朝比奈隆と大阪フィルの貴重なアーカイブ映像を「カーテンコール」にて現在無料配信中
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大阪フィルハーモニー交響楽団創立名誉指揮者 朝比奈隆 (C)飯島隆
現在、大阪フィルハーモニー交響楽団が、創立名誉指揮者 朝比奈隆が指揮をする1990年から亡くなる2001年までの貴重なアーカイブ映像を、クラシック専門ストリーミングサービス「カーテンコール」にて2020年6月26日まで、週替わりで無料公開している。
これは朝日放送テレビが撮影し、実際にオンエアされた演奏映像で、大阪フィルの楽団創立70周年の2017年にザ・シンフォニーホールで「朝比奈隆の軌跡 オン・スクリーン」として公開されたものに、新たに1999年の「第327回定期演奏会」でのブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」の映像を加えた充実のラインナップ。
来年で没後20年、未だに朝比奈人気が衰えることはない。 (C)飯島隆
その中身を少し紹介すると、第1回配信のチャイコフスキー交響曲第5番といえば、朝比奈隆のプロのオーケストラデビュー(1940年1月 新交響楽団)の曲であり、生涯最後の曲(2001年10月 大阪フィル)として知られる。配信されているのは、1990年「朝比奈隆の軌跡Ⅳ」での演奏だが、こちらは既に配信は終了している。
第2回配信のベートーヴェン交響曲第3番「英雄」は、7度のベートーヴェン交響曲全曲録音!と云う金字塔を打ち立てた事でも知られる通り、朝比奈隆の十八番。コチラは2000年のザ・シンフォニーホールでの演奏だが、終演後の10分以上に渡る拍手喝采の全てを収録しているのも、見どころの一つ。
それに加え、第4回目で配信されるブルックナー畢生の大曲、交響曲第8番は、朝比奈隆の亡くなる5か月前、2001年の7月にザ・シンフォニーホールで演奏された伝説の名演。
ブルックナー8番を終えた後、何度もステージに呼び戻される(2001.7) (C)飯島隆
この3つの演奏映像は、楽団創立70周年を記念して、ザ・シンフォニーホールの大スクリーンで有料上映された。
今回はこれらに加え、第3回目としてブルッナーの交響曲第4番「ロマンチック」の演奏が配信される。これは1999年の「第327回定期演奏会」の演奏だが、前半に当時の大阪フィル指揮研究員だった下野竜也が定期演奏会デビューを果たした記念すべき演奏会。前半、下野が指揮する情熱的なヒンデミットの「ウエーバーの主題による交響的変容」に続き、後半に演奏された朝比奈隆のスケールの大きな「ロマンティック」が印象的。巨匠が身を持って、オーケストラを指揮することの意味を、未来のマエストロに伝えているような熱い演奏だった。
気迫あふれる指揮から生まれる、重厚かつ迫力の大フィルサウンド(1997.9) (C)飯島隆
この貴重な演奏映像の数々を6月26日までの間、無料で見ることが出来るのだ。
「新型コロナウイルスの影響によって苦しむ多くの方々に、今や伝説となった朝比奈と大阪フィルによるスケールの大きな演奏を通して心の癒しと元気をお届け出来ればと思います。今回は朝日放送テレビさまのご厚意により、 貴重な映像を無料で公開して頂けることになりました。朝比奈隆の在りし日の雄姿と、大阪フィルの渾身の演奏をぜひご視聴ください!」と大阪フィルの事務局は話す。
音楽監督 尾高忠明率いる現在の大阪フィル (C)飯島隆
不要不急の外出を控え、ステイホーム!が叫ばれている今、自宅で朝比奈隆と大阪フィルによる貴重な演奏を楽しめるなんて、本当に有難い。いつもより少し大きめのボリュームで演奏を聴き始めれば、簡単に世紀を超えて偉大なマエストロが君臨していた刺激的なあの時代にワープ出来る。
そして、クラシック音楽のチカラを、芸術の必要性を、再確認するに違いない!
この雄姿を忘れる事はない!人生最後のブルックナー演奏 交響曲9番を終えて(2001.9) (C)飯島隆
文=磯島浩彰
配信情報