カムカムミニキーナ旗揚げ25周年第二弾『ダイナリィ>』ただいま上演中!松村武・山崎樹範インタビュー

インタビュー
2015.11.15
山崎樹範・松村武 撮影/岩村美佳

山崎樹範・松村武 撮影/岩村美佳

カムカムミニキーナが旗揚げ25周年を記念して上演する第二弾『ダイナリィ>』が11月12日から公演中である。(22日まで座・高円寺にて。大阪公演もあり。)

未だ見ぬ母が屋根裏に隠した異国語の日記~ダイアリィ~。
そこに無数に記された謎の記号「>」~ダイナリィ~。
迷える少女がルーツを探るうちに紛れ込むのは大正モダンの帝都東京、旧都京都。
暗躍するはお狐様の嫁入り行列~オイナリィ~。
平安の昔より千年続く妖狐と陰陽師安倍一族の争い。人を別人に変えてしまう恐るべき狐憑きの力。
その超人的能力を利用せんと企む、権力者、商人、そして鍵を握るは、昔も今も報われぬ前衛演劇人たち…。


迷路のような演劇空間で歴史の裏側と社会の暗部を焙り出す、カムカム独自の「松村ワールド」に加えて、今回はバックステージの役者と劇中の登場人物が混在して展開する「サラウンドスケルトン」という形で、さらに仕掛け満載! 虚実あいまみえるカムカムならではの世界が広がる。

その作品を生み出した作・演出家の松村武と、看板役者で今回主役をつとめる山崎樹範が語る『ダイナリィ>』の世界とは?
 
山崎樹範・松村武 (撮影/岩村美佳)

山崎樹範・松村武 (撮影/岩村美佳)


カムカムの主役は美味しくないんです
 
──山崎樹範さんは2年ぶりの参加ですが、25週年を迎えた自分の劇団への感慨は?
山崎 いや、自分が出ていない公演を観るたびに、すごいことやってるなと。僕は20年ですが、これを25年間続けてきたことに頭が下がる思いがあります。
 
──山崎さんはもちろん、八嶋智人さん、藤田記子さんなど個性的な役者さんたちが、色々な場で活躍していますね。<
松村 個性ある役者ばかり集めたというか、そういう人ばかり残っているんです。最初の頃は芝居のうまい人もいたんですが、どんどん辞めていって(笑)。
山崎 それはそうですよ。うまい人にはあまり役がつかないんですから(笑)。
松村 よそへいけば評価されるような人ほど居場所がないという。結果、よそにも行きようがない人ばかり残ったんです(笑)。
 
──そういう中で山崎さんは、わりとおとなしめなイメージですね。
松村 八嶋とか藤田が陽なら山崎は陰ですね。“負け消え”キャラですから。負けても去りながら何か一言いうみたいな(笑)。
山崎 ずっと個性がないと言われて、20年間言われ続けてきたら、「個性がない」が個性になって(笑)。
松村 どこかで開き直ったんでしょうね。開き直り芸みたいなのに目覚めて、ポジションができたわけです。
 
──今回は主役で真ん中をつとめますね。
山崎 いや、主役ですけど真ん中じゃないでしょう。
松村 うちの主役は周りに翻弄されるだけで、損するんです(笑)。主役ではない人が美味しいところを持っていくという。そういう意味では真ん中だけど主役じゃない位置かな。
山崎 今回は清水宏さんが危険ですね(笑)。
松村 どこのポジションに置いても、例えば外野の遠いところにいてもサードゴロまで取りにくるからね(笑)。
山崎  全部「オーライ」って言いそうですよね(笑)。
 
山崎樹範・松村武 (撮影/岩村美佳)

山崎樹範・松村武 (撮影/岩村美佳)

演劇的実験「サラウンドスケルトン」も登場
 
──公演タイトルが今回もユニークで、『ダイナリィ>』の三角は不等号の>なのですね。
松村 お稲荷の芝居をしようと思って、「いなり」から「大いなり」そして「>(大なり)」と繋がったんです。狐の顔にも見えるし、記号には謎めいたところがあるから、お狐さまの謎にも繋がる。駄洒落で「ダイアリー」も出せるし(笑)。

