Saucy Dog『RUSH BALL 2019』クイックレポート ーーミニマムな編成でマキシマムな想いを鳴らした憧れのステージ
Saucy Dog
『RUSH BALL 2019』Saucy Dog
2017年はATMC、2018年は『RUSH BALL☆R』のトリ、そして『RUSH BALL 2018』のオープニングアクト……着実にステップアップを遂げてきたSaucy Dogが今年、ついに本編への出演を果たした。メンバーが1人また1人とステージに現れ深く頭を下げると、オーディエンスが一気に前方へと駆け寄る。冒頭から豊潤な歌声を響かせた「真昼の月」、そして「ナイトクロージング」と、タイトな演奏と男女コーラスの旨みを活かしたグッドミュージックを連発。
Saucy Dog
「錚々たるバンドたちの中で、今日はイカついお兄さんたちがいっぱいいるんですが(笑)、出させてもらうことができてめちゃくちゃ嬉しいです。(まじまじとオーディエンスを見つめて)うわ……めーっちゃ人おる。ちゃんと皆さんの心を動かすことができたらと思います」(せと・Dr)
ここで披露されたのは「雀ノ欠伸」。この夏、各地の野外フェスでも演奏されてきた新曲は、まるですでに馴染み深いレパートリーであるかのようにオーディエンスも即反応する親和性の高さで、大きくリズムを取って始まった「いつか」は、フォーキーで私小説的な世界観を、広大な泉大津フェニックスで目いっぱいかき鳴らすカタルシスが何とも心地いい。再びの曇天の下、会場を見渡すように叫びにも似た歌声を届ける石原(Vo.Gt)と、可憐なコーラスでその物語を支えるせとの組み合わせの妙は、やはりこのバンドの武器だと痛感させられる。
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「去年はカズ=秋澤(Ba)が遅刻してきて、俺がめっちゃ怒られて……それも結構印象に残ってるんですけど(笑)、元々大阪に住んでたんで、いつか出たいよねってよく3人で話してて。来年も、2年後も3年後も4年後の25周年も、また出たいです。これからもっともっとカッコいいバンドになっていきたいと思ってるんで、どうぞよろしくお願いします! ここで、今までの弱かった自分に、最低だった自分に書いた曲を」(石原)
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後半戦は、再び降り注ぐ雨の中、情熱ほとばしる名曲「グッバイ」を。肌に落ちる雨粒のように、言葉の1つ1つがゆっくりと沁みわたっていく……。最後は「ゴーストバスター」、「バンドワゴンに乗って」とたたみかけ、全7曲を駆け抜けた3人。最後に石原が語った、「また来年あなたに会えますように」という願いが成就する未来が待ち遠しい、Saucy Dogの堂々のステージングだった。
文=奧“ボウイ”昌史 撮影=田浦ボン
『RUSH BALL 2019』オフィシャルレポート一覧はこちら
セットリスト
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真昼の月
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ナイトクロージング
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雀ノ欠伸
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いつか
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グッバイ
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ゴーストバスター
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バンドワゴンに乗って