LEGO BIG MORL 最新作『KEITH』が誕生するまでの2年間を表も裏も語る

インタビュー
音楽
2019.5.30
LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

LEGO BIG MORL 撮影=風間大洋

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LEGO BIG MORLが4月17日に約2年ぶりとなるアルバム『KEITH』をリリース、その2週間後には同作を携えたツアーをスタートさせた。これまで以上に“歌”と“メロディ”が楽曲の中心で強固な存在感を放つサウンドメイクや、配信限定というリリース形態も含め、意欲作にして快作となった『KEITH』。ここに至るまでに、彼らは何を考え、どう動いてきたのか。前作『心臓の居場所』以降の2年間を振り返りながら、今作への道程を明かしてくれた。ツアー緒戦となった5月1日の川崎・CLUB CITTA'の様子を切り取った、SPICEのみで公開となるライブ写真もあわせてどうぞ。

■自分たちの音楽性が自然と広がっていって、レゴに還元できるようになってきた(ヤマモト)

――先日アルバム『KEITH』がリリースされ、そのツアーが始まったタイミングでの取材ですが、前作からおよそ2年空いた間に、LEGO BIG MORLが何を考えてどう過ごしてきたのか、今はどんなモードなのかを、このタイミングで一度聞いておきたかったんですよ。それまではレーベルが募る取材などを通して、広く状況が見えやすかったと思うんですけど、ここ2年の動きに関してはコアなファンの方以外には伝わっていない部分もあるような気がしていて。

タナカヒロキ(以下、ヒロキ):たしかに。インタビューの数は圧倒的に減りましたからね。

――ただ、その間のレゴを見ていると、ライブにしても非常に楽しそうで、風通しが良さそうに見えているという。

カナタタケヒロ(以下、キンタ):そうですね、何かが変化しましたね。何がきっかけだったんやろな。

ヒロキ:2年前……『心臓の居場所』が新木場(10周年記念ライブ)の次の日に出て、そのツアーを5月から回ったっていう、2年前の一番古い記憶はそこかな。

――いま振り返ってみると、『心臓の居場所』ってどんな作品だったと思います?

ヤマモトシンタロウ:1stアルバム(『Quartette Parade』)は本当に4人だけで作った感じでしたけど、『Mother ship』(2010年の2ndアルバム)以降はわりと4人以外の、プロデューサーの方とかの手が入っていて。それが『心臓の居場所』でまた、レコーディングも4人でセルフみたいな感じでやったので、10周年にしてもう一回4人で作ってる感はめちゃくちゃありましたね。

キンタ:そこでの変化には(リスナーが)みんな付いてきてくれた気がするんですよね。『Quartette Parade』から『Mother ship』のときの変化って、かなり……

ヒロキ:拒否反応があったよな。

キンタ:そうそう。自分たちではそうは思ってなかったんですけど、それまでのファンの人たちにとっては全然違う方向のアプローチだったらしくて。でも『心臓の居場所』での変化は、みんなが付いてきてくれた変化やと思っていて。

ヒロキ:たまたま10周年っていうタイミングだったからかもしれないですけど、もう一回デビューアルバムを作れたなっていう気分やった。「これで一回どうっすか、めっちゃいいでしょ」って。あの頃よりも多少は頭も良くなって、伝え方も、ちゃんと伝えなきゃあかんねんなっていうことも分かった上での、デビュー作品っていう感じ。
それは(『心臓の居場所』の)ツアーが終わってから思ったことで、ファイナルのときに「このツアーめっちゃ良かったな」って、デビューのときの初ツアーみたいな手応えがあったなぁと。

アサカワヒロ:曲をやったときにちゃんと歌に重点を置いて聴いてくれてるっていうのが、昔のツアーとは全然違う感じでした。ツアーを回ってるときも、PAさんだったり照明さんだったり、チームとの会話もしっかりできましたし、濃かったんですよね、あのツアー自体が。ちゃんと一曲一曲を各々が大事にしてるツアーだったので。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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――そこで何かを掴んだ後、間にライブや曲単位の配信はあったとはいえ、2年経っての今作『KEITH』です。その間の過ごし方や考え方について、自分たちでは何か変化を感じますか。

