TRUEインタビュー5周年、そして『響け!ユーフォニアム』への想い
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撮影:岩間辰徳
デビューから5年、今やアニソン界に燦然と輝く星の一つであるシンガー、TRUE。唐沢美帆名義として数々の楽曲の作詞も担当する彼女だが、先日行われた『5th Anniversary Live Sound! vol.1 〜SINGLE COLLECTION~』のライブレポートを受けて、SPICEとして初のインタビューを行った。4月17日に発売される新曲「Blast!」、そして8月に行われる自身初のホールライブなど、この5年間、そして彼女と共にあり続ける『響け!ユーフォニアム』などについて語ってもらった。
撮影:岩間辰徳
――SPICE初登場のTRUEさんですが、先日のライブ『5th Anniversary Live Sound! vol.1 〜SINGLE COLLECTION~』はすごかったですね(SPICEでのレポート記事)。
ありがとうございます。
――あらためて5周年、振り返っていかがですか。
何かあっという間だった気もするし、長かったような気もするし、あんまり実感がなかったんですけど。こうしてワンマンライブを開いたり、色んなところで色んな方にお会いするたびにおめでとうございますと言っていただけたりして、ちょっとずつ実感をしているところです。こんなにたくさん作品を生み出していたんだ、というのをあらためてSINGLE COLLECTIONのセットリストを見て実感しました。
――ずっとアニソンの世界でコンスタントに主題歌をやっていらっしゃるし、唐沢美帆名義でも作詞をたくさんされていて。だからずっとシーンにいる人という印象があります。
嬉しいです。
――ずっとノンストップで活動しているイメージがありますが、疲れなどはありませんか。
疲れはないですね。むしろ歌うこと自体はすごく楽になっているというか。正直デビュー曲「UNISONIA」の頃って歌うことに対してのブランクもあったので、どうやったらアニソンのBPMの速さだったり球数の多さだったりみたいなのを楽に歌ってるようにかっこよく表現できるのかなって、色々悩みながらやっていたところもあって。
――そうは見えませんでした。
とにかく一曲歌うのも精一杯で、ステージに立っているだけでも一杯一杯という感じでした。それが週に一回ボイトレの成果だと思うんですけど、声帯もすごく強くなって、発声だったり歌う表現力だったりが広がったぶん楽になっていて。今本当に「UNISONIA」めちゃくちゃ楽なんですよ。意外かもしれないですけど、ちょっと立て続けに激しい曲が来ているときに、じゃあここでいったん「UNISONIA」で休憩しよう、みたいな(笑)。
――それだけ歌いこなしているということですかね、場数も含めて。
そうですね。当時はレコーディングでも何回も歌わせてもらって、もっと歌える気がする、もっとうまく表現できる気がする、とやっていたんですけどね。
――ライブの印象としては音の感じ方が美しい方だなと思ったんです。コールアンドレスポンスが入るところは度々イヤモニ外して聴くなども含めてステージングが美しいなと。
ありがとうございます。単純に私はもともと客席にいた側なので、アニサマしかりワンマンライブしかり。自分がされて嬉しかったことは自分のお客さんにも返してあげたいというのはすごくあって。本当周りの先輩たちに恵まれていたんだと思います。ランティスに入ってからは特に色んな方のワンマンライブを見せていただいて、その時に先輩方がきちんと歓声を聴いて、それを受けて返事をしている姿をみて、やっぱり私もそうありたいと思ったし、きちんとお客さんがいてこそのライブをやりたいなという気持ちはありました。
――影響を受けたライブなどはありますか。
