第31回池袋演劇祭の全受賞団体が決定 大賞は電動夏子安置システムの『ベンジャミンの教室』
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2019年9月1日(日)~9月30日(月)にかけて開催された、第31回池袋演劇祭の受賞団体が決定した。池袋演劇祭は地域密着型の演劇祭として毎年実施され、本年は「まちが劇場になる秋!」をテーマに16会場50団体が参加した。9月の1カ月間、豊島区および近郊で公演を行い、一般公募で選出された100名の審査員の採点により大賞をはじめとするすべての賞が決定する。
大賞には、2019年9月18日(水)~23日(月)にアトリエファンファーレ東池袋で上演された電動夏子安置システムの『ベンジャミンの教室』が選ばれた。
2000年6月に結成され、明治大学演劇研究部で6作品を執筆、うち数本を演出する主宰・竹田哲士が作、演出を手掛けた作品だ。電動夏子安置システムは、演劇という表現手段の中から娯楽性を重視し、限りなく万人が共感できる『笑い』を探し出して提供できる喜劇の創造を目指している。「喜劇=笑える悲劇」の理念の下、公演においては、存在しないようでいて確実に有る笑いの方法論から「シチュエーション」に着目し、理不尽な制約やルールに縛られた非現実的な状況下で翻弄される登場人物たちの、必死の抵抗と報われなさを描く事で笑いを生み出す。時に物語性や情感を排除してまで、一つの笑いを生み出すために論理を積み重ねて導き出す手法は「ロジカル・コメディ」と称される劇団独特の作風となっている。第22回池袋演劇祭以来、2回目の参加で大賞を受賞した。
優秀賞はイマノカゲキの『みんなのお葬式』と、ラビット番長の『カチナシ!』の2作品が受賞した。
イマノカゲキは「今、ここに生きる人達が奏でる日々の営みを、歌と劇で表現する」をモットーに東京で活動するミュージカルユニット。今回の作品は、作・演出をクワハラーノ・チュースキーが手掛け、ある家族に突如訪れた「別れの儀式」で予期せぬ事件が次々と勃発し、暗転なしの一幕モノの舞台が展開していく。
ラビット番長は、主宰の井保三兎によるオリジナル作品を 舞台上演する事を目的としたプロデュース団体で、日本初の劇団主催“福祉フェス”で1200名様を超える集客を記録している。さらに将棋をテーマとした舞台で数々の演劇賞を受賞しているが、今回の作品は“介護士が将棋のプロ棋士を目指す”介護×将棋の最強コンビとなり、作・演出を井保三兎が手掛けている。
その他の受賞作品は下記のとおり。
豊島区長賞
東京ハイビーム『ホスピタル』 作・演出:吉村ゆう
舞台芸術振興会賞
外組『ひみずや』
作:大橋慶三 演出:外組商会
みらい館大明賞
劇団レトロノート『真新しい夜の下』
作:小林佐千絵 演出:中村公平
豊島区町会連合会会長賞
劇団バター猫のパラドックス『二進法の彼女』『二進法の彼氏』
作・演出:石戸浩太朗
豊島区観光協会賞
Prelude『ここハ東京、ユメのなか』
作・演出:西村賢人
豊島新聞社賞
劇団ヨロタミ『純愛協想曲』
作・演出:坂本直季
としまテレビ賞
ルミエールシアター舞台制作研究社『走りだせ!スピードスター』
作・演出:宮崎ひかり
三浦大四郎記念賞
テンナイン『A CRIME』
作・演出:関谷 誠
舞台芸術学院奨励賞
埋れ木『瓶に詰めるから果実』
出演:二宮 咲
作・演出:久保磨介
※舞台芸術学院奨励賞は、舞台芸術学院の責により今後の活躍が期待される若手俳優1名を選出する個人賞。
また前夜祭に行われたCM大会の受賞団体も下記のとおり決定している。(参加は30団体)
前夜祭《予告編・CM大会》
《最優秀賞》
・劇団The TimelessLetter『SEVEN STORIES』(9/28~9/29、座プロローグ)
《優秀賞》(得票順)
・劇団生命座『太陽が落ちてきた~すずなりの逸声~』
(9/20~9/23、萬劇場)
・劇団東俳『ラフラッパ!!』
(9/13~9/15、座プロローグ)
・イマノカゲキ『みんなのお葬式』
(9/25~9/29、シアターグリーンBASE THEATER)
《サンシャインシティ特別賞》(得票順)
・ハグハグ共和国『夏休みの友たち』
(8/28~9/1、萬劇場)
・劇団現代古典主義「同時進響劇『スペインの悲劇』~ヒエロニモの怒り~」
(9/14~9/16、コフレリオ新宿シアター)
・演劇ユニットちょもらんま『僕はキヨシ。名前だけはある。』
(9/26~9/29、北池袋新生館シアター)
なお大賞受賞団体は、翌年の演劇祭の招待公演として、あうるすぽっとで公演が行われる。劇場の無償提供・広報面のサポートに加え、2019年度よりあうるすぽっと(公益財団法人としま未来文化財団)との共催公演として実施されている。来年度は、2020年8月26日(水)~30日(日)頃に実施予定となっている。