──物語は現代の女の子が祖母の日記を見つけて、謎めいた記号が書かれていたところから始まるそうですが?
松村 お祖母ちゃんのことを探ろうとするのですが、亡くなった方の背景を探偵して上演する劇団があって、そこの長が清水さんで劇団員が山崎で、2人が色々対立しながら演劇として再構成していく、ちょっと『熱海殺人事件』みたいな構造です。祖母が生きた時代は昭和初期で、『帝都物語』の魔界的な雰囲気とか、新興宗教も色々生まれた時代なので、『陰陽師』や狐憑きを絡めています。それに>には「大きなものを選ぶ」意味もあって、多数決とかお金の多い方が上とかいう価値観を、その宗教は標榜する。そこで現代の資本主義社会にもだぶってくるという。

──いつもながら壮大なスケールですね。
松村 さらに「狐が取り憑く」ということで「役が役者に取り憑く」という状態も重ねてあります。

──この迷路のような松村ワールドを皆さんよく演じるなと。
山崎 演劇的な体力を必要としますよね。昔はわけがわからなくて、ただがむしゃらにやってて、人に聞かれても説明できなかったんですが(笑)。最近やっと劇団員が追いついてきたのかなと。自分が出ていない作品とか見ても、後輩たちがそのへんをわかってやっているのを感じるので、時々しか出ていない自分は、この遅れをなんとか埋めないと対抗できないぞと。
──そのうえ今回は新たな試みがあるようですね?
松村 サラウンドスケルトンです。設定が劇団なので化粧も着替えも休んでるのも見せていく。それ自体はよくあるんですが、そこでも芝居をするんです。スペシャルシートもありますが、料金が高いわけではありません(笑)。そういう仕掛けも含めて構造が何重にもなっています。

──いわゆるメタ演劇ですね。
松村 そうです。最近はメタ演劇とか流行らないのかもしれませんが、虚構と現実が混乱する構造こそが演劇の一番の面白さなので。
山崎 僕はその状況がまだ想像できてなくて(笑)、全部見られるなら、覚悟して出ればいいわけですが。でも自分の劇団ながら本当にすごいことをやるなと。
松村 25年続いてきたのは自分の中で毎回やりたいことがあって、新しいチャレンジがあったからで。今回はとくにすごいチャレンジです。自分でも本当にできんのかよと(笑)。
 
山崎樹範・松村武 (撮影/岩村美佳)

山崎樹範・松村武 (撮影/岩村美佳)

 
やまざきしげのり○東京都出身。95年より劇団に参加。ドラマ、バラエティー、映画などで活躍中。最近の主な出演作品は、映画『龍三と七人の子分たち』、ドラマ『神谷玄治郎捕物控』『デザイナーベイビー-速水刑事、産休前の難事件-』、劇団以外の最近の舞台は『テレビのなみだ』『幻の城~戦国の美しき狂気~』など。

まつむらたけし○奈良県出身。90年、八嶋智人とともにカムカムミニキーナを旗揚げ。以降、劇団主宰として全作品の作・演出を担当。自らも俳優として出演。最近の主な外部作品は、KAKUTA『痕跡』(出演)、ラッパ屋『ポンコツ大学探検部』(出演)、『叔母との旅』(演出)、『有頂天家族』(脚本・演出)、『グレート・ネイチャー』(脚本・演出)など。

この公演に出演する藤田記子・夕輝壽太・莉奈 座談会の記事も併せてお読みください。
http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/archives/51979853.html 
 
 【文/吉田ユキ 撮影/岩村美佳】

 
公演情報
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カムカムミニキーナ
劇団旗揚げ25周年記念公演第二弾
『ダイナリィ>』~大稲荷・きつね色になるまで入魂~
作・演出◇松村武
出演◇山崎樹範 藤田記子 吉田晋一 松村武/清水宏/夕輝壽太 莉奈 ほか
料金一般¥5,000 SSS席¥5,000 学生割引¥3,900(全席指定・税込)
11/12~22◎座・高円寺1
お問い合わせカムカムミニキーナ 090-6328-1076(平日12時~18時)
■公式サイト:http://www.3297.jp/dainary/

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