たくさんありますね。その中で挙げさせていただくとすると、プライベートでもすごく仲良くさせていただいているのが茅原実里さんです。ライブも以前から生で拝見させていただいて、何か実里さんの音楽の表現というよりも、人柄としてのファンの接し方とか、嘘のない姿勢というか、常にまっすぐ正直である姿勢というのはやっぱりすごく学んだ部分であり、憧れるところでもあります。
――茅原実里さんは確かにファンに対して嘘のない接し方をされてますよね。
アーティストとしてのパフォーマンスはもちろんそうなんですけど、それだけではなくアーティストとしてのスタッフとの接し方だったり。常に周りに感謝をされている方で、女性としても一人の人間としても勉強になるなと思うことが多いです。本当に悩んだらすぐ相談していて、その都度アドバイスをいただいたり、最近では実里さんからも相談してくれるようになって、すごく良い師弟じゃないか、なんて言うのかな……女神!(笑)
――5周年ライブの第二弾『5th Anniversary Live Sound! vol.2 ~FAN SELECTION~』はホールでの開催です。初ホールなのもびっくりですが、最初伺ったときはどうでしたか。
これまでずっとライブハウスでやってきて、ライブハウスの良いところってアーティストの力をお客さんがより高めてくれるというか、自分にない表現までお客さんが引き出してくれるところだと思っていて。その盛り上がりだったり熱量だったりで助けられていた部分って結構大きかったと思うんです。ホールだと嘘がつけないというか、お客さんもそれぞれのパーソナルスペースで、それぞれの気持ちを持って細部まできちんとステージを見てくださるわけで、これまでとまったく同じ表現をしているだけでは、今まで100満足してたものは得られないんじゃないかなと。ホールでしか出せないプラスアルファの表現は必要なので、そのための準備はしようと思いましたね。
――そういう意味ではホールライブはキャパが大きい以上に怖い部分も多かったりもするんでしょうか。
お客さんの盛り上がり方も違ってくるだろうから、怖いというか、変わらなきゃいけないな、というのはきちんと認識はしてるつもりです。ただせっかく私の音楽を好きで足を運んでくださるので、ファンの方とも長いお付き合いをしたいなと思っていて。そうすると楽しいだけを共にするのではやっぱりいつか限界がある。例えば苦悩だったり辛さだったり、色んな喜怒哀楽を共有できないと今後10年目に同じお客さんが来てくれるかと言ったらなかなか辛くなっていくと思うんですよね。
――ただ楽しいだけじゃない、先を見据えたライブということですか。
表現の幅も今はただとことん楽しくて、という時間を共有しているけども、みんなの喜怒哀楽もきちんと私にぶつけられるようなライブを作っていくには、やっぱりライブハウスだともうちょっと限界があるのかな、というのはありました。
――ひとつ形の違うライブになりそうですね。
そうですね。ただライブハウスをこれでやめますというわけでもないので、その時その時で100%、120%出せるように、よりよいほうを選んでいけたらいいなと思ってるんですけど。
『響け!ユーフォニアム』という作品への想い
撮影:岩間辰徳
――その意味では準備期間もあってちょうど5ヶ月、その中で自分で鍛えたり新たなインプットもあるでしょうが、まず4月に新曲「Blast!」がリリースされます。この楽曲は『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』の主題歌ですが、先日のライブで初披露の時泣かれているのが印象的で。
やっぱり泣いちゃいますよね(笑)。
――『ユーフォニアム』への思いの強さが感じられましたが、やはり特別な作品なのでしょうか。
もちろん作品に対しての思い入れは誰よりもあるつもりです。毎回いただいたタイアップには120%応えているので、どの曲にも思い入れがあるんですけど、やっぱり『ユーフォ』はアーティストとしての人生を変えてくれた作品ですし、より特別な思いはあると思います。
――作詞に関してもライブのMCで仰っていた、私だから書けた歌詞だと思う、というのが印象的でしたが、作曲の加藤(裕介)さんからは曲先でいただいたんですか?
