舞台『マラソン』開幕! ジャニーズJr.寺西拓人が初主演&初ストレートプレイ&初二人芝居&初の役入れ換えに挑む
(左から)TETSUHARU、寺西拓人、矢田悠祐
2019年5月31日(金)から東京・DDD青山クロスシアターにて舞台『マラソン』が初日を迎える。本作は、エドアルド・エルバが書いた戯曲であり、アメリカの郊外で、シティマラソンに出場するためにトレーニングをしている幼なじみの男性二人の物語。ジャニーズJr.の寺西拓人と矢田悠祐だけで演じる二人芝居だ。演出はTETSUHARUが務めた。
初日前に行われた公開ゲネプロ(通し稽古)の模様をレポートする。
長方形のステージを客席が挟みこむように設置された中、マリオ役の寺西とスティーブ役の矢田は思い思いに会話をしながら、黙々とトレーニングを続けている。走り続ける事で一人の気力がなえそうになるともう一人が励ましたり、また一人が身体に不調を訴えるともう一人が労わりながら、また二人は走り出す。時には思い出話や、言い争いをする二人の姿は、まるで人間の人生を描いているよう。やがてマリオがペースを上げ、スティーブが付いていけなくなるが、その先に見えてきたものとは……。
二人は冒頭から最後までひたすら走りっぱなし。芝居が進むにつれて徐々に額や首筋から汗が吹き出し、背中もシャツの色が変わってしまうくらい、汗だくの熱演を見せていた。この舞台は日によって寺西と矢田がお互いの役を入れ替えて上演されるため、今日観た芝居が別の日にまたどのような表情を見せるのか、期待が膨らむばかりだった。
終演後、まだ汗が引かない状態の寺西と矢田、そしてTETSUHARUが会見に出席した。
寺西は「今回、初主演で、初ストレートプレイで、初2人芝居で、初の役入れ替え、と初づくしなんです」と笑顔を見せる。矢田は芝居中に実際にどのくらい走っているのか測ったところ、「ひと公演でおにぎり1個ちょいくらいのカロリーを消費するくらい」とやや不満げに笑った。
客席との距離が近い劇場で見せる本作について、寺西は「近いからこそむしろ気にならず、お客さんを意識せずに芝居に入っていける感じがしますね」そして、最初に出演の話を聴いた時は「嬉しさと、舞台のお仕事をさせてもらうようになってからストレートプレイに憧れがあって、それをやれることが嬉しかったです。しかも相手が矢田ちゃんで、演出がTETSUHARUさん。関係性が割とできている状態だったのでありがたかったです。そこで初主演と聞かされましたが、このメンバーだったらできると安心しました」と胸の内を明かした。
矢田は寺西と『THE CIRCUS!-エピソード2-』『ロジャース/ハート』に続き3度目の共演となる。二人は共演を機に仲良くなり、昨年は二人でNYに出かけたという。「たまたまこの舞台が決まる前にNYに行ってたんです」と語る矢田は「冬だったのでNYでマラソンはしてませんよ」と笑いを誘っていた。
TETSUHARUは、二人とのタッグについて「手の内が分かるからやりやすかったです。二人は今回の共演でものすごく成長したなと思います」と評価。「互いの役をスイッチするという事は台本をすべて覚える事になる。1役だったとしても相手の台詞が覚えてしまうものですが、動きも何もかもまるまる覚えるという事は非常にプレッシャーだったと思いますね」と二人を労った。
矢田も「こんなにセリフを覚えるのは初めてで、『こんなに覚える?』って誰かに言いたかった(笑)。稽古が始まって2,3週間してもまだ覚えるのかというくらい。間違えて自分の役の名前を呼んだりして、もう大変です」と苦笑い。上演スケジュールの中には昼と夜の公演で役を入れ替える日もある。「本番前には台詞をひととおりさらうようにしています」「毎回やろう、って二人で決めたんです」と語る寺西と矢田だった。
演技とはいえ、マラソンという競技に触れた今回。「マラソンをやった事はなかったんですが、これを機にホノルルマラソンとかニューヨークシティマラソンとかのイベントを見るとか参加するとか興味がわきました」と語る寺西。走るフォームについても「O脚だからもっとこうしなきゃ」と改造したと話す。
TETSUHARUは、寺西について「普段ダンスもやっているので、踊り終わってもさも疲れてないよって涼しい顔をする事が刷り込まれているんです。だから芝居では、走り終わった後の息遣いを出していいよ、って逆の意味での演技指導がね」と稽古中を振り返ると、寺西も「すごい勉強になりました」と深くうなずいていた。
TETSUHARU
最後に寺西は「僕をずっと追いかけてくれている人は、こういうところでこんな芝居を観るのが初めてだと思うので、楽しみにしてもらいたいし、作品としても何か考えるきっかけになれればいいな、自分の人生とかね」とアピール。矢田も「こういう舞台をやってみたかった。でもいざやってみると大変で(笑)。でも二人だからこそ、自分はこう思うという事を出せていけるし。これまでミュージカル経験が多かったんですが、そこで学んだ事を今回使えるなと思った。ぜひ両バージョン観ていただきたいですね」と熱を込めていた。
何かというとお互い顔を見合わせるこんな仕草が多発!
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
戯曲:「NEW YORK MARATHON」
Edoardo Erba - Israel Horovitz’s adaptation / Italy
出演:寺西拓人(ジャニーズJr.) 矢田悠祐
会場:DDD青山クロスシアター