前レジェンド王者スーパー・タイガーと激突!柔術超人・関根“シュレック”秀樹「スーパー・タイガーの狂気を引き出す。40代・50代は自信を取り戻してほしい」
関根“シュレック”秀樹とスーパー・タイガー
前回9・19リアルジャパンプロレス「ストロングスタイルプロレスVol.3」に初参戦した関根“シュレック”秀樹は、憧れの存在である船木誠勝とタッグを結成し、タカ・クノウ&ロッキー川村組と対戦。柔術をベースにしたパワー&テクニックを合わせた戦いでインパクトを残し、「ストロングスタイルプロレス Vol.4」(12月5日、後楽園ホール)でのスーパー・タイガー戦が決定した。43歳で警察から格闘家に転身したシュレックは「自信を取り戻してほしい」と同世代にエールを送る。ファンから選手となり、かつて見た夢の世界を生きるシュレックにその胸の内を聞いた。
《シングルマッチ30分1本勝負》 スーパー・タイガー〈リアルジャパンプロレス〉vs関根“シュレック”秀樹〈ボンサイブルテリア〉
シングルマッチ 30分1本勝負
スーパー・タイガー(リアルジャパンプロレス)
vs
関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)
■プロレスは相手も自分もいいところを出さないとダメ
関根“シュレック”秀樹
――前回リアルジャパンに初参戦して感想はいかがですか。
シュレック「タカ・クノウ選手はグラップリングで実績のある選手ですがすごく手が合って、いわゆる“Uの回転体”というのがお客さんに見せられたのかなと思います。MMAだと相手にいいところを出させるとその瞬間負けになる可能性もありますけど、プロレスの場合は相手のいいところを出させた上でそれをしのげば、それもまた自分の魅力やポイントになる訳で、そういう部分もプロレスは楽しいです。MMAではタイプが似てるとグラップラー同士が打撃に終始したりしょっぱい試合になったりもしますが、プロレスの場合はお互いのいいところ、特に自分のいいところを見せないとダメで、そこで相手ともお客さんとも勝負ですよね」
――MMAとはまた違うプロレスの戦いを楽しんでいるようですね。船木選手とのタッグ結成はいかがでしたか?
シュレック「もうファン時代から考えたら、船木さんとお話すること自体が考えられないことじゃないですか。例えば大会を見に行っても、売店で握手をしてもらうぐらいで船木さんとお話することってすごく難しい。それが控え室が一緒だったり、緊張しちゃって逆に困ります(笑)。タッグを組んでいても、船木さんが戦ってる時は“おぉ、スゲぇ”“動いてる!”とか思って見ていました」
■僕らの世代は実力はあるけど自信がないだけ
――完全にファンに戻っていたと(笑)。でもたしかにシュレック選手は40代までファンとして過ごしてきた訳で、その頃から考えたらかつて夢見た世界の中へ入っているのは現実感がなかったり驚きだと思います。
シュレック「僕らの世代はすごいベビーブームで、受験から何から苦しい思いをして、就職も氷河期で入ったら入ったでいじめられて、自分なんかもそうでしたけど、仕事や会社の中ですごい自信を失ってると思うんですよね。でも、今の子たちよりも一生懸命勉強してきたと思うし、実力はあるけどただ自信がないだけなんです。自信を粉々に打ち砕かれちゃっているから、『お前なんかこの会社辞めたら?』と言われても、しょうがなくブラックなところにしがみついていたりする。でも、そういう中で自分っていう人間が表現できることがあると思うんです」
――警察という安定した職を捨て、40代にしてプロの格闘家となったシュレック選手ならではの言葉です。そんな自身のあり方・生き方が一つのメッセージになっていると。
シュレック「そうですね、“自分は終わった人間じゃない”“まだまだここからだ”っていう自信をみんな取り戻してほしいです。自分は今46歳ですけど、46歳だからこそ表現できる、響くことがあると思います。自分としては若い子たちにもそうなんですけど、特に40代から50代の人たちにはメッセージがあると思ってます」
■プロレスは「強さと筋肉」