ヒロキ:まずは環境が変わって、そこから意識も変わったのかな。順番でいうと。

――環境面でいうと、プロダクションが変わったり、メジャーレーベルとの契約を終えたりがありましたよね。

ヒロキ:そう、まだ知らん人もおるんですけどね。勝手に気づいてくれるんかな?と思ってたら意外に……まぁよくある熱愛発覚みたいに、なんでわざわざ言わなあかんの?みたいな感じやったんですけど(笑)。

ヤマモト:レーベルって、聴く人からしたらそこまで気にすることでもないのかなとも思って。

ヒロキ:お客さんに対してはそんなに大きい問題でもないのかなと思ったので、言ってなかったのもあります。

――ただ当人たちの動きに関しては大きく変わってきますよね。

ヒロキ:そうですね。俺らも30過ぎたくらいの時期で、多少は賢くならなあかんなって思ってた時期でもあるし……任せっきりやった俺らが悪いんですけど、その中でレーベルが無くなって。俺らで力を合わせよう、各々ができることを頑張ろうとか、今までやってきたことにプラスアルファを工夫することで、ちょっとクリエイティブな頭と事務的な頭というか、色々と使うようになって発想は増えた気はします。必死にならないといかんな、というか。

ヤマモト:その頃からヒロキが忘れらんねえよのサポートをしたり、キンタもcinema staffの飯田(瑞規)とかと弾き語りをやったりとか、自分も新人アーティストのディレクションをやったりとか、今までレゴだけに向いてたものが、そうじゃないことをやり始めて、そこでけっこう柔軟にもなれたんですよね。アウトプットの仕方がちょっと変わったというか、レゴとは違う音楽の仕事をすることによって「ここではこうでさ」みたいなことをバンドに取り入れたりを、狙ったりとかじゃなく自然とできてきたと思うんですね。なのでこの2、3年、自分たちの音楽性が自然と広がっていって、レゴに還元できるようになってきたという変化もあったと思います。

――なるほど。

ヤマモト:だからたしかにリリースはちょっと空いたかもしれないですけど、それによって焦るどうこうよりも、どっしり構えていた感じはあったと思います。

ヒロキ:2年空いたって、たぶん今までやったらめっちゃ焦ってるんですよ。けど、「もっと早く『KEITH』を出したらよかった、クソ!」とは一個も思っていないので。……あかんことなのかな、いいことなのかな、この余裕は。わからないですけど、前ほど焦ってはいないです。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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■メロディのカッコ良さだけじゃない、言葉の乗り方とかみたいなところをちゃんと意識してる(キンタ)

――新曲をどんどん出して、ツアーをバンバン回らないと忘れられちゃうかもしれない、飽きられちゃうかもしれないっていう脅迫観念みたいなものってありがちだと思うんですよ。

キンタ:ああー。

ヒロキ:そう!  昔はその忘れられちゃうとか、フェス出ないとバンドとして終わっちゃう!とか、固定概念があったんですけど、ちゃんと自分たちのスタンスでやってはる人はたくさんおるし、自分たちも『心臓の居場所』以降はそんな焦りより、実は水面下で充実してたから。ただただ時間が過ぎちゃっているだけじゃなく、こういうことを企んでやろうとかの打ち合わせもそうやし、そういうのがあったから焦ってないんやろな。今までやったらその中身が無かったことも多かったから。

――良い音楽を作ることを純粋に考えるのに加えて、それをどう届けるかを考えよう、とか。

ヤマモト:うん。

ヒロキ:その「届けるためには」っていうのが、若いころは無かった発想なので。「それをやるのが事務所でしょうよ!」って、偉そうに(笑)。

ヤマモト:まぁ、ほんまに良い音楽やと思ったのに届かなかった経験も、この10年の中で何度もあって。

キンタ:それはライブの仕方っていうところもあるよな。

ヒロキ:そうそう。それは事務所がどうこうとかだけじゃなく全部がある。

ヤマモト:だから自分たちがどうあるべきかとか、LEGO BIG MORLの曲とかライブ以外の部分も、しっかり考えなきゃなっていう、そういうことにメンバーがちゃんと携わりだした。このくらいのキャリアを重ねていくと、いなくなるバンドとかもいる中で、自分たちはそうなりたくないっていう意識はすごく強かったので。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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――30代、も半ばに差し掛かるわけですもんね。

