氷川きよし「明治座を1ヶ月間、テーマパークにしたい！」　『氷川きよし特別公演』は氷川流のハッピーを届ける公演に

2020年8月28日（金）～9月27日（日）、東京・明治座にて『氷川きよし特別公演』が上演される。明治座での公演は2018年以来となる氷川。今回は前回好評だった“恋之介”に扮して新たな物語をステージ上で繰り広げるという。また第二部ではヒット曲満載のコンサートも。昨今演歌にとどまらず、ポップスやアニソンも氷川流に歌い上げて大評判となっているその歌声が聴けるのだろうか？　都内にて氷川に話を聴いた。

ーー今回明治座での特別公演が上演されますが、まずは芝居「限界突破の七変化 恋之介旅日記」について。前回も演じた恋之介を今回も演じる事になりますが、どんな恋之介を演じたいですか？

恋之介については、前回お世話になった池田政之先生とのやりとりが楽しくて。もっと長くやりたかったなという想いがあるんです。クールな色男から、パッと変わってしなやかな女形っぽいキャラになったり、またコミカルなキャラになったりと、一色ではない多面性のある、七色の恋之介を表現したいと思っています。自分の持っているキャラとしてもパッと明るく華やかなものにしたいです。​

今、新型コロナウイルスの影響でいろいろな制約がありますが、そんな中この舞台をご覧になったお客様が、少しでも明るく、ハッピーな気持ちになってくださったらいいですね。例えるならば、この上演中の1ヶ月は明治座が「氷川きよし・テーマパーク」になればいいなと思っています（笑）。​

ーーちなみに前回の恋之介について、ファンの方からの反応はいかがでしたか？

楽しかった！　と言われました。衣裳も豪華で何着も着替えては登場しましたし、結果、1ヶ月満員だったんですが、口コミなどでもお客様がたくさんいらしてくださったようです。嬉しかったです。

ーー座長として公演を務める心境は？

芝居となると、共演者さんやスタッフさんとのチームワークが大事になるじゃないですか。あの仲間意識が湧いてくるのがいいですよね。千秋楽では自然と涙が沸いてきますし、家族以上に家族になれるんです。1ヶ月もあったら、テンションの上がり下がりや、体調の変化、アクシデントなども少なからずありますが、そこを助け合いながら乗り切っていこうとするので、人間対人間の温かい絆が生まれます。一人でやるコンサートとはまた違った想いになりますよ！

ーー今回の演出ではコンサートで使っていたクレーンなどの特殊な設備が使われたらいいな、と内心期待しているんですが。例えばフライングとか（笑）。

それは……明治座さんできますかね？（と、笑いながら明治座スタッフに話を振りつつ）。でもいろいろ考えています。「限界突破」というからにはどの程度までできるかですね。
逆に、セットも何もない素舞台に一人立ってピンスポット浴びながら踊るというのも興味あります。基礎がないと踊りが汚くなってしまいますから、早めに勉強を始めたいです。​

ーー前作に続いて今回も山村紅葉さんと曽我廼家寛太郎さんがご出演されるそうですね。お二人とお仕事をされていかがでしたか？

すっごく楽しかったです。紅葉さんはすごくマジメな方で、真剣に考えて面白い役をやられているので、観ていても本当に面白いんです。寛太郎さんには、お芝居のことをいろいろ教えてもらったりもしています。紅葉さんも寛太郎さんも大好きな方なので、お二人とまた1ヶ月お仕事ができるのは楽しみです。​

ーー特別公演第二部のコンサートもこれから内容を考えるとのことですが、やはりそのなかには6月に発売された『Papillon（パピヨン） -ボヘミアン・ラプソディ-』からの曲もあるんでしょうか。特にあのアルバムに収録されているクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」の日本語詞版に衝撃を受けまして。この作品はどのようなきっかけで生まれたんですか？

昨年6月に映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観て感動したのがきっかけです。フレディ・マーキュリーの生き様と苦悩に触れて日本の人にも知ってもらいたい、と思い、以前より親交があった湯川れい子先生に「この歌をぜひ日本語で歌いたいんです」とご相談して訳詞を作っていただいたんです。

ーーちなみに、1ヶ月の長期公演中、体調面のケアはどうなさっているんですか？

明治座さんの時は逆に規則正しい生活で体調がすごくいいんです！　朝7時に起きて、劇場入りして、公演が20時くらいに終わると即、帰宅して22時には寝ている。そしてまた朝7時くらいに起きるという、学生生活みたいな1ヶ月なんです。ただ公演中はご飯を食べる時間があまりゆっくり取れないので、自然と痩せますね。食べるのが好きなのでほおっておくと余計な栄養分を取り過ぎてしまうんです。だからこの1ヶ月はお豆腐とかあっさり手早く食べられるものをいただいて、健康的に過ごしています。

ーー食事の話が出たので……自粛期間中はやはり料理をされていることが多かったんですか？

お料理ばかり作っていました。食べるのが好きなのでとにかく作って作って……。自宅の庭ベランダで育てたジャガイモを使って肉じゃがを作ったり。自分が作ったジャガイモは甘みがあって美味しくて！ 自粛期間中は家から出ず少し太ってしまったので、その後、食事量を減らしてダイエットしたんです（笑）。​

ーー芸能生活も長くなりましたね。これからどんな歌を歌っていきたいですか？

20代の頃は「演歌歌手・氷川きよし」として、自分を皆さんに知ってもらいたいと考えながら歌を歌ってきましたが、これからは自分の個性を出せる歌も歌っていきたいです。おこがましいとは思いますが、歌を通して社会や時代を動かすくらいのメッセージを届けたいと考えています。若い人たちも出てきていますし、そんな若手さんたちと並んだ時に、自分はこうだという個性を出せる、いちアーティストとしての自分を見つけていきたいです。

取材・文＝こむらさき　撮影＝福岡諒祠