そうですね、でもたどっていくと元々は石原立也監督とたくさんディスカッションをさせていただいて、こういう曲を作りましょうというのがあったんです。私は今回加藤さんと作りたいともう心に決めていて、今度は加藤さんとお話をして、どんな曲を作りましょう?こんなのはどうですか?いやもうちょっとこうしてください! というやり取りをさせてもらって。最初に歌詞を載せてみて、加藤さんがもっとこうしたらいいんじゃないか、そのためにはこういうふうにメロを変えてください、みたいなやりとりを沢山して、ちょっとずつ積み上がってできていった感じです。
――曲をもらって歌詞を当てるというよりは、一からプロダクトしていったと。
そうですね。加藤さんとは事務所も同じなんですけど、本当に色んなところでタッグを組ませていただいていて。加藤さんとだからやり取りができたというか、普通だったらもうちょっと作家さんも、私もお互いに気を遣い合って楽曲ってできていくと思うんですけど、そういうのがまったくない状態で作れたんです。違うものは違うと言える環境だったし。そのディスカッションの中で生まれた曲なので、加藤さんとじゃなきゃ作れなかったとは思いますね。
――あらためて歌詞も読ませていただくと、『ユーフォニアム』ではあるけどTRUEの道のりとこれからも想像させる曲だなという印象でした。サビの「行くよ次の曲が待ってるよ」という歌詞は今のTRUEさんを表しているようで。出来上がったものを聴いた時はいかがでしたか。
いや、できたな!という感じですね(笑)。 レコーディングの時も加藤さんだからそういうオーダーをくれると思うんですけど、「もう歌が上手いのはわかったから、上手く歌わないでくれる?」と。歌が上手いのはもう大前提であるわけだから、そうではない、アーティストとしての歌を聴かせてくれ、みたいな。
――それは素人目からしてもハードルの高い注文ですね……。
どういう思いでここに立っているか、もう一度この歌詞を書いた時の気持ちになって、みたいな。私的にも心を削りながらすり減らしながら書いた曲でもあるので、出来上がった時はできた、という感じでした。
――お客さんもはじめて聴く曲で。ライブで初披露は探るところもあるでしょうが、それがなかったのも印象的で。どういう曲だろうと聴くよりも、TRUEさんのエネルギーを受け止めているのが印象的で、気がつくと泣いているという。
泣いてしまいました(笑)「Blast!」はパワーのある楽曲なので、それまでライブを作ってきた時間の勢いのまま盛り上がっちゃうのかな、と思っていたんです。それはそれでいいことなんですけど、私が思っていたよりみんなしっかり噛み締めて聴いているのが印象的でした。なのでなるべくセンテンスが聴こえるように、歌詞の言葉が全部立つように歌おう、というのは意識しました。
――これまでもアニソンのタイアップをもらって自分の歌を歌うというよりは、もっとアニソンの中に自分を入れていきたい、作品の中にいるTRUEでありたいと仰っていますが、やっぱりまず作品ありきというのが一番あるという感じなんですね。
もちろんです。作品ありきだし、私はもちろん歌が歌いたくてこの仕事をしているというのはあるけど、単純に歌が歌えればいいと思ってるわけじゃなくて、アニソンを歌うことに100%意味があるし、これからもアニメの曲を作っていきたいと思っているので。そこにどんどん迷いがなくなっていくというか。
――迷いがなくなる、というのはとても強い言葉ですね。アニソンも多様化していますが。
そうですね、アーティストさんによってアニソンってすごく間口が広がっていて、そこにその人の生き様が乗っていれば100%全部正解だとは思うんだけど、私にとっては「私がアニソンを作る」ということが重要だと思っているので。特に今回の「Blast!」は好きという気持ちにすごく誠実に書けたなと思っています。
――ジャンル的には本当に広いですが、TRUEさんから見たアニソン業界、アニソンってどうですか。デビュー以前からアニメ好きというのもあり、5年携わられてどう思っているのかなと。
より間口が広がったぶん自由にはなっているなと思いますね。何を作ってもアニソンになるぶん、何でアニソンを作るか?という気持ちがブレると、どんどん納得できない方向に進むのかなとは思ってます。ただシンガーによって作り方は様々だし、自分がどうアニソンを定義するかで色は変わってくるんじゃないかなって。いい世界になったなと思いますね、単純にたくさんの方に受け入れてもらっているのはすごくありがたいことだなって。
――では、TRUEさんの中でのアニソンの定義みたいなものはあるんでしょうか。
あります。私にとってのアニソンは、先程お話頂いたように、アニメありきでシナリオを読んで、アニメや原作を愛してくださっている方に100%納得してもらえるものを作ることなんです。でもそれだけで楽曲を作ってしまったら、もうキャラクターソングになってしまうんじゃないかなと。私が歌う意味はそこに自分の生き様を乗せることだと思うし、仰ってくださったみたいにアニメの中の自分を探す作業でもあると思うので。常に対になってというか、自然とアニメと一緒に共存していけることが私にとっては幸せだし、私の中のアニメの定義なんじゃないかな。
