めくるめく陶酔の世界をその目で見よ! ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』ゲネプロレポート

レポート
舞台
2019.11.5
 写真提供/東宝演劇部

写真提供/東宝演劇部

画像を全て表示(5件)


舞台美術と照明をリニューアルし、新しく生まれ変わったミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が4年ぶりに帝国劇“城”に帰ってきた。

物語の舞台はヴァンパイアの故郷とされる極寒の地トランシルヴァニア。ヴァンパイアを研究するアブロンシウス教授と助手のアルフレートは、旅の途中で宿屋の主人・シャガールやお風呂好きの美しい娘・サラに出会い、ヴァンパイアの住む城に近づいていることを確信する。
そんなとき、ヴァンパイアの首領・クロロック伯爵に誘惑されたサラが突如姿を消してしまう。サラを追った教授とアルフレートはついに伯爵の住む城へと辿り着き、欲望のままに生きるヴァンパイアたちとの直接対決に挑む。怪しくも美しいヴァンパイアの世界で繰り広げられるゴシックコメディだ。

主演のクロロック伯爵は、2006年の初演から益々美しさを増す山口祐一郎、サラは前回公演から続投の神田沙也加と、本公演が初参加の桜井玲香のWキャスト。アルフレートはどちらも初参加となる相葉裕樹と東啓介のWキャストだ。他にも初演や再演から続投を続けるキャストや、今回から初参加のキャストが入り混じる。

以下、初日前日となる11月4日(月・祝)に行われたゲネプロの模様をレポートする(Wキャストは神田沙也加と相葉裕樹の組み合わせ)。

左から アルフレート:相葉裕樹、サラ:神田沙也加 写真提供/東宝演劇部

左から アルフレート:相葉裕樹、サラ:神田沙也加 写真提供/東宝演劇部

前回の2015年公演から衣装とヘアメイクが、本公演から舞台美術と照明が一新され、時と共に進化し続けるミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』。色とりどりの照明の効果でショー要素が増して華やかになり、ヴァンパイアたちがより一層魅力的に感じられる公演となった。

劇場ホールに入ってまず目に飛び込んで来るのは、ステージ最上部に設置された特大の牙。しかもこの牙、ここぞというタイミングで発光する仕掛けが施されている。オーヴァーチュアからその様子を確認できるのでお見逃しなく。

物語の序盤、アブロンシウス教授とアルフレートは宿屋で凍えた体を温める。この宿屋の一連のシーンで使用されるセットも仕掛けたっぷりで楽しませてくれる。宿の酒場のシーンで背景となっていたセットは、1回転すると3階建ての大きな宿になっており、5つの部屋の断面が客席に向けられる。各部屋にいる顔を合わせないキャストたちが、同時進行で絶妙にタイミングを合わせるコミカルな演技は必見だ。その後もセットは上下可動あり、真っ二つの分裂ありで、引き続き大活躍していく。

前回公演から続投の神田は、世間知らずで純粋で、でも芯の強いサラを安定した歌唱と小悪魔的な笑顔で表現。気弱でサラに振り回されっ放しの青年・アルフレートを演じる相葉は、とにかく丁寧に真摯に役に向き合う姿が好印象だった。

左から クロロック伯爵:山口祐一郎、アルフレート:相葉裕樹 写真提供/東宝演劇部

左から クロロック伯爵:山口祐一郎、アルフレート:相葉裕樹 写真提供/東宝演劇部

もちろんベテラン勢も負けてはいない。初演からシングルキャストでクロロック伯爵を演じ続ける山口は、ウィスパーヴォイスにさらに深みが増し絶好調。1幕フィナーレの歌い上げも鳥肌モノだ。

クロロック伯爵:山口祐一郎 写真提供/東宝演劇部

クロロック伯爵:山口祐一郎 写真提供/東宝演劇部

4度目の出演となる石川は、研究に没頭する変わり者のアブロンシウス教授を熱演。『すべて順調〜人類のために』という教授にとって最大の見せ場とも言えるナンバーでは、歌い終わるとショーガールまで登場する盛り上がりっぷり。

左から クロロック伯爵:山口祐一郎、アブロンシウス教授:石川 禅 写真提供/東宝演劇部

左から クロロック伯爵:山口祐一郎、アブロンシウス教授:石川 禅 写真提供/東宝演劇部

宿屋のシャガール役のコング桑田とレベッカ役の阿知波悟美の息の合ったお馴染み夫婦も安定感抜群だ。
他にも、過去にサラを演じていた大塚千弘演じる宿屋の女中・マグダや、一見怖いけれどお茶目なところもある伯爵の召使い・クコール(駒田一)、一癖も二癖もある妖艶な伯爵の息子・ヘルベルト(植原卓也)、そして何より狂気的で美しい歌とダンスで魅せるヴァンパイアたちが、作品を大いに盛り上げてくれた。

名物となりつつある客席参加型の熱狂のカーテンコールでは、ヘルベルトがダンスを優しく手ほどきしてくれるので安心して参加してほしい(赤いハンカチがあるとさらに楽しめるかも……)。ちなみに、劇場内のアナウンスはアルフレートが担当する。開演前にヴァンパイアと遭遇したときの注意点を教えてくれるので、できるだけ早めに劇城に到着しておきたい。

本公演は11月5日(火)~27日(水)に帝国劇場で上演された後、愛知、福岡、大阪と全国ツアーが続いていく。きっとヴァンパイアたちは日本中を熱狂の渦に巻き込んでいくに違いない。なお、Wキャストの桜井玲香と東啓介の組み合わせのレポートもお届けする予定。

取材・文 = 松村蘭(らんねえ) 舞台写真=オフィシャル提供

公演情報

ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
 
出演
山口祐一郎、神田沙也加/桜井玲香(Wキャスト)、相葉裕樹/東啓介(Wキャスト)、大塚千弘、コング桑田、阿知波悟美、植原卓也、駒田一、石川禅ほか
 
脚本/歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:ジム・スタインマン
演出:山田和也
 
<東京公演>
日程:2019年11月5日(火)~27日(水)
会場:帝国劇場
<愛知公演>
日程:2019年12月15日(日)~21日(土)
会場:御園座
<福岡公演>
日程:2020年1月1日(水・祝)~7日(火)
会場:博多座
<大阪公演>
日程:2020年1月13日(月・祝)~20日(月)
会場:梅田芸術劇場メインホール
 
<e+貸切公演>
日程:2019年11月22日(金)
開演:13:30~ (開場 12:30~)
会場:帝国劇場 (東京都)
申し込みは【こちら
※ヴァンパイアたちと一緒に、カーテンコールで盛り上がろう
e+貸切公演のご来場者全員に【ルミカライト】をプレゼント
ご入場時にお渡しします。カーテンコールで発光させて盛り上がりましょう
シェア / 保存先を選択