川本成がやりたいことが全部詰まっている! 時速246億『ラビトン-rabbit on-』ゲネプロレポート
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『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
時速246億主宰の川本成が初めて脚本を書いた舞台『ラビトン-rabbit on-』が、下北沢駅前劇場で2019年3月27日、開幕した。初日を前に公開された、ゲネプロ(舞台総通し稽古)の様子を写真とともにお伝えする。
川本成
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
舞台は、とある“ゴミ屋敷”。ペットボトルや壊れた家電、使い道が分からない生活用品であふれている。物が捨てられない父親(宮下雄也)と、母の顔を知らない息子(KAITO)、そしてウサギ(川本成)が登場する。「父親のことが嫌いだ」という語る息子と、父との葛藤と絆を軸に描いた、ある家族の物語である。
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
以前、川本にインタビューした際、彼は舞台についてこんな風に語っていた。
やっぱりわざわざ劇場に来てもらって、その場で繰り広げられるのが舞台だと思うので。映像やプロジェクションマッピングを使う舞台もありますが、僕は舞台の良さって、逆に「生身」を追求したほうがいいのではないかと思っています。アナログですけど。効果音自体も生でやれたら面白いなと思っています。
とことん人がやるおもしろを追求したい。変な話、子どもが見ても、海外の人が見ても、通じる何かというのは生身の人が起こす何かだと思うんです。舞台をやるとなると、一回そういうのを極端にやりたいなって。やっぱり楽器を目の前で弾いているのを見たら、「wow!」となるじゃないですか。
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
まさにその言葉の通りの舞台だった。
まず、音楽だ。舞台で流れる音楽や効果音はその場で演奏された。小中劇場では珍しいスタイルだろう。ギターやパーカッションをつかった劇中歌(ミュージカルとはまた違うし、リズム芸ともまた違う)は耳に残る“名曲”揃いで、そのほかあまり馴染みのない楽器たちも登場して、面白い音色を聞かせてくれた。さらには、複数人で膝を叩いて雨音を表現するなど、とにかく「生」にこだわっていた。
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
家族の話という軸はあるのだが、即興劇のような、コントのような、はたまたコンサートのような、祭りのような、雑多な場面が幾重にも折り重なる。川本が今やりたいことを全部詰め込んだような舞台なのだが、それがひとつの作品として成立するのは、結局のところ「生」を追求したからだと思う。目の前で次々と展開する生身の人間の面白さ(特に宮下雄也のパンチ力は圧巻)や、展開が予想できないライブ感(最後はこう来たか!)を体感した。
この日のゲネプロには、普段あまり舞台を見たことがない小中高生らが招かれたのだが、彼/彼女らも飽きずにゲラゲラ笑ったり、一緒に歌ったり(!)、楽しんでいた様子だった。大人も子どもも楽しめる舞台だということだろう。
上演時間はおよそ1時間30分。川本成の新しい挑戦をお見逃しなく!
『ラビトン-rabbit on-』公開ゲネプロの様子
公演情報
作・演出:川本成(時速246億)
出演:西山宏幸、宮下雄也、前島亜美、KAITO(First place)、駒井華、佐々木憲、川本成(時速246億)
場所:下北沢駅前劇場
お問い合わせ:萩本企画 欽劇事務局 03-3795-5259(月〜土 12:00~20:00)