――共存というか共生というか、そういう在り方も難しそうですけど、その道を行く。
それが正解かも分からないですけどね。私はそういうふうにしかアニソンを作れないので。
――ライブを拝見すると、ジャンル云々より、ハイテンポもバラードも全部アニソンだと感じられるのが凄いと思ったんです。作品分からない人でも「今歌われているのはアニソンだ!」と分かる感じといいますか。すごい磁場があるし、一人ひとりの声援も拾いますよね。
基本的に私自分のファンはマナーが良いなと思っていて。みんな根が優しいんですよね、目を見ればお互いに優しくなるというか、思いってちゃんと伝わるなって(笑)。
ファン投票でセットリストを決める
『5th Anniversary Live Sound! vol.2 ~FAN SELECTION~』
撮影:岩間辰徳
――色々な活動がある中で8月に近づいていきますが、こういう準備をしようというのはありますか。
今実は声楽の先生にボイストレーニングを習っていて、それが発揮できたと思えたのが「Sincerely」だったんです。なのでライブハウスで歌う「Sincerely」も、それはそれでお客さんと息遣いまで感じていただけるので、すごく良い歌が歌えたなって自分でも感じているんですけど、大きな会場で歌う「Sincerely」はやっぱり更に良いものになるなと思っていて。より私の心の微妙な変化も受け取ってもらえると思うので、今回のホールライブではバラードを大切に歌おうと思っています。そのためにも発声だったり体作りだったりの準備をきちんとしていこうと思っています。
――ファンの方も8月まで予習する時間がたっぷりありますしね。
そうですね。特に今回ファンセレクションということで、ファン投票でセットリストを決めようという企画もやっているので、ファンの方と一緒になって作っていけたらいいなと思ってます。
――ファン投票を見て、どういう感想がありますか?
もう上位3位までは公表していて、全体を見てもわりとバランスの良いセットリストになっているなというのは感じています。新たにファンになってくださった方は、シングル曲が聴きたいと思ってくださっている方もたくさんいらっしゃるし、古くから……といっても5年ですけど(笑)、いわゆる古参の方たちはなかなか聴けなかったカップリング曲だったり、アニソンでもなかなか披露することがない曲を聴きたいと思ってくださっているようです。
――どのへんの楽曲なんでしょうか?
例えば『コメット・ルシファー』や『A.I.C.O. Incarnation』の楽曲だったり、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』でも「Letter」というイメージソングとか。本当にバランスの良いセットリストになりそうですね、これまでで一番バランスが良いんじゃないかな。
――では最後にあらためて読者に2019年、5周年のコメントをいただければと思います。
5周年、「Blast!」が第1弾シングルです。本当に私にとっても『響け!ユーフォニアム』って大切な作品で、「DREAM SOLISTER」「サウンドスケープ」を上回るような素晴らしい曲をいただけたと思うし、自分的にも納得する楽曲ができたと思っています。「Blast!」を引っさげて一年間たくさんの方と一緒に音楽ができるように、私自身も常に努力して準備して待っているので、ぜひ私の歌の生の迫力を体感しに来てください。生音じゃないとやっぱり届けられないものがたくさんあるので、そのグルーヴを味わいに来ていただければいいなと思いますし、5周年はまだ始まったばかりです。様々な音楽の楽しみ方を用意しているのでぜひ遊びに来ていただければいいなと思います。
撮影:岩間辰徳
インタビュー・文:加東岳史 撮影:岩間辰徳
ライブ情報
-TRUE 5th Anniversary Live- Sound! vol.2 〜FAN SELECTION〜
【日程】2019年8月12日 (月・振休)
【会場】東京・なかのZERO ホール
【時間】開場 17:00 /開演 18:00
【
※3歳以上有料
※営利目的の転売禁止
※転売
※オークションへの出品禁止
リリース情報
TRUE「Blast!」
『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』主題歌
収録曲:
01:Blast!
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:加藤裕介
02:ふたつの惑星
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:松本良喜
03:Blast!(Instrumental)
04:ふたつの惑星(Instrumental)