一同:(笑)

キンタ:32、3くらいまではな、まだ若いと思ってたけど。アラフォーに片足突っ込んでるから。

――だからその、32、3歳だった人たちが35歳になる2年間でもあったわけですよ。

ヒロキ:ああ、そうですね。その2年間はたしかに濃密だった。一瞬で過ぎ去ってしまったけど、ちゃんと残せた部分もいっぱいあったなっていう、2、3年でしたね。だから、ライブの部分もそうかもね。10年くらいずっと鎖国してた……というわけじゃないけど、前の事務所しか知らんくて、「こういうもんなんや」って思い込みすぎてた。それがいろんな人としゃべることで、「あれは俺らがやるべきことやったんや」「逆にこっちがラッキーやったな」とか、いろんなことに気付けたり、ちゃんと俯瞰で見れるようになって、じゃあレゴはどうあるべきでどう見られたいんだろう?って考えたら、ライブの仕方も変わって。
だから『心臓の居場所』を7年前とかに作れてたとしても、こんなに伝わってなかったと思うし、あのタイミングでできて、ああいうライブができてっていう全ての点が繋がったからこそ、伝わったんやなってすごく思う。

キンタ:「俺たちはこうあるべきだ」っていう意識の元で自分たちの存在意義とか、何を伝えるべきかっていうことを、形にできてきたんじゃないかなって。言葉一つを取ってもそうですけど、(ライブで)一番感じるのは、みんなが歌ってるっていうことなんですよ。そういうライブって、したかったけど出来なかったことではあったから、自分たちの想いが伝わってる証拠なんかな?っていうことは、今のツアーでさらに思ってることではありますね。それも『心臓の居場所』がキッカケやったと思います。

――この2年でどんどん浮き彫りになっていった大事にすべきものが“歌”だった?

キンタ:いつもそれは大事にしてるんですけど、昔と比べて作曲の仕方が明らかに変化しているので。(以前は)プレイしながらメロディを紡ぎ出していたわけなんですよ。みんなの熱量を感じ取りながら自分の発するメロディの世界観を――みたいな作り方をしていたのが、『NEW WORLD』らへんから、シンタロウが作ったオケを客観視しながらメロディを乗っけたりっていう風に、思考が変わったんですよ。そうすると、勢いや熱量だけではないメロディっていう幅が、僕の中では広がったんです。
僕は「絶対に聴いたことない、このメロディは」っていうところまで突き詰めるタイプやったんですけど、どこか懐かしさのあるような、「聴いたことがありそうなメロディやけどこれがええと思うねん」っていうところを攻めれてる。だから不自由なメロディじゃない気がするというか、メロディのカッコ良さだけじゃない、言葉の乗り方とかみたいなところをちゃんと意識してるかもしれないですね。

ヒロキ:極端に言うとキンタさん、昔は「俺の声は5個目の楽器」みたいな捉え方やったんで。だけど今は絶対にメロディありきのバンドっていう、だから徐々にですけど、そういう意味では変わってきてるのは間違いないです。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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――これはちょっと今のツアーのネタバレを含むかもしれないので、読む方は注意してほしいんですけど、ツアーのセットリストも『NEW WORLD』以降の曲が多いですもんね。

キンタ:そうなんですよ!

ヒロキ:申し訳程度に「ワープ」がポコッと入ってるっていう(笑)。やっぱり『KEITH』が8曲しかないから昔のアルバムの曲を入れていくうちに、自ずとああなってましたね。セットリスト決めるときに(収録作品の)バランスは結構見るんですけど、今回は全く見てなかったですもん。

ヤマモト:たしかに無かったね。

ヒロキ:そういうことを超越した上で、レゴの今のワンマンを見せたくて選んだから、『NEW WORLD』が嫌いな方には申し訳ないですけど(笑)、まぁしゃーないですっていう。

――今回のツアーの主役となっている『KEITH』に関しては、「半径5m」に届けるっていう風に謳われている作品じゃないですか。そこをもう一度おさらいしておきたくて。

