ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B’wayミュージカル非公式ガイド【2019年7月編】

コラム
舞台
2019.7.1


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シーズンを締め括る年に一度のビッグイベントということで、ここ2回ほどトニー賞関連の情報ばかりお伝えしていたこの連載も、今回からは通常営業。とは言え、思わしくない結果に終わった作品のクローズが続々と決まるなどした影響で、真ん中の「リスト部分」に大幅更新の必要が出てきたため、最初の「観劇旅行未経験者の疑問に答えるQ&A部分」と最後の「今月のイベント部分」は軽めにしてお届けする。というわけで、早速。

Q.観劇旅行、どこに泊まったらいい?

NYのホテルは異常に高い。1泊1万円以下で泊まれるのなんて共同トイレのドミトリーくらいで、3万出してようやく日本のビジホレベルという感じ。しかも劇場街(=観光の中心地)の近くとなると、どんなに高くしても需要がある上に建物が密集しているため、3万出してもまあまあ汚くて窓がなかったりもする。なのでもちろん、予算を重視するなら劇場街から離れたホテルにするのがベストなのだが、そこはやはり観劇旅行。一歩出たらもう劇場!窓から劇場が見える!終演10分後にはもう就寝!みたいな生活がしたいではないか。

そうなると選ぶべきは、ざっくり35~55丁目(南北)/6~9番街(東西)以内のホテル。そう広い範囲ではないが、それでもバジェット系から高級系まで死ぬほど数がある。どこを選ぶかはお好み次第だが、割と毎回違うところに泊まりたがるため結構な数を経験している筆者の個人的なオススメは、予算がそこそこ潤沢ならウェスティン、中くらいならマンハッタン(トップ画像右手)、あまりないならエジソンといったところ。ただ、同じホテルでも部屋によってレベルが異なることもあり、結局のところ運という気もする。なんだかんだ、日本の旅行会社を通すといい部屋をあてがわれがちな印象があるが、どうなのだろうか。

【今シーズンの新作】

■7月に始まる作品

なし。トニー賞が終わり、新シーズンが始まったばかりの今は、ミュージカル・プレイを問わず新作の閑散期(ジェイク・ギレンホール主演のプレイ『Sea Wall / A Life』が唯一の今月から始まる作品)。代わりに単発もののコンサートが多く、歌手で作曲家のバリー・マニロウ、マジシャンのクリス・エンジェル、コメディアンのデイヴ・シャペルがオンの劇場で公演を行うので、行ってみたらそれはそれで面白いかもしれない。

■既に上演中の作品

『ムーラン・ルージュ!』プレビュー中/7月25日開幕
バズ・ラーマン監督映画の舞台化。良キャストでトライアウトの評判も上々、期待しかない。
https://moulinrougemusical.com/

 
 

【ロングラン作品】

■日本で既に上演された/されている作品

『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯もスゴイ。
https://www.aladdinthemusical.com/

『ビューティフル』
キャロル・キングの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。ロングラン6年目、そろそろ下火か。
https://beautifulonbroadway.com/

『シカゴ』
オペラ座の怪人に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。7月1~14日、米倉涼子が登板!
https://chicagothemusical.com/

『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/

『マイ・フェア・レディ』7月7日まで
1956年初演の名作を、今月来日公演を行う『王様と私』の演出家がリバイバル。上質。
http://www.myfairladybway.com/

『オクラホマ!』
1943年初演の名作を21世紀の解釈でリバイバル。2019年トニー賞。来年1月19日まで。
https://oklahomabroadway.com/

『オペラ座の怪人』
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/

『ウィキッド』
開幕から15年が経ち、ようやくに多少の余裕が。定期的に観たい傑作。
https://wickedthemusical.com/

■日本未上演の作品

『Ain’t Too Proud』
『ジャージー・ボーイズ』チームが描くテンプテーションズの軌跡。振付とキャストが最高。
https://www.ainttooproudmusical.com/

『Be More Chill』8月11日まで
音楽、振付、演出から若さがあふれる、オフ発信の話題作。日本人的には微妙な描写も…。
https://bemorechillmusical.com/

『ビートルジュース』
ティム・バートン監督映画の舞台化。原作を知らないとノリについていけない可能性高し。https://beetlejuicebroadway.com/

『ブック・オブ・モルモン』
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/

『The Cher Show』
米歌手シェールの半生を彼女自身の楽曲で綴る系。2019年のトニー賞主演女優賞受賞作。
https://thechershowbroadway.com/

『カム・フロム・アウェイ』
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/

『ディア・エヴァン・ハンセン』
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。絶対日本でやると思う。
https://dearevanhansen.com/

『アナと雪の女王』
舞台ならではの表現が見当たらない残念作だが、満足感は保証する。生レリゴー最高。
https://frozenthemusical.com/

『Hadestown』
『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/

『ハミルトン』
開幕4年目にして未だ超入手困難なモンスター級ヒット作。文句なしに革新的。観るべし。
https://hamiltonmusical.com/

『キングコング』8月18日まで
あの、キングコング。ミュージカルというよりショーだと思えば意外と楽しめる。
https://kingkongbroadway.com/

この作品に限りカーテンコール撮影OKだった

この作品に限りカーテンコール撮影OKだった

『ミーン・ガールズ』
同名映画の舞台化。なぜか人気。アメリカ的なノリについていける自信があればどうぞ。
https://meangirlsonbroadway.com/

『プリティ・ウーマン』
あの名作映画が原作。あの曲が投入されるロンドン版(2020年開幕)のほうが買い、かも。
https://prettywomanthemusical.com/

『The Prom』8月11日まで
プロム=高校生ものかと思いきやバックステージものでもあり超面白い。翻訳上演希望!
https://theprommusical.com/

『トッツィー』
主演俳優を筆頭に大変チャーミングな舞台。東宝出資中につき、日本版妄想も進む。
https://tootsiemusical.com/

『ウェイトレス』
同名映画の舞台化。完全に女子向け。観るとスイーツが食べたくなります。
https://waitressthemusical.com

【7月のミュージカルイベント】

2016年の同イベントの開演前の様子

2016年の同イベントの開演前の様子

久々に筆者が実体験を元にオススメできるイベントの登場。劇場街からほど近いブライアント公園で、オン/オフ・ブロードウェイで上演中のミュージカルの現役キャストがナンバーを披露する無料野外コンサート、「Broadway in Bryant Park」だ。今年(2019年)の開催は7月11日から8月15日までの毎週木曜の昼で、主な出演チームは以下の通り。会場が広く、早めの場所取りをしなくても入ることはできるので、NYにいるならとりあえず行ってみよう。

●7月11日:『Be More Chill』『キングコング』『ストンプ』『ウィキッド』
●7月18日:『ビートルジュース』『シカゴ』『カム・フロム・アウェイ』『ジャージー・ボーイズ』『ウェイトレス』
●7月25日:『アラジン』『アナと雪の女王』『ライオンキング』
●8月1日:『The Cher Show』『The Prom』
●8月8日:『ビューティフル』『オクラホマ!』『プリティ・ウーマン』
●8月15日:『ミーン・ガールズ』『オペラ座の怪人』『トッツィー』

https://bryantpark.org/programs/broadway-in-bryant-park

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