関根“シュレック”秀樹
――生き方を表す・見せるのがプロレスでもありますね。そんな中でリアルジャパンでの第2戦がスーパー・タイガーとのセミファイナル、大きな一戦となりました。
シュレック「それこそスーパー・タイガー、リアルジャパンが選んでくれたことがプロレスで認められたということだと思うんです。だから期待に応えるというより今の自分を求められているので、佐山先生がいうストロングスタイルは自分にぴったりですし、そのままやればいいと思ってます」
――対戦発表会見では自分が描くプロレスを出す、ぶつけると言われていましたが、シュレック選手が思い描く「プロレス」とはどんなものか教えてください。
シュレック「上がる団体によっても変わってくるし、要は求められるものですよね。リアルジャパンであれば先ほど言ったストロングスタイルだし、それは団体によって違う訳ですけど、芯にあるもの、自分のキャラクターとか出す物がブレちゃいけないと思います。それを中心に置きつつどう色づけしていくか。その軸が何かと言ったら『強さと筋肉』(笑)。それが自分が子どもの頃から見ていたプロレスラーなんです」
■目の前の一戦に全力で向かう
――子どもの時に感じたプロレスラー像を今は自分で体現していると。先日、同じく「強さと筋肉」を体現する藤田選手がレジェンド王者となりましたが、藤田選手についてはいかがですか?
シュレック「藤田さんはまだMMAの匂いがプンプンするし生々しいですね。藤田さんとの試合はプロレスだけじゃなくMMAで見たいっていう人もいると思います」
――今大会のメインではそんな王者・藤田選手に船木選手が挑む一戦があり、船木選手が勝てば今後は対戦相手として憧れの存在を目指していくことになるかもしれません。
シュレック「もしこれがビジネスや仕事の話であれば、2年後あるいは1年半後までに叶えたい目標として置いて、それを達成するために逆算して行動していく訳ですよね。でも、今回のスーパー・タイガー戦ももうそれ自体が夢なので、この一戦を全力でやることが今のところぼんやりとした船木さんへのロードになると思います」
――夢の中にいる現在は、目標までの逆算といった現実的な思考を持ちにくいと。
シュレック「船木さんのことを考えてスーパー・タイガーと戦うことはできないです。たとえば、自分が憧れる芸能人アイドルがいて、でも学校一のアイドルと付き合えるチャンスがあったとしたらどうするか。それはもう目の前の子に没頭するしかないと思います。今ここは目の前のスーパー・タイガーに全力で向かって、それを終えて経験値が増えた後でどうなるか。もしかしたらここからスーパー・タイガーとの物語が始まって、長いストーリーになってしまうかもしれない。昔からの憧れの存在があっても、結ばれるのは違う人だったりするじゃないですか。だから今は憧れは置いて、目の前にあるスーパー・タイガーに全力で向かいます」
■スーパー・タイガーの狂気を引き出し、自分も本気を出す
――目の前にある、対峙しているものに全力を尽くすのがシュレック選手の流儀であると。
シュレック「そうです。なので終わった後に考えます。おそらくスーパー・タイガーとは噛み合うと思います。スーパー・タイガーのことは昔から知っていて、前回終わった後で“来るな”と感じていました。でも、スーパー・タイガーとしてもリアルジャパンとしても自分としても、このカードが一番いい試合になると思うので、まさにといった感じです。お客さんも緊張感を持って見られると思います」
――最後に改めて試合への意気込みをお願いします。
シュレック「とにかく自分の仕事は、スーパー・タイガーの狂気を引き出すことです。リアルジャパンではどこか優しさが出ていて、あまりそれが引き出されていないと思います。それは本気でやっちゃうと相手が受け切れない、耐え切れないからおそらく遠慮していると思うんです。でも、それを存分に出してきてほしいし、俺もスーパー・タイガーであれば本気を出すことができます」
リアルジャパンプロレス『初代タイガーマスク 佐山サトル ストロングスタイルプロレスVol.4』
(取材・文:長谷川亮)