ヒロキ:「半径5m」は、もともと『心臓の居場所』の「真実の泉」っていう曲の歌詞にあるんですよ。そこからグラデーションとして地続きに、アルバム単位じゃなくて、レゴというバンドが今こういうモードですよっていうことを見せるために、あえて過去の歌詞から引用しても面白いんじゃないかなって。
元々良いテーマだと思ってたし、『KEITH』がすごくミニマムなサイズになるっていうことが途中でわかってきて、CDも作らずにアプリでポンって再生したら聴けるくらいの短さだって考えたときに、「大事なことだから2回言う」じゃないですけど、もう一回そのテーマでアルバムを出すことによって、「レゴってこういうバンドなんやな」っていうことが浸透するんじゃないかなっていう思いでした。
最大の口コミやと思うんですよ、半径5mの人への伝達って。SNSのリツイートボタンよりよっぽどそっちの方が大事やと思う。フィジカルのCDが無いからこそ、そこを大事にしようっていうテーマです。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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■昔に比べたらすごく自由度が増したと思う(アサカワ)

――フィジカルのリリースをしないという判断はけっこう早くから?

ヤマモト:いや、早くはなかったです。正直、(CDを)作ろうとも思ったんですよ。でも途中の段階から……作るっていうこと自体は盤を刷るだけだからできるんですけど、何もせずに単純に出しても満足いく結果が得られないかもっていうことも考えて。だから、自分たちが「それは面白いし可能性があるな」って状況を作り出せたら出したいって思ってたんです。
でもそこの環境面とかがなかなか整わないこともあったので、そうなったときに完全配信で出す方が今の時代に……もちろんCD世代なのでCDは欲しいんですけど、でもそれはどっちかっていうと手元に残るっていう部分だけのことが多いんですよ。

――そうですよね。

ヤマモト:今は僕らも、新しいアーティストの曲を絶対にCDで買って聴きますっていう風ではなくなっちゃってるんで。そこでCD作りたいからっていう理由だけになるのであれば、配信で出すことに1回トライしてみようと、徐々に切り替わっていって。だから、レコーディング中くらいになってから、配信に絞ろうっていう話になりましたね。

ヒロキ:最初は会場限定で売ろうとかいう案もあったけど、それすら中途半端に感じてきたり。……結局、それでもお客さんからは「通販でもいいんで」「数量限定でもいいんで」とか言われるけど、ちゃんとブレてないところを見せるには、逃げ道なしで、リリースの仕方もアイデンティティになるように、「レゴってそういうモードなんやね」っていうことを伝えるためにも、中途半端なことはせずに表現した方がいいかなと思って。歌詞とかタイトルとかと同じくらい、今はリリースの仕方も大事な気がするので。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

LEGO BIG MORL 撮影=風間大洋

――今の時代における盤って、半分以上グッズみたいな位置付けじゃないですか。

ヤマモト:そうですね。

ヒロキ:そのグッズが欲しいっていう気持ちもわかるんですけどね。

――そうそう。だからこそ難しい判断だったと思うんですけど、そこに踏み切ったこともそうだし、所有したい方の欲求をある意味で補完するために、歌詞のブックレットを出したじゃないですか。そういうフットワークの軽さが今のレゴにはあって。

ヤマモト:ああ、そうかもしれないですね!

キンタ:その変化はほんまに大きいかも、最近。

ヒロキ:飲みの席で「それおもろいやん」ってギャグで言ってた「キンタ語録カレンダー」がパッとできるのも今のフットワークの軽さです。これが例えばレーベルに付いたらできへんかもしれないし。

キンタ:それは今の俺らの強みやと思う。

ヒロキ:レーベルの無い強み。今回だってレーベルに所属してたらCD作らなきゃいけなかっただろうし、歌詞カードも作ることはなかったやろうし。

――そうですよね。歌詞カードにしても、CDだったら付属しているものを販売するとなれば、そこにモノとしての価値を見出してもらうにはどういう内容にすればいいか?っていう考えが生まれるわけじゃないですか。それってある意味とても健全なんだと思います。

ヒロキ:そうですね。

ヤマモト:それが別に滑ったとしてもいいんですよ。「やりたい」と思ったことを思ってるうちにやらないとっていう。今回、やろうと思って動き出してやったことにちゃんと意味があって。それで結果、これならOKでしょっていう物ができたらそれで良いっていうか。そういう考え方のフットワークも軽くなりましたね。しかもそれを適当にやるんじゃなくて、どう届くかを考えながらやるっていうことなんですけど。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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――『KEITH』制作以降で、個人としての変化という点では、アサカワさんはどんなことが思い当たります?

