中村雅俊が空を飛ぶ!? アットホームに記念日を祝う明治座『中村雅俊45thアニバーサリー公演』初日レポート
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写真:江川誠志
俳優、歌手と多岐に活動する中村雅俊がデビュー45周年を迎え、これを祝うアニバーサリー公演が東京・明治座にて2019年7月6日(土)開幕した。
第一部に芝居「勝小吉伝~ああ わが人生 最良の今日~」、第二部に「中村雅俊 LIVE yes! on the way」と題したコンサートという二部構成で行われた公演の模様をレポートする。
■笑いあり、笑いありの「勝小吉伝~ああ わが人生 最良の今日~」
幕末に活躍した勝海舟の父親、勝小吉の生き様を描いた本作。脚本を鹿目由紀と鴻上尚史、演出を鴻上尚史が務めた。
江戸の街で自分がしたいように、やりたいように気ままに生きている男、勝小吉(中村)。勝家に養子に入り出世を望まれるものの、思いがけず人を殺めてしまい、以降は出世の道を諦め、古道具屋で生計を立てながらの自由気ままな人生を歩み始める。そんな潔さに心惹かれて、気が付けば町中の皆に頼られ、親しみを持たれる。小吉の甥・想一郎(寺脇康文)はそんな小吉の生き方に憧れを抱き、人知れず大胆な行動に出てしまい、小吉の妻・信(賀来千香子)は、機転と広く深い博愛の心で受け止める。この父と母の背中を見て育った息子・麟太郎(後の海舟/東啓介)は、大きな影響を受け……。
写真:江川誠志
明治座の舞台の上に広がった賑やかな町並みとそこで息づく市井の人々の活気に思わず笑顔がこぼれるオープニング。そこに小吉役の中村が登場すると「待ってました!」と言わんばかりに観客から大きな拍手が沸き起こった。常に飄々としており、それでいて包容力を感じさせる小吉を中村は自然体で務め、笑いとチャンバラも交えて魅力ある人物像を描いていた。
写真:江川誠志
写真:江川誠志
中村と共演する、賀来、東、寺脇のほか、麟太郎の恋人・狛江役の愛加あゆ、小吉の兄・男谷彦四郎役の田山涼成、そして謎の男、山崎銀之丞という実力派の俳優たちが物語に花を添える。腕が立つ想一郎役の寺脇は、二枚目と三枚目のキャラクターを行き来させながら、話に流れを生みだし、一方で麟太郎役の東はある信念のもと、決して刀を抜かない一見弱腰とも思える息子役を演じ、そんな息子の弱腰ぶりが父、小吉との良い対比を生み出していた。二人をあたたかく見守り、支える賀来の存在も物語の大事な1ピースだった。
写真:江川誠志
小吉のモットーである「今日も良かった」と思える毎日を過ごすこと。その言葉の意味に心が温まる。なお、劇中では、中村が宙乗りを見せる場面もある。是非注目してほしい。
■名曲の数々に観客が皆笑顔!アットホームで45年を振り返るLIVE「yes! on the way」
写真:江川誠志
休憩を挟んだのちに始まったLIVEでは「心の色」「恋人も濡れる街角」「ふれあい」といったヒットナンバーを中村の柔らかな歌声で聴かせる60分。「想い出のクリフサイドホテル」や「俺たちの旅」などで彩られたメドレーも往年のファンの胸に懐かしさを感じさせる事だろう。1フレーズごとに拍手が起きる会場内を、中村はまんべんなく歩き、手を振り長年支え続けてきた多くのファンと交流を深めながら、一曲一曲、大切に歌い続けた。
写真:江川誠志
MCでも中村はファンに話しかけ、逆に声援にはマメに応えつつ、家族のだんらんのような雰囲気を作り出し、ファンが何度も笑い出す場面もあった。
アンコールでは、中村がファンに向けて、お互いが重ねてきた月日を振り返るような内容の歌を歌い上げる。LIVEタイトル「yes! on the way」に込めた中村の想いが語られると、ファンからまた大きな拍手が贈られていた。
写真:江川誠志
取材・文=こむらさき