安田顕主演、白井晃の新演出でLGBTを真正面から描いた傑作舞台『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~』が上演決定
安田顕
2020年7月、Bunkamuraシアターコクーンにて、TEAM NACSの安田顕を主演に、新訳と白井晃の新演出で、『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~』の上演が決定した。安田がBunkamuraシアターコクーンで主演を務めるのは初。
今年、第73回トニー賞演劇リバイバル作品賞に輝いた『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~』。日本国内では『真夜中のパーティー』の名で知られる本作は、1968年にオフ・ブロードウェイで初演。ゲイであることを自覚する男たちによる、誕生日パーティーでの一夜を描いたワンシチュエーションの会話劇だ。初日公演での評判が評判を呼ぶ形で、会場も大きな劇場に移し、その後1000回以上の公演を重ねた。
ゲイ同士のそれぞれのやりとりや、自分たちが周囲からどう思われているのか、自分自身がゲイであることをどう受け止めているのかなど、LGBTが今ほど認められていない時代の観客たちに詳らかにし、当時の世相、カルチャー、LGBTを巡る議論などにも一石を投じた。1970年には舞台版と同じキャストによってウイリアム・フリードキン監督が映画化。ハリウッド作品としては初めて同性愛者を真正面から描いた作品と言われている。
初演から50年を経た昨年2018年、オフ・ブロードウエイではなくオン・ブロードウエイで、全員がLGBTであることを公言しているキャストたちにより期間限定の上演が行われた。出演したのは、人気ハリウッドスターやブロードウェイのスターの9人。主役のマイケルには、『ビッグ・バン・セオリー』のジム・パーソンズ、ハロルドには映画『スター・トレック』シリーズのMr.スポック役でお馴染みのザッカリー・クイント。他にマット・ボマー(『ホワイトカラー』)、アンドルー・レイノルズ(『ガールズ/GIRLS』)、チャーリー・カーバ―(『デスパレートな妻たち』)、ロビン・デ・ジーザス(ミュージカル『ウィキッド』)、ブライアン・ハッチソン(ミュージカル『マン&ボーイ』)、マイケル・ベンジャミン・ワシントン(『アンブレイカブル・キミー・シュミット』)、タック・ワトキンス(『デスパレートな妻たち』)といった錚々たるキャストが結集した。15週間の限定上演にもかかわらず、連日ハリウッドスターが観劇に来場するなど、大変な話題に。翌2019年には、米国の主要な演劇賞である第73回トニー賞において、「ノーマーク」とされながら演劇リバイバル作品賞を受賞。原作のマート・クローリーがトロフィーを手に、この50余年のLGBTを取り巻く環境の変化に涙しながらスピーチを行った。
日本国内では故・青井陽治の翻訳・演出で83年に初演され、様々な俳優陣によって上演が行われてきたが、今回はオン・ブロードウェイ版を元に訳を変え、白井晃による新演出によって全く新しい作品として上演されるという。来年2020年7月にシアターコクーンにて東京公演、そのほか、仙台、札幌、大阪にて公演を予定している。演出の白井、主演の安田よりコメントが届いた。
白井晃(演出)
1968年に初演されセンセーショナルを巻き起こした『The Boys in the Band』をこれ以上無いキャストのみなさんと日本でリクリエーション出来ることを大変光栄に思っています。トニー賞でリバイバル作品賞を受賞したばかりの作品ですが、初演から50年が経って社会が性的マイノリティに対して、どれだけ変化したかを考える意味でも重要な作品になると思います。米国に比べてまだまだ日本においてはこの問題は根が深く、あらゆるマイノリティと社会との関係を考える意味でも、今まさに必要な作品だと思います。出演者のみなさんと様々な議論をして、この作品を日本で再上演する意味を考えながら創作したいと思います。
安田顕
いい意味で難しく、やりがいのある作品に挑戦できること。
初めての白井さん演出。初めてご一緒するキャスト。再び共演するキャスト。
そしてシアターコクーンの舞台で主演を演じさせていただくことなど、すべてに感謝申し上げます。
良い本番を迎えられるよう、新鮮に稽古に取り組みます。
是非ご覧ください。
■あらすじ
真夏のニューヨーク。アッパー・イーストサイドにあるマイケルのアパートでは、ゲイ仲間のハロルドの誕生日を 祝う準備が進められていた。次第に仲間たちが集まりパーティーが始まろうとしている時、マイケルの大学時代の友人、アランがやってくる。唯一のストレートであるアランの存在はマイケルたちの感情に変化をもたらし、雰囲気が徐々に険悪になりつつある中、パーティーの主役であるハロルドが現れる。パーティーは更に荒れ、マイケルは強引に「告白ゲーム」を始める。それは、心から愛している、または愛していたと思う相手に電話をかけ、直接「愛している」と告げると言うものだった。これをきっかけに、それぞれの過去や本音が暴露されていく。
果たして、それぞれは誰に電話をかけ、どんな告白をするのか。そして、マイケルにゲイであることを隠していると責められるアランは一体誰に告白の電話をかけるのか。
やがてパーティーの宴が終わったあと、男たちはどこへ向かうのか……。