アサカワ:数年ぶりに新しい機材を揃えまして。『KEITH』ができてから、音のことだったりをPAさんやプロデューサーの涌井(啓一)を含めて、こういう音のスネアがいいとか、こういうキックがいいとか、すごく話ができた。今まで自分が持っていたセットだと表現の限界が来ていたから、じゃあ次はどういうものにしよう?と色々試しに行ったりもして、買い揃えたいっていう物欲が出てきたんですよ。スネアも2個買ったり、シンバルも買いましたし、ちゃんとアルバム通りの音だったり良い音を出したいっていう、音に対しての意識はすごく変化してますね。

――自分たちで色々と考えたり発信していくという部分に関してはどうですか。

アサカワ:物販にしろ、昔に比べたらすごく自由度が増したと思うんですよ。自分も自分専用の弁当箱みたいなものを作りましたし、そういうのは昔だったら企画にも入らなかったと思うので。そうやって4人で話したりすることが増えたのがライブにもつながっていて、今は観ている側からも「今のレゴ、すごく楽しそうにやってるね」とか言われたり。そういう面でも変わったのかなと思います。

――楽しそうっていうのは本当、そうですよね。

キンタ:やっぱり会社に属していると、事務所に対して「やってよ」みたいな思いが1ミリでもあるじゃないですか。それが無くなったからだと思いますね。この5人(メンバーとマネージャー)で動くことも増えてきていて、だから自分たち発信の意見もみんなから出てくる。ダイちゃんのスネアの話もそうですけど、みんなが動き出してるっていうことが、今のレゴには一番必要なことやし、そうなれたことが良かったなって思ってます。

――これをやったら面白いだろう、喜んでもらえるんじゃないかっていうことを考える。それに対して動く。あとは結果としてどうなるかっていうだけ。それってとてもシンプルな――

一同:そうなんですよ!

キンタ:そういう意味でも「半径5m」っていうところと繋がってくるし。

ヤマモト:キンタが言ったみたいに、それを自分たち発信でやっているか、ちゃんと自分たちで監修したものがお客さんに伝わるかっていうのが大事なんですよね。バンドのトータルのブランディングに関わってくるというか、そうやってメンバーがやっていることによって伝わるものって大きいから。

――良いモードだと思います。

ヤマモト:さっき「風通しがいい」って言ってもらった感じが、ほんまにそうやなって思います。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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■みんなの顔を見ながらツアーを出来てるし、その顔は良い顔をしてることが多い(ヒロキ)

――ただ同時に、その良いモードである自分たちをより広くアピールするという点では、難しさもある環境ではあって。

ヒロキ:そうなんですよ。その「良いモードだ」って思ってくれてるのは「半径5m」の人だけやから(笑)。その半径5mの人から別の半径5mの人に伝えてもらったり、こうやって取材してもらったりすることを、もう少し自分らで考えられるようになったら……俺らがずっと半径5mって言ってきたことは間違いじゃないんですけど、今年とか来年はその先を考えなあかんのかなぁと思いながら。

ヤマモト:バンドが良い状況だからといって、このままで大丈夫っていうわけでもないですし、新しいバンドが出てきたり、「知らん間にあの人たち武道館やってる」とかを見たり聞いたりして、「別に自分たちは自分たちなんで」とは思わないですし。もっともっと上がっていくことを、今の環境だと自分たちで考えなきゃいけないですけど、それが一番早い。今後もっと大きくなるために、そこができるかどうかっていうことですかね。

