつつある。

林英哲 撮影:小熊栄

林英哲 撮影:小熊栄

前夜祭となるスペシャルコンサートの当日、林が長年敬愛し、折に触れ共演を重ねてきたジャズ・ピアニスト山下洋輔と、林をリスペクトする気鋭の若手三味線プレイヤー上妻宏光の2人がゲストとして1部に登場し、林とのセッションを繰り広げる。そして2部では、2001年に林が美術家シリーズの第三弾として創作した作品「澪の蓮」を再構成したものを上演する。

「澪の蓮」は、日本統治時代の朝鮮で林業技手として植生を研究する傍ら、李朝白磁や民間工芸品に”用の美”をみいだし、日本と朝鮮の架け橋となった日本人、浅川巧(1891-1931)の生き方をテーマとした作品で、国内はもとより世界各地で好評をいただき、とりわけ韓国では絶賛を博している。

柳宗悦の民芸運動に深い影響を与えながら、本人は歴史の表に出ることもなく、「僕はいつでも、至る所で山野や木や草や水や虫を友として終わりたい」という言葉のとおり40歳の若さで朝鮮の土となった浅川巧。声高な体制批判をすることなく、朝鮮の人々と親しく交わり、その暮らしを愛した彼の生涯を日本と韓国の間を流れる澪(水路)に人知れず咲いた蓮に見立て、その気高い美しさを、最新改訂バージョンで再びステージに咲かせるという。

林英哲 撮影:清水博純

林英哲 撮影:清水博純

なお、2016年、新年早々の1月3日には、大阪で新春スペシャルコンサートを開催される。
今回で4回目を迎える新春公演では、演奏活動45周年記念プログラム第一弾として、組曲「澪の蓮」を改訂した「澪の蓮2016」を上演され、その後、2016年2月にフランス・ナント市で開催されるラ・フォル・ジュルネにおいても同曲が演奏される予定だ。

公演情報

林英哲コンサートスペシャル2015(2016年演奏活動45周年前夜祭コンサート)
「集え!寿(ことほ)ぎの歌」

日時:2015年12月14日(月)
​会場:Bunkamuraオーチャードホール
出演:林英哲、英哲風雲の会(上田秀一郎、はせみきた、田代誠、辻祐)
特別ゲスト:山下洋輔、上妻宏光 
問い合わせ先:東京音協 03-5774-3030(平日11:00~17:00)
オフィシャルホームページ:http://www.eitetsu.net/

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