――そういうレゴの現在のモードに触れてもらうという点でも、今まわっているツアーは大事だと思うんですけど、途中経過としてはどんなことを感じてますか。

ヒロキ:アルバムリリースツアーって、チケット売れへんねんなって(苦笑)。アニバーサリーのワンマンとかツーマンにももちろん来てほしいけど、最新アルバムが一番かっこよくありたいから……別にガラガラとかではないですけど、本当は全部SOLDするくらいじゃないとあかんかったなと。「『KEITH』めっちゃ良かったから絶対にこのツアー行きたい」って思わせるためにはどうすれば良かったんかな?っていうのは、課題かなと思いますね。そのために何ができたかっていえば、フットワークが軽いわりにできてないことや、もっと色々と一人でも多く埋めようっていうところまで行けてたか?っていったら分からないので。
でも逆に言うと、来てくれてる人の様子はすげえ自由で楽しそうなんです。それだけ俺らの新譜を常にチェックしてくれてたり、そういう人が「いいよ」って連れてきた初めての人が来てくれてるから、濃いですね。置いてけぼりになる人があんまり見えない。今回はみんなの顔を見ながらツアーを出来てるし、その顔は良い顔をしてることが多いと思います。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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――シンタロウさんはツアーを回りながらどんなことを感じてますか。

ヤマモト:今回のアルバムってすごく音数が少なくて隙間の多い曲が多いんですよ。で、なおかつ曲の尺も短くてさらっと聴ける音源が多いぶん、生で聴くと、良い意味でいつもよりライブと音源のギャップが増すなと思ったんです。お客さんの反応を見ていても、ライブ感っていう部分では意外とこれまでのアルバムで一番あるかもなと。これは面白い発見やなと思いました。

アサカワ:あと、このツアーで一番変わったのは立ち位置で、キンタが真ん中で歌っているぶん説得力がすごいです。今まで端っこにいたときはお客さんの視点も様々だったんですよね。でも真ん中で歌っていて照明が当たると、全員がキンタを見てキンタのボーカルを聴いてるっていうのがドラムから見てわかりますし、ギターソロになったらヒロキを見るとか、自由にノッてても「見る場所はここ」っていうのがあって。真ん中を軸に全員がそうやって動いてる。そういった面で会場の一体感も変わりましたね。

――すでにしっくりきています?

アサカワ:最初の一発目から違和感があんまりなかったので。それに「真ん中で歌ってみたい」って、キンタが自分発信で伝えてきた、それってよっぽどの決心がないと言わないじゃないですか。だから「大丈夫か?」っていう不安もなかったですし、抵抗も違和感も何もなく今はやってます。

――キンタさんが真ん中に立って歌いたいと思ったのは?

キンタ:やっぱり歌の立ち位置っていう意識が変わったっていうことですよね。5つ目の楽器として歌うのが楽しいっていう感覚から、このバンドをもう一つデカくするため――武道館だったりとか、もっともっと進んでいくためにはどういう覚悟が必要なのか?って自問自答したときに、歌を届けたい、みんなで一緒に歌いたいっていう気持ちがはっきりとこの1、2年で強くなったんですよ。「レゴってこういうバンドだよね」っていうところにもっと色付けしたいというか、楽器がガチャガチャやってて遊びやキメが多くて、っていうバンドの力強さは、もう十分伝わってると思うんですよ。そこにもう一つ、“歌”っていう核となる部分、芯となる部分をより伝えていかないとって。

――自分の歌をもっと武器にするべきだと。

キンタ:そのための覚悟と責任を背負うというか。そういう気持ちが今回のツアーに表れていて、「そのためのセットリストを考えて」ってメンバーにも言ったんですよ。だからこういうセットリストにもなっているところもあるんですけど。

ヒロキ:ああ、たしかにそうかもね。

――真ん中で歌ってみて、感想はどうですか。

キンタ:もちろん、観てる側は違和感があったと思いますけど、やる側の気持ちとしては何ら変わらないですね。ただ、伝える方法がとても分かりやすくなった。誰一人として置いて行かずに歌える――上手(かみて)で歌っちゃうとどうしても見切れる部分が出てくるのが、真ん中におることで視野も広がるし、より自然に自分たちの音楽を伝えられてるんじゃないかな。それにメンバーに包まれながら歌ってるっていう感覚だから、自分も安心して歌えてるのかもしれないです。

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

LEGO BIG MORL 撮影=風間大洋

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

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――東京での追加公演も決まりましたよね。

ヒロキ:(初日の)川崎で決まったんですよ。川崎のライブ後に「なんかこれ、もう一回やりたいなー」って(笑)。

ヤマモト:おかわりね。

ヒロキ:そこもフットワーク軽くて良いかなみたいな。

キンタ:全員がそう思ってたな。

ヒロキ:そうやね。初日が関東で、これで東京の人と会えないのは寂しいなって思っちゃったところもありますよね。やっぱり「帰ってきたよ」「こんなに良くなったよ」っていうのを見せる場がほしいなとは思いました。川崎は良くも悪くも初日感が満載やったと思うんで、次は成熟した『Cat Walk TOUR』を観てもらえたらなって。

――その先の動きについては、どんなことにトライしたいとか、大事にしていきたいとか、考えていることはありますか。

ヒロキ:具体的なことはほんまに無いんです。だからメンタルとか想像とか、意志とかしかしゃべれないんですけど、今までの、風間さんが「良い感じやん、レゴ」って言ってくれてからの全てにちゃんと意味があるように、そうなるような動き方をしたいです。それが成功であろうと失敗であろうと。
俺らは今まで遠回りをしまくってきたけど、そこでちゃんと学んだこともあって。バンドについてきてるお客さんって多分、音楽とか歌詞が好きとかビジュアルが好きっていうのもあるでしょうけど、そのストーリーを見てる気がするんですよ、生き様とか関係性とか。そういう4人の関係性やストーリーをちゃんとグラデーションにしていけたら良いなと思います。「だからこいつら信用できるねんな」って思ってもらえる感じというか。

――今の雰囲気や動きが、たとえば今後またメジャーレーベルから作品を出すことになったりしても継続できたとしたら、それはすごく強みになりますしね。

ヒロキ:そうですね。体験しながら知識を少しずつ、今までは何も分からんかったのが、ちょっとは学んできてるところで。もしこの先に大きい動きがあっても、そこが分かっていたら強いやろなと思うし。
あと、今回のツアーのチケットに新しく(自分たちの)会社の名前が入ってるんですけど、それも俺らの覚悟を見てもらえたらなっていう思いで入れてて、でも全然気づかれてないっていう(笑)。まぁ、気づいてほしいっていうわけでもないから言い方は難しいですけど、こうやって会社を作ったんやから回していかないかんし、お金的にも関係性的にも、もうちょっと膨らませていけたらと。

キンタ:……ほんま、新人アーティストとか、入ってこないかなぁ。

ヤマモト:なんの話?  後輩ほしいの?

キンタ:ほしい。

一同:いらん!

ヒロキ:……もう意見割れてますわ、これ(一同笑)。……まぁ、それだけの余裕が出来たらね。

マネージャー:レゴがバカ売れしたらね。

キンタ:それを夢見て頑張ります。


取材・文・撮影=風間大洋 

LEGO BIG MORL  撮影=風間大洋

LEGO BIG MORL 撮影=風間大洋

ツアー情報

LEGO BIG MORL " Cat Walk " TOUR 2019
※終了した公演は割愛
6⽉9⽇ (⽇) 新潟 RIVERST OPEN 16:30 / START 17:00 ※SOLD OUT
6⽉14⽇(⾦) 福岡 BEAT STATION OPEN 18:30 / START 19:00
6⽉15⽇(⼟) 広島 CAVE-BE OPEN 16:30 / START 17:00 ※SOLD OUT
“Cat Walk“ TOUR 2019 追加公演 ~猫も杓子も~
7月3日(水) 東京 渋谷WWW X  OPEN 18:30 / START 19:00
https://www.legobigmorl.jp/pages/eventreserve​

リリース情報

6th full album『KEITH』
配信中
『KEITH』
『KEITH』
1.Time waits for no one
2.Call me
3.名前のない⾊
4.命短し挑めよ⼰
5.FESTA
6.⺟性
7.⼀秒のあいだ (Album mix)
8